インターネットユーザーからの10の質問

本アンケートは、衆院選に出馬する候補者に、今後争点となりそうな情報通信政策における課題について送付するものです。本アンケートの趣旨は、回答いただく課題について一般市民が自由に政治家のスタンスを調べられるようにすることです。回答の情報公開については、政論検索( http://srks.jp/ )と連携致します。MIAUとして公式にアンケートを行うのは、衆議院小選挙区制選挙区東京ブロック(25区)となります。

「MIAU総選挙プロジェクト2009」における情報通信政策における個別領域に関するアンケート項目は以下の通りです。

インターネットユーザーからの10の質問

  1. インターネットを使った選挙期間中の選挙活動(ブログの更新、YouTube等動画サイトの利用)について、解禁していくべきだとお考えですか。
    1. 解禁していくべきである
    2. 従来通りの方法で十分である
    3. 選択理由(              )
  2. 米国では、オバマ大統領に代表されるように、政治家に対してインターネットを通じた小口献金が行われています。一方日本でも、インターネットを通じた小口献金システムが作られはじめました。これについてどのようにお考えですか。
    1. 積極的に利用したい
    2. 当分静観する
    3. 問題があるので禁止すべきである
    4. 選択理由(              )
  3. 現在、国会へのパソコン等の電子機器の持ち込みは、制限されるケースもあります。あなたご自身は、国会の本会議や委員会において、インターネット上の資料を参照しながら質疑する等、パソコンや携帯電話等の電子機器を審議や情報発信のために用いることについて、どのようにお考えですか。

    1. 自分としては積極的に利用したい
    2. 自分は利用しないが、希望する議員が電子機器を使うことは容認されるべきである
    3. 議場において電子機器を持ち込むのは好ましくない
    4. 選択理由(              )

  4. 国民の声をより政策に反映させるために、新しい施策を取り入れることについて、どうお考えですか。もっとも緊急に取り組むべきものをお選びください。

    1. パブリックコメント制度の位置付けを明確化し、さらなる拡充を図るべきである
    2. 審議会の委員構成を公募とする等、国民の声をこまめに政策決定過程に反映させるべきである
    3. インターネットを使った政策募集、議論の場の提供といった、新たな制度を導入すべきである
    4. 現状の制度で十分である
    5. 選択理由(              )
  5. 今年6月から、対面販売ができないことを理由に、インターネットでの医薬品販売が原則禁止されました。これに対しインターネット事業者等は、「インターネットでの医薬品販売は対面販売より安全性が高く、利用者も必要としている」と主張、販売の継続を求めて提訴していますが、どのようにお考えですか。

    1. インターネットでの医薬品販売は禁止すべきである
    2. 従来どおりにインターネットでの医薬品販売を継続すべきである
    3. 選択理由(              )

  6. 近年、国会や行政の場で、インターネット上の違法有害情報の流通を防ぐための施策が検討されています。この点について、教育によって情報リテラシー向上を図る、ネットサービスへの法規制強化による違法有害情報の発信の抑制、国家が違法有害情報の受信を阻止する技術の導入を行う、という3つの考え方がありますが、どの方法に軸をおいて対応すべきとお考えですか。

    1. 情報リテラシー教育を進めて、個々の利用者が違法有害情報への対処法を身につける
    2. 事業者に対する規制を強化し、業界努力によって違法有害情報の発信が抑制されるようにする
    3. 違法有害情報の受信を国家が阻止するような、法的・技術的な仕組みを導入する
    4. 選択理由(              )
  7. 小中学生の携帯電話の利用について、一律禁止すべきであるという意見の一方で、保護者からは子供たちへの通信手段の必要性を訴える声が出ています。この問題について、どう対応すべきとお考えですか。

    1. 小学生、中学生共に利用を一律に禁止すべきである
    2. 条例等で規制するのではなく、保護者の選択に任せるべきである
    3. 小学生、中学生共に利用させても良いが、使い方について教育を行うべきである
    4. 持たせる年齢については、持たせるか否かも含めて、今後調査と検討が必要である
    5. 選択理由(              )
  8. 児童買春・児童ポルノ禁止法を改正して、児童ポルノの単純所持を処罰対象にすべきとする意見がありますが、一方で冤罪や憲法上の権利侵害の可能性も指摘されています。単純所持規制による児童の性的虐待抑止効果と、冤罪や権利侵害とのバランスは、どのようにあるべきとお考えですか。

    1. 冤罪や憲法上の権利侵害のリスクよりも、単純所持規制による性的虐待抑止効果のほうが重要である
    2. 単純所持規制による性的虐待抑止効果には疑問があり、冤罪や憲法上の権利侵害のリスクを増大させるべきではない
    3. 選択理由(              )

  9. 改正出会い系サイト規制法の施行をきっかけに、健全なコミュニティサイトに対しても18歳未満の異性交際を排除できないおそれがあるとして、警察から削除要請が出される等、ネットコミュニティの規制や取り締まりが強化されています。インターネット上でのコミュニティについて、積極的に規制した方が良いとお考えですか。

    1. インターネットのコミュニティがきっかけとなる出会いは犯罪につながりやすいので、規制すべきである
    2. 性的交渉を目的としないコミュニティサイトについては、規制の対象とすべきではない
    3. 選択理由(              )

  10. 知的財産政策(著作権法等)について、いわゆるダウンロード違法化の成立に見られるように権利者の保護を厚くするか、あるいは、利用者の利便性を高める方向にするかで、議論が行われています。今後、知的財産政策を進める上で権利者保護と利用者の利便性、どのようにしてバランスを取るべきとお考えですか。

    1. 現状よりも、権利者保護を重視する形でバランスを取るべきである
    2. 現状よりも、利用者の利便性を重視する形でバランスを取るべきである
    3. 選択理由(              )

  • 最後に、現在の日本のインターネットを巡る状況についてのお考えをお聞かせください。
    • (自由回答)
  • 本質問状のPDFファイルを公開します。印刷時等には、こちらをお使いください。
    インターネットユーザーからの10の質問(PDF)

    著作者 : MIAU
    最終更新日 : 2009-07-24 09:21:08

児童ポルノ禁止法改正案緊急声明についての解説

1,児童ポルノの定義を客観的・限定的にすること

自民・公明党案では、現行法第二条第三項の児童ポルノの定義はそのままとなっています。民主党案では、名称を「児童性行為等姿態描写物」と変更した上で、定義のひとつの「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの 」といういわゆる「三号児童ポルノ」を削除し、そのかわりに第二号から性欲刺激要件を外し、「殊更に児童の性器等が露出され、若しくは強調されている児童の姿態」という定義も加えるという形で定義を変更しています。

民主党案は定義の客観化を行うということで取得罪の範囲を限定するメリットを持つとしていますが、一方、現行法で製造・頒布・提供等が違法とされているものの一部が合法化される可能性があるとの批判もあります。また、「強調」という要件が曖昧であるとの批判もあります。

その一方、現行法の条文には、声明で述べたように、アイドルのライブ映像や水着写真まで含むような曖昧な部分があり、これは国会質疑でも言及されました。それらが児童ポルノでないと判断されたとしても、やはり国会質疑で言及されたように、海外で広く歴史的な芸術作品であると評価されているものが児童ポルノと判断される可能性は否定できません。

また、現代においても、物議をかもしつつも児童ポルノでないと判断された児童の裸体を描写した芸術作品は単純所持を処罰対象としているとされるG8各国にも少なからずあり、そのような芸術作品はそれぞれの社会の中で主流の文化の中に位置づけられ堂々とインターネット上で公開されているものもあります。

児童ポルノの定義を主観的なものとしたり曖昧なものとしたりすることは、海外で広く合法とみなされているものへのアクセスを処罰対象とすることになりかねず、また、広く合法とみなされているがゆえに他のものと区分けされていない場合には、インターネットを利用して外国文化に触れること一般を極度に萎縮させることになるのではないかと考えられます。

従って、児童ポルノの定義を客観的・限定的にすることが必要です。

児童ポルノの定義そのものを現在の定義から狭めることについては、現行法で製造・頒布・提供等が違法とされているものを合法化することになることから、個々の児童の人権の面から問題であるとする意見が少なからずあることは、私たちは理解しています。

しかしながら、そもそも、自民・公明党案と民主党案のいずれにおいても、児童ポルノの単純所持ないし取得による法益侵害は、製造・頒布・提供による法益侵害と比べて軽いと判断していることは、その罰則の軽重により明らかですし、製造・頒布・提供などといった積極的行為と、単純所持ないし取得といった受動的行為の両方で同程度の注意義務が人々に課せられるのも、過酷な負担となると私たちは考えます。

もし今回の改正が不可避であるならば、単純所持ないし取得の禁止の処罰対象としての児童ポルノからは現行の「三号児童ポルノ」を除外し、単純所持ないし取得の禁止の処罰対象の拡大や、製造・提供・頒布等の場合の児童ポルノの定義の限定化については、附則で政府に諸外国法制やその運用についての調査研究を求めることを盛り込むなどして今後さらに議論を重ねるといった方法もありうるのではないかと思います。

2,処罰対象を曖昧にせず、客観的にすること

自民・公明党案では、単純所持処罰の対象を限定するために「自己の性的好奇心を満たす目的」という文言を用いています。同案では同時に、濫用の防止を定めた第三条を改正して「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない」としていますが、しかし、6月26日の法務委員会質疑の葉梨委員答弁では「基本的にこの法律というのは、ペドファイル、小児性愛者との戦いということ」とされています。

同委員会質疑で民主党案に関連して枝野議員が「小児性愛者であるかどうかということは内心の問題」と述べたことについて、私たちも同様に考えています。小児性愛者であるかどうかが内心の問題である以上、その戦いという目的を設定することは、「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的」からの逸脱であり、単純所持処罰における「自己の性的好奇心を満たす目的」という限定も、実際には「小児性愛者との戦い」という、本来の目的からの逸脱を強めるものであるように思われます。

そのような逸脱は、将来において、児童の被害の発生していない段階における所持未遂罪の創設につながりかねないと私たちは考えます。所持未遂は、英国および米国連邦法の場合には既に処罰対象であることから、自民・公明党案の延長で、次回の改正で「国際標準」としての未遂罪を設けるというのは、現実の可能性としてありうることです。この場合、共謀罪も議題とされるでしょう。

将来、万が一所持未遂罪が創設されるようなことになれば、例えば、自民・公明党案附則にある「インターネットによる閲覧の制限」が、児童の被害を防ぐとともにインターネット利用者にとっては違法行為を犯してしまうことから守られる利点を持つ、といったことにならず、むしろ、人々のインターネット閲覧の監視の道具となるような事態も考えられます。そのような事態は、基本的人権や通信の秘密を大きく損ねるものです。従って、将来にわたってそのような誤った方向に至らないよう、「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童 を保護しその権利を擁護するとの本来の目的」から逸脱しない形で法改正は行われるべきと考えます。

この点、民主党案の「有償・反復取得」は、抑制された内容であり、将来、未遂罪を創設するのは飛躍がある内容となっていて、相対的には評価できます。

もうひとつの問題は、現行法において、被写体児童自身による製造・提供などが処罰対象となってしまうことについて配慮がないまま、単純所持を処罰対象としたり、罰則を強化したりする方向となっており、被写体児童の保護が十分でないことです。自民・公明党案では、「自己の性的好奇心を満たす目的」であれば、自分の写真の所持でも処罰対象となります。民主党案では、現行の単純製造罪について、「姿態をとらせ」た場合に限定しているのを盗撮をカバーする目的で改めていますが、そのために、自身の写真の単純製造も新たに処罰 対象となります。

児童ポルノ禁止は児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護するためのものではありますが、昨今、児童による携帯電話の利用のなかで、児童が自身を被写体とした写真や動画を撮影し、その内容が児童ポルノに該当するものとなっている場合があり、問題になる場合があります。そのような行為は児童の健全育成の観点からみて好ましくないとは思われますが、しかし、児童自身を処罰対象とすることは、法の目的にそぐわないものと私たちは考えます。

EU諸国の中には、児童自身による製造や児童間の真摯な合意に基づく提供・所持などについては違法としない場合を設けている国があります。米国の場合、児童ポルノ犯がすべて性犯罪者登録されることから、弊害が深刻化し、そのために州法で合法化したり、あるいは軽犯罪にカテゴリ替えする立法を行ったりする動きがあります。

児童ポルノの流通抑制という観点からは、こうした行為をわが国で合法とするには調査研究が不足しているとは思われますが、少なくとも、被写体児童自身による製造・提供・所持などについて処罰しないことを明記することは、法の目的にかなうと私たちは考えます。

3.冤罪の可能性がある処罰の新設ではなく確実な法執行で児童を守ること

児童ポルノによる児童の被害は、拡散のみならず所持が続くかぎり継続するという考え方を必ずしも否定するものではありませんが、現実の問題として、児童ポルノ法以前にはとくに違法性を帯びるとは判断されずに流通した写真や映像作品で、現在は児童ポルノに該当すると判断されるであろうものは少なからずあり、それらは、違法とは考えられていなかったゆえに、単体で流通したとは限らず、例えば雑誌や書籍の中のごくわずかなページ、あるいは一般映画の中のワンシーン、といった形で紛れ込んでいる可能性があります。そして、多 くの場合、単に仕舞い込まれているという形で所持されているでしょう。

この状態を広く違法状態と捉え、処罰対象を性欲目的という主観的要素で限定するという自民・公明党案は、冤罪を多くの悪意のない一般国民にもたらすおそれがあります。

こうしたものの蓄積を調べあげて現在の見地から違法なものがあれば廃棄しなければならないとすると、児童ポルノの被害の解消という目的を越えて、大衆文化の記録が大きく損なわれる可能性があります。国立国会図書館の納本制度では現実の運用では納本漏れが少なからずあり、民間での書籍等の廃棄は対象となりうる書籍について研究者によるアクセスをも困難にする可能性があります。

また、葉梨議員の答弁にあったような、政府が所持の禁止の施行前に過去に合法的に流通した個別の作品について児童ポルノに該当するか判定して回答するサービスを提供することは、司法判断によらず行政府のみの判断によって特定作品の存在を永遠に葬るということになり、弊害が大きすぎるようにも思われます。

法執行のリソースも有限である以上、多くの国民の犠牲を払うよりも、新たな頒布や提供を抑止するためにこそ法執行を確実に行うことが、児童を守ることになると私たちは考えます。そのためには、前述のように被写体児童自身を処罰しないようにすることに留意しながら、製造・頒布・提供の処罰を強化したり、児童ポルノの製造・頒布・提供の摘発をより効率的かつ着実に行うことができる法執行体制を整備するための措置が必要であると私たちは考えます。

4.インターネットの規制の前に憲法や他の法律等との整合性を取ること

自民・公明党案では、第十四条の二として、インターネット事業者の努力義務を定めています。この条文では、「不特定の者に対する情報」の発信側の事業者と閲覧側の双方の事業者に対して「いったん国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることにかんがみ」とした上で、捜査機関への協力のほか、「当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置」を求めています。

「いったん国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることにかんがみ」た上でのこれらの努力義務は、通報や自主的な巡回などによって違法情報の発信に気づいた段階での送信防止といった、妥当と思われる範囲を越えて、例えば情報発信側の事業者として、利用者が不特定の者に公開するコンテンツの事前審査を要求しているようにも解釈できます。もし事業者がコンテンツの事前審査を行うことになれば、審査内容は児童ポルノに留まることができず、幅広い規制とならざるを えないと考えられます。そのようなコンテンツの事前審査を実質的に努力義務で求めるとなれば、児童ポルノの問題を越えた、表現の自由に対する強い抑制となる可能性があり、憲法上の疑義があります。その上、そのような事前審査は大多数の児童ポルノとは関係ないインターネットユーザーのネット利用を大きく阻害するものとなります。閲覧側の措置の努力義務についても、通信の秘密などの憲法上の問題が考えられ、少なくとも本国会で十分に議論が深められる状況とは考えられません。

また、昨年成立した青少年インターネット環境整備法の附則第四条では、児童ポルノを含む違法情報について「サーバー管理者がその情報の公衆による閲覧を防止する措置を講じた場合における当該サーバー管理者のその情報の発信者に対する損害の賠償の制限の在り方については、この法律の施行後速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。 」としており、その経緯を見守る必要もあります。

従って、本改正では事業者の努力義務は見送り、安心ネットづくり促進協議会などの民間の取り組みや前記の青少年インターネット環境整備法の附則に基づく検討を待つなど、慎重な対応を続けるべきだと考えます。

5. 今後に向け、本当に児童を守るための施策を検討すること

自民・公明党案では、附則で「児童ポルノに類する漫画等の規制」の調査研究の推進と「インターネットによる閲覧の制限」の技術開発の促進の配慮を政府に求めた上で、三年後の規制導入の検討を求める内容となっています。

しかしながら、「児童ポルノに類する漫画等の規制」は「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的」から逸脱するものであると、私たちは考えます。また、「インターネットによる閲覧の制限」を、少なくとも国が民間に求めることは通信の秘密の問題など、憲法上の問題が検討・解決されているといえない現段階において、導入を既定路線とするような附則は設けるべきではないと私たちは考えます。

それよりも、被害児童の保護を充実させる施策のほうが、はるかに重要だと私たちは考えます。

著作者 : 中川 譲
最終更新日 : 2009-07-11 00:32:51

「ホットライン運用ガイドライン」に対するパブリックコメントの結果について

MIAUが、財団法人インターネット協会の「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見の募集についてを受け、パブリックコメントを提出致しましたことは以前ご報告した通りです。

この度、財団法人インターネット協会は「意見募集に寄せられたご意見及びこれに対するホットライン運用ガイドライン検討協議会の考え方について」(PDF)という文書を公開されましたが、その中で、MIAUがパブリックコメントで指摘した点が有効に受け入れられ、運用ガイドラインが修正されましたので、ご報告致します。

なお、改訂された「ホットライン運用ガイドライン」(PDF:415KB)は、平成21年4月1日より運用を行うとのことです。

「公序良俗に反する情報であるか否かの判断基準」への「硫化水素ガスの製造」の追加について

MIAUの意見

今般の硫化水素ガス製造による自殺誘引や第三者被害の問題は、個別事例において深刻な問題を引き起こしており、総論として本項目の追加自体はやむをえないと考える。しかし、ガイドライン改定案では、対象情報の限定が不十分であり、必要以上に広汎な情報を対象情報としてしまうと考え、修正を求める。

硫化水素ガスは石油精製の副生物として工業的に製造され、そのほか工業的利用を目的とした純度の高いものも別の方法で製造されている。また、実験室製法は学校の教科書レベルの情報でもある。「学術目的である」かどうかにかかわらず、正当業務としての製造が少なからず存在するものであり、それらの記述と誘引表現が一体となっているからといって、それらをすべて公序良俗に反するとするのは問題である。さらに、鶏卵をかた茹でするなどの健康被害が考えられないほどの微量の硫化水素を発生させることを誘引する情報も、公序良俗に反するとするのは問題である。

現実の問題は、正当業務としての製造ではなく、一般市民が容易に購入できる日用品や一般医薬品などを用いて健康被害を起きる水準での硫化水素を発生させるような不適切な製造方法と誘引表現の組み合わせであり、判断基準もそれを考慮したものとするべきである。

従って、改定案において「なお、化学式等の記述のみであるなど学術目的であると判断されるものは該当しない。」としている部分について、「なお、化学式等の記述のみであるなど学術目的であると判断されるもの、工業的製法など一般には実現困難と判断されるもの、現実的な被害をもたらすとは考えられない程度と判断されるものは該当しない。」とするべきである。

MIAUの指摘に対するホットライン運用ガイドライン検討協議会の考え方

ご指摘を踏まえ、なお書きの部分を「なお、化学式等の記述のみであるなど学術目的であると判断されるもの、工業的製法など一般には実現困難と判断されるものは該当しない。」と修正します。

「公序良俗に反する情報に関する対応依頼書」の改訂について

MIAUの意見

現行「あなたに対して利用者との間の契約や利用に関する取り決め等に基づく対応を依頼します。」であるところ、改訂案では「あなたに対して当該情報について削除等の自主的対応や利用者との間の契約や利用に関する取り決め等に基づく対応を依頼します。」と、「削除等の自主的対応や」が追加されているが、削除はサーバ上のデータの消去となり、通常は回復できないものであることから、情報発信者の管理者に対する異議申し立てなどの可能性を考慮した場合、ホットラインセンターが依頼するものとしては不適切であると考える。この点、「違法情報に関する送信防止措置依頼書」では、「当該情報の送信を防止する措置」となっており、情報そのものの削除を直接求めるものとはなっていない。

従って、「削除等の自主的対応や」について「送信を防止する措置等の自主的対応や」に修正するべきである。

MIAUの指摘に対するホットライン運用ガイドライン検討協議会の考え方

ご指摘の通り「削除等の自主的対応や」の部分を「送信を防止する措置等の自主的対応や」に修正します。

以上がMIAUの意見とホットライン運用ガイドライン検討協議会の考え方の対応表です。

財団法人インターネット協会事務局におかれましては、ご多忙の折、意見を踏まえ所要の修正を行ってくださったことを感謝致します。

MIAUは今後も意見提出等を通じ、インターネットユーザーの利益と自由に資するよう活動を行っていく所存です。皆様のご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-04-08 23:24:34

文化庁の「Blu-ray Disc関連機器及び媒体を補償金制度の対象に追加する政令改正」へのパブリックコメント

MIAUでは、このたび文化庁の「著作権法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集の実施」(いわゆる、Blu-ray Disc関連機器及び媒体を補償金の対象に追加する改正)を受け、以下の内容をパブリックコメントとして提出いたしました。

意見の概要

  • 補償金の対象範囲などについては、今回のブルーレイに対するものだけでなく、今後も家電メーカーと権利者団体で意見の対立が見られると思うが、すでに文化庁にはその調整・裁定能力はない。
  • 法律上は消費者が負担するとされている補償金だが、家電メーカー側は実質的に自分たちが支払っているものと公言して憚らない。また補償金に対するに認知度調査および認知に対する取り組みも、積極的に行なわれていない。したがって補償金の支払い実態は、すでに法の定めるところから乖離している。
  • これらのことから判断して、補償金の規定を著作権法から外し、純粋に家電メーカーと権利者団体との契約上の取引とすべきである。また補償金の負担者を消費者ではなく、家電メーカーとすることで、2業者間のビジネススキームによる速やかな決着を促進すべきである。

意見の全文

録音・録画補償金のあり方につきましては、07年末に文化庁は「20xx年モデル」として、DRMの発達と普及に伴って補償金制度を廃止するというビジョンを打ち出しております。しかしながら現実の著作権法改正においては、DRMの普及や補償金制度の廃止にむけての具体的な政策は採られておりません。

昨年終了した私的録音録画小委員会でも、補償金の負担者である消費者代表の意見はほとんど顧みられることもなく、またDRMと補償金のバランスに関して結論が出るわけでもなく終了となりました。文化庁では今後も引き続き個別に調整をしてゆくとの意向を示しておりますが、国民が負担する補償金の調整を非公式の場で調整するという手法に対して、消費者としては深い疑念を抱かざるを得ません。また権利者団体の一部からは、今年2月5日の会見において、すでに文化庁の「20xx年モデル」は破棄されたものと見なすといった趣旨の意見も、公式の場で発言されております。

一方補償金の支払いに関しては、企業が実質的な負担者である旨の発言もなされています。実際にDVD-Rなどの記録メディアでは、CPRM対応であるかどうかでは価格差が存在せず、本来消費者負担であるはずの補償金制度の実態が、法制度からすでに乖離しているというのが実情です。さらに制度の存在に関しては、私的録音補償金管理協会および私的録画補償金管理協会は、国民に広く補償金への理解や周知を求める活動を行なう責務があると考えられますが、近年補償金の認知度調査そのものが実施されておらず、活動による周知の広がりを観測することができません。

補償金制度は、本来決められた制度からはすでに乖離した、消費者不在の運用実態であると言えます。また私的録音録画小委員会の事実上の失敗により、文化庁には権利者団体と企業間の調整能力がないと判断するのが妥当であると考えられます。これらのことから考えて、補償金制度は速やかに著作権法から切り離し、権利者団体と企業間での契約モデルに基づいた補償システムへと転換すべきであると考えます。また補償金の負担者に関しては、今後はこれまでの運用実態に合わせ、消費者負担ではなく企業負担とすることで、より早期かつ円滑な決着を促進すべきであります。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-03-10 00:25:45

財団法人インターネット協会の「ホットライン運用ガイドライン」へのパブリックコメント

掲載が遅くなりましたが、MIAUでは財団法人インターネット協会の「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見の募集についてを受けて、以下の内容でパブリックコメントを提出しました。ご参考下さい。

意見1.「公序良俗に反する情報であるか否かの判断基準」への「硫化水素ガスの製造」の追加について

今般の硫化水素ガス製造による自殺誘引や第三者被害の問題は、個別事例において深刻な問題を引き起こしており、総論として本項目の追加自体はやむをえないと考える。しかし、ガイドライン改定案では、対象情報の限定が不十分であり、必要以上に広汎な情報を対象情報としてしまうと考え、修正を求める。

硫化水素ガスは石油精製の副生物として工業的に製造され、そのほか工業的利用を目的とした純度の高いものも別の方法で製造されている。また、実験室製法は学校の教科書レベルの情報でもある。「学術目的である」かどうかにかかわらず、正当業務としての製造が少なからず存在するものであり、それらの記述と誘引表現が一体となっているからといって、それらをすべて公序良俗に反するとするのは問題である。さらに、鶏卵をかた茹でするなどの健康被害が考えられないほどの微量の硫化水素を発生させることを誘引する情報も、公序良俗に反するとするのは問題である。

現実の問題は、正当業務としての製造ではなく、一般市民が容易に購入できる日用品や一般医薬品などを用いて健康被害を起きる水準での硫化水素を発生させるような不適切な製造方法と誘引表現の組み合わせであり、判断基準もそれを考慮したものとするべきである。

従って、改定案において
「なお、化学式等の記述のみであるなど学術目的であると判断されるものは該当しない。」
としている部分について、
「なお、化学式等の記述のみであるなど学術目的であると判断されるもの、工業的製法など一般には実現困難と判断されるもの、現実的な被害をもたらすとは考えられない程度と判断されるものは該当しない。」
とするべきである。

意見2.「公序良俗に反する情報に関する対応依頼書」の改訂について

現行「あなたに対して利用者との間の契約や利用に関する取り決め等に基づく対応を依頼します。」であるところ、改訂案では「あなたに対して当該情報について削除等の自主的対応や利用者との間の契約や利用に関する取り決め等に基づく対応を依頼します。」と、「削除等の自主的対応や」が追加されているが、削除はサーバ上のデータの消去となり、通常は回復できないものであることから、情報発信者の管理者に対する異議申し立てなどの可能性を考慮した場合、ホットラインセンターが依頼するものとしては不適切であると考える。この点、「違法情報に関する送信防止措置依頼書」では、「当該情報の送信を防止する措置」となっており、情報そのものの削除を直接求めるものとはなっていない。

従って、「削除等の自主的対応や」について「送信を防止する措置等の自主的対応や」に修正するべきである。

著作者 : 松崎 勝利
最終更新日 : 2009-03-09 13:33:00

個人情報保護方針ならびに個人情報取扱規程の制定

一般社団法人インターネットユーザー協会では、会員情報や寄付等に関する個人情報を取り扱う機会が増えることを鑑み、下記のように当会が収集し利用する個人情報の保護に関する方針ならびに個人情報の取扱規程を策定いたしました。

個人情報保護方針

一般社団法人インターネットユーザー協会(以下「当会」といいます)は、インターネットやデジタル機器等の、技術発展や利用者の利便性に関わる分野における、意見の表明・知識の普及などの活動を行うことを目的としております。

そのため、当会の情報資産である個人情報を適正に取り扱い、個人の権利利益を保護することは、重要な責務であると認識しております。 よって当会は、当会が収集し利用させていただく個人情報について次の事項を含む個人情報保護方針を下記のように定め、実施し、かつ、維持することを宣言いたします。

  • (1) 当会は、すべての活動で取り扱う個人情報について、個人情報の取扱いに関する法令を遵守いたします。
  • (2) 当会は、個人情報の取得、利用にあたっては、その利用目的を特定することとし、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えた個人情報の取扱い(目的外利用)はいたしません。また、目的外利用を行わないために、適切な管理措置を講じます。
  • (3) 当会は、ご本人の同意を得ている場合や法令にもとづく場合等を除き、取得した個人情報を第三者に提供することはいたしません。
  • (4) 当会は、個人情報の取り扱いに関する苦情を受けた場合は、その内容について迅速に事実関係を調査し、合理的な期間内に誠意をもって対応いたします。
  • (5) 当会は、取得した個人情報を適切に管理するため、組織的・人的・物理的・技術的な安全対策措置を講じ、個人情報の漏えい、滅失又はき損の防止及び是正に取り組みます。
  • (6) 当会は、社会情勢・環境の変化を踏まえて、継続的に個人情報保護への取り組みを改善していきます。

個人情報取扱規程

MIAUにおける個人情報の取り扱いに関する具体的な規程については、下記をご参照下さい。

MIAUでは、上記方針ならびに取扱規程を遵守して活動を行ってまいります。今後ともMIAUの活動へのご理解ならびにご支援のほど、よろしくお願いいたします。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-04-14 12:05:09

青少年ネット規制法の成立について

時下、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

既に複数のメディアで報道が行われておりますが、「青少年ネット規制法」(正式名:青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)が6月11日に成立致しました。

MIAUでは、素案の段階から法案の入手と検討を行い、疑問点を指摘すると共に、青少年ネット規制法案に反対する共同声明を発表してきました。また、議員の方々へのロビイング活動や、各種メディアへの執筆・シンポジウム等を通じ、当法案の問題点について一般の方々への周知も行って参りました。

本法律は、表現の自由、成人および青少年の知る権利、私生活上の自由、家庭の自治などを侵害する恐れのみならず、インターネットのエンドツーエンドの構造と両端での実装の自由がもたらしてきた創造的な発展を大きく損なう可能性が拭えず、依然として憂慮すべき事態であると考えております。さらに、本法律は、多くの国民、および多くの事業者に多大な影響を与えるものであったにもかかわらず、法案の国会提出から極めて短時間の審議で成立に至っており、政策決定の透明性に大きな問題があったと言わざるをえません。

しかしながら、条文や付帯決議、答弁等によれば、関係者各位の努力によって、MIAUを初めとする多くのインターネット・ユーザーが懸念を表明していた問題の幾つかは払拭され、最悪の事態は回避されたと考えております。ご支援ご協力下さった皆様に感謝致します。誠にありがとうございます。

なお、成立した法律には、3年後の見直しについての附則条項が含まれています。MIAUとしては、このような条項がなし崩し的な規制強化のきっかけとなることが無いよう、見直しにあたっては、国民各位が十分な言論を尽くした上で、廃止を含めた法律の是非や内容の検討が行慎重に行われるよう、今後も注視していく所存です。

MIAUは、表現の自由や知る権利、私生活上の自由、家庭の自治、さらにはインターネットの創造性を損なわないような形で、青少年の安全や健全な成長を阻害する危険への対策を研究・模索することは可能であると考えています。「危険なものを全て包み隠してしまうのではなく、何が危険かを教えていくことが危険への対処として妥当」との考えの下に、啓蒙活動や青少年への教育に対する具体的な対策を図ろうとの試みも、今後一層の充実を図って行く所存です。

皆様におかれましては、これからも変わらぬご指導ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2008-06-15 07:21:16

共同声明:私たちは青少年ネット規制法案に反対します

このたび、私たちインターネット先進ユーザーの会(略称「MIAU」)及び下記団体・個人は、現在検討されている青少年ネット規制法案(自民党法案名『青少年の健全な育成のためのインターネットによる青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案』など)に対して、下記の通り反対の意を表明することにいたしました。

賛同団体及び賛同個人は現在も募集しております。ご賛同いただける場合は、info@miau.jp までご連絡ください。多くの方にご賛同いただければ、本法案への反対意見が多いことを示せるかと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

私たちは青少年ネット規制法案に反対します

インターネットの劇的な普及と発展により、私達は以前よりも多くの情報を入手し、活用し、そして発信する手段を獲得しました。またビジネスにおいても、情報の収集、利用、発信や、取引への利用など、インターネット無くしてはビジネスが成り立たないほどの社会基盤となろうとしています。これらによってビジネスのスピードは加速し、また、論文やデータ等の公開・共有による世界的な知の発展も、今までになく加速しようとしています。

その反面、あらゆる人々がどんな情報でも発信できることから、猥褻や犯罪などといった、青少年に「有害」とされる情報も多く飛び交っているとの声もあります。そのため、青少年の犯罪とインターネットとの関連性を指摘する声が挙がり、現在、インターネット全体を広く規制しようという法案が、自民・民主両党によって検討されています。

私たちは、青少年が犯罪に巻き込まれないように努力するという社会的・倫理的な必要性を、とても強く認識しています。 また、インターネットを経由して行われる犯罪を防止するための積極的な取り組みも、大切だと考えていますし、明確に、かつ極めて限定的に定められた、現状の違法情報への取り組みを否定するものでもありません。

しかし、青少年を保護するためとはいえ、健全な情報を発信する個人や、それを支えるインターネット関連企業などにまで、情報発信・公開についての制限をかけてしまうことは適切でしょうか。インターネット上の広汎な情報を、単に青少年にとって有害であるとして法律によって規制することは、どんな手段であっても、結果的に国家による検閲に繋がりかねず、情報の発信やコンテンツの制作を萎縮させていきます。また、事業者に対して法律によって「有害情報」への対応を義務づけると、その経済的な負担は、零細事業者の多いインターネット関連企業の経営を直撃し、新たな官製不況を招き兼ねません。さらには消費者の PC 等にプリインストールされるというフィルタリングソフトウェア等のコストは、最終的に消費者に転嫁されることになり、フィルタリングを必要としない人にまでコスト負担を負わせることになります。

青少年を本当に保護するためには、インターネットを大幅に規制することではなく、早期の教育で青少年に正しい知識を教え、適切なインターネットの歩き方を体得させることが、より優れた手段ではないでしょうか。何よりも、「有害」な情報に全くアクセスできない状態で成人した青少年は、どこで情報の取捨選択や主体的な判断といった情報への対応、すなわち「情報リテラシー」を学ぶのでしょうか。受動的な教育を受けさせるだけでは、興味本位で「有害情報」のサイトを作成する青少年や、成人してから多くの犯罪に巻き込まれる、「情報弱者」の 18 歳が生まれるだけではないかと危惧しています。

私たちは、「有害情報」への対処について、国家によるインターネットの制限ではなく、教育による情報リテラシーの向上と、民間事業者による自主規制の強化で対応することを提案します。

現在、「情報」という授業は高校でしか行われておらず、義務教育での情報教育は貧弱なままです。青少年を犯罪から守るためには、小学生の頃から、情報リテラシーについてのきちんとした教育を行うことが大切でしょう。また、既に携帯電話においては通信事業者を中心とした自主規制団体が作られているところであり、事業者による社会的な対応も行われていきます。

我々は、拙速な議論で結論に飛びつくのではなく、事業者と利用者、そして青少年の意見を、日本のインターネット政策に正しく反映させることを求めます。そして、その結論は、インターネットを国家によって規制するものではなく、青少年がインターネットを使いこなすことによって、より情報社会の発展に繋がるようにするものであると確信しています。

賛同団体

  • Movements for Internet Active Users: MIAU(インターネット先進ユーザーの会)
  • WIDE プロジェクト
  • 多摩大学情報社会学研究所
  • NPO Arts and Law
  • 有限会社マンダラネット
  • ロージナ茶会
  • CPSR/JAPAN(2008/04/22 23:59追記)
  • (以上、順不同)

賛同個人

  • 公文 俊平(多摩大学情報社会学研究所所長)
  • 会津 泉(ハイパーネットワーク社会研究所 副所長)
  • 江崎 浩(東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
  • 立石 聡明(社団法人日本インターネットプロバイダー協会 副会長)
  • 山形 浩生(評論家)
  • 白田 秀彰(法政大学准教授)(2008/04/22 21:27追記)
  • 金 正勲(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 准教授)
  • 中野幸紀(関西学院大学総合政策学部総合政策学科 教授)(2008/04/24 04:19追記)
  • 校條浩(ネットサービス・ベンチャーズ・グループ マネージング・パートナー)(2008/04/24 04:16追記)
  • 楯岡孝道(電気通信大学 助教)(2008/04/24 04:16追記)
  • 伊津信之介(東海大学福岡短期大学情報処理学科 教授)(2008/04/24 04:16追記)
  • 津田和範(社団法人日本インターネットプロバイダー協会 理事、有限責任中間法人レンタルサーバー・オルグ 監事)(2008/04/24 04:16追記)
  • 野原佐和子((株)イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長)(2008/04/26 15:10追記)
  • 竹熊健太郎(文筆家、編集者)(2008/04/26 15:10追記)
  • (以上、順不同)

著作者 : Atsushi Enomoto
最終更新日 : 2008-04-26 15:10:17

「知的財産推進計画2007」の見直しに関するパブリックコメント

先日お知らせしました、「知的財産推進計画2007」について、MIAUから送付したパブリックコメントを、こちらにも掲載いたします。

以下、「知的財産推進計画2007」について、その議論経過もふまえてコメントします。(ページ数は当該文書を参照)

著作権法における非親告罪化について (P.63)

著作権侵害は、有体物に対する財産権の侵害と比べて簡単に生じやすいものであり、またその財の非競合性から、無断で利用されることを被害と考えない著作権者が、数多く存在しています。著作権侵害を非親告罪化すると、著作権者が黙認するような事例について、著作権者の意思を無視して刑事告訴するという不条理が生じてしまいます。これはあってはならないことです。

また、刑事実務上、親告罪が非親告罪化されたところで、大してプラスの影響はないということは、昨年度の文化審議会の報告からも記されています。著作権侵害を効率よく規制する手段としては作用しないと考えられます。

私的使用複製の違法化について(P.91)

いわゆる「ダウンロード違法化」の問題について、いわゆる「違法サイト」からのダウンロード、いわゆる「適法サイト」からのダウンロードの両方について、文化庁が昨年の審議会の最終報告書でまとめたような違法化は適切ではないと考えます。既に文化庁のパブリックコメントにて指摘しましたが、以下のように数多くの問題点が懸念されます。

  1. 複製にあたるダウンロードと、複製にあたらないブラウジングやストリーミング視聴を、技術的には区別が曖昧であるにもかかわらず、法律的に適法性の区別がつけられてしまう筋の悪さと将来的な技術開発への無用な制約があること。
  2. 海外でその地の準拠法では違法な公開にあたらないサイトを利用した場合の扱いなど、国際的な法制度の不整合があること。
  3. 一部の国家を除いて、著作権制度はほぼ全世界的に無方式主義であり、ネットユーザーにとって、あるコンテンツが適法公開なのか違法公開なのかを、合理的な理由に基づいて判断する術が無く、違法公開「かもしれない」と考えてもそれを容認してダウンロードすれば、情を知っているので違法とされうること。また、裁判官の判断にも大きく依存し、また文化庁の持論も裁判によって否定されることがあり高度の信頼性に欠ける現状では、国民の法的地位が甚だ不安定になること。
  4. 国民が常に自分が違法行為を犯しているのではないかという不安感に晒され、それが架空請求の踏み台として大いに利用されうること。
  5. 「適法な」ダウンロードについて、実効性を担保したり国民の安心を得たりするために、適法ダウンロード情報をトラッキングするということになれば、通信の秘密が侵害されることになるおそれがあること。
  6. 学問・研究・報道等で違法ダウンロードについて調査する行為なども、従来は私的使用複製の概念で柔軟に対応していたとも考えられるが、ダウンロードが違法化されると、これらも違法行為とされてしまうということ。
  7. そもそも、法改正が必要であるという主張の根拠が乏しいということ。(「ダウンロードによる被害」が本当に存在するのか、印象操作の疑いの無い、信頼できる統計情報は存在しない。またダウンロード違法化議論で議論されている「問題」は、法律上は送信可能化権で既にカバーされているはずであり、まず著作権者が送信可能化権をしかるべく行使するよう啓発すべきである。)

なお、適法性の判断の問題に関連して、「適法マーク」のようなドメスティックな民間対応を見せる著作権団体もありますが、その有無は何ら適法性も違法性も担保しませんし、これを入札条件とする官製談合の類が認められるようなことがあってはならないと考えます。公正取引委員会ではコンテンツ事業の発注につき、厳格な姿勢で審査していただきたいと考えます。

ネット上のビジネスマーケット構築について (P.91)

最近、ネットでコンテンツを配信するための簡便な権利処理が必要であるという問題意識から、ネット配信に限定してそのために必要な権利を映画会社等に集中的に権利を帰属させる「ネット権」を創設すべきであるという提案がなされています。そこに問題意識を向ける姿勢は私たちも賛同するところですが、具体的な案としてのネット権については否定的にならざるを得ません。

ネット権の提案では、権利が映画会社やTV局に帰属することになりますが、これらは実際にコンテンツを制作している著作者ではありません。ネット権者に権利を専有させるということは、著作者から権利を剥奪することでもあり、ここではそれがマイナスに作用し、番組制作会社のインセンティブを不当に損なうことになります。

ネット権提案者たちが問題視しているのは、番組の配信等が行えないことにあるのですから、ネット配信に必要な権利について、事前徴収・事後分配方式で必ず許諾されるものとし、使用料に相当する対価を文化庁あるいは第三者機関に信託できれば足ります。個別の映画配給会社や放送事業者が権利を専有する必要は無いと考えます。使用料の分配は純粋に著作者間でなされるため、創作の担い手にさらなるインセンティブがもたらされることにもなることを考えると、この方が望ましい方式です。

そもそも、権利処理を簡便化するために新しい権利を創設するというのは、筋が悪いと言わざるを得ません。ネット配信に限定した専有権という考え方は、あまり明確なものではありません(インターネットプロトコルを利用したイントラネットにおける流通や、住基ネットを経由しての複製等の問題が考えられます)。

私たちは、権利処理の構想として、著作権制度とある程度パラレルでありつつ、既存の制度と矛盾しない「二階建て」のような制度が、ネット権よりも具体的に妥当すると考えています。それは、本来的に文化的な創作の保護を主眼におき、無方式主義であらゆる創作者に権利が自然発生する著作権制度は従来型のままにして、積極的に営利活動を行いたいという者にのみ、著作権を放棄することを条件に、新制度で与えられる法的保護を受けることを届出させる、というもので、以下のようなメリットがあります。

  1. 登録されている情報を探すのみであるため、権利者の探索に無用なコストがかからなくなる。
  2. コンテンツビジネスのために制作されたものであり、明確な権利行使の意思があると推定できることによるメリットがある:  
        
    1. 非親告罪化に類似する(ただし著作者の同意による違法阻却があり得る)規定を設けることができる
    2.   
    3. 禁止権として構成するのではなく、報酬請求権として構成することで、許諾を得るためにワンストップをかける必要がなくなる。
  3. 権利処理を自動化する機構を法的に整備しやすくする。

この制度によって、著作権法がその本来的な趣旨を維持しつつ、コンテンツ産業やネット配信など現代的な課題を解決することが可能になります。

「二階建て」の制度案については、同じ名前でいくつか(誤解を含む)解説が見られますが、私たちが支持する案は以下で詳しく説明されています。

    http://grigori.sblo.jp/article/3837797.html http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20070811

私的録音録画補償金とDRMについて (P.91)

文化庁では、審議会にて発表した「将来的にはDRMを前提に補償金を廃止」という方向性を示していますが、これについては私たちはむしろ否定的な立場をとります。EMIやユニバーサルミュージック、Sony BMGやワーナーミュージックなどがiTunes PlusやAmazon MP3などDRMフリーの音楽配信サービスを活用するようになり、大物ロックアーティストが自らDRMフリーの音楽配信を行うようになった現在、DRMは世界的な音楽配信の潮流としてはむしろ廃止されつつあります。DRMが何らかの補償制度の要件として機能することを求められるような制度設計は、現実的ではありません。

また、現在のような補償金制度を維持するとした場合でも、DRMが施されていて複製できないようなコンテンツについては、補償すべき損害は間違いなく存在しないのですから、補償金分配の対象から除外するなどして、公平な制度に改正する必要があると考えます。

補償金は何より著作権者に分配されるべきものであり、その徴収・分配が適切に行われるよう、透明性を高める努力が求められています。そのような努力を放棄して、共通目的事業を拡大したり、既に業界向けに周知されているはずである補償金制度の広告に補償金をつぎ込んだりしようというのは、不適切であると考えます。

著作権保護期間延長論について (P.94)

著作権保護期間延長論には数多くの問題があります。

  1. 著作権の保護期間を延長することは、遺族など一部の著作権者(著作者でない)を利することしかなく、新たな創作へのインセンティブが存在しないということは、経済学上ほぼ争いがありません。著作権者の遺族のみが不労所得を得られるべきであると考える合理的な理由は何ら存在しません。
  2. 長すぎる保護期間は、米国で"Orphan Works"と呼ばれる問題を生み出しています。すなわち、保護期間が長いため、著作権が切れていないが、著作権者の存否や所在が不明であったり、著作権者の遺族と連絡がとれないため、自由に利用することが出来なくなってしまうのです。
  3. 著作権によって自由利用が制限されていれば、特に創作から何年も経った著作物はほとんど利用されないことになり、大多数の古い作品は死蔵されることになります。著作権保護期間が延長されれば、その死蔵期間が無駄に長くなります。
  4. 世の中のあらゆる創作は、それ以前の創作の上に成り立っていますが、著作権が存続している間は、それらの創作の上に新たな創作を作り出すことが困難になります。古典作品を現代風に加工した名作は数多く存在します。古典作品を埋もれさせない、著作者やその創作に対して思いやりのある制度が望まれます。
  5. いまだに保護期間延長が世界的潮流であると主張する向きもありますが、西欧でも保護期間延長法案が却下されているのが事実であり、世界的潮流はむしろ保護期間を延長しない方向になっています。そもそも、世界的潮流がどうであるかは、国内法制度のあるべき姿を論じる際には、ほぼ無関係な問題であり、特に著作権制度のように各種条約が既に存在するのであれば、その範囲で議論すれば足ります。
  6. 保護期間を延長しないことで日本の経済的利益が損なわれるという主張する向きもありますが、日本は古典作品については輸入超過であり、かえって日本の経済的利益を損ないます。

コピーワンスルールの見直しについて (P.105)

コピーワンスの運用を見直し、もう少し柔軟な運用ルールを模索した結果、現在では「ダビング10」と呼ばれる方式に結着したとされていますが、このダビング10方式は、コピーワンスと同様、1世代コピー(COG)のみを許容する、柔軟性に欠けるものであり、私たちはこれを支持できません。

ダビング10が実際に9回コピー + 1回ムーブを許容するのは、HDDプレイヤーを前提とした場合に限られ、単体のデジタルチューナーや外付レコーダー、ケーブルテレビのSTBを利用している場合は、従来通りコピーワンスの運用となってしまいます。すなわち、相当数の人にとっては、従来通りのコピーワンス状態になってしまい、柔軟な運用ルールは実現できていないことになります。

当団体でネットユーザーにアンケートをとったところ、7割の回答者はダビング回数について無制限が望ましいと回答し、同様に7割の回答者はコンテンツをPCまたはDVDにアーカイブしておきたいと回答しています。今後は、Apple社のApple TVのような、自社のハードウェア(TV)を活用したオンデマンド番組配信が、TV視聴に取って代わることになると考えられます。COGルールに固執することによって、PCのHDDやDVDへの自由なコピーが行えないのであれば、その流れはいっそう加速していくことでしょう。

以上。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2008-04-04 02:04:18

MIAU 設立発表会講演録(3)

設立記者発表会 閉会のあいさつ
Movements for Internet Active Users 発起人 中川譲(映画専門大学院大学助教)

映画大学院大学は、映画のプロデューサーを育てる学校です。 皆さんご存じかどうかわからないのですが、映画産業というのは実はすごく小さい産業なんです。どれぐらい小さいかというと、劇場での年間の売り上げは2,000億円しかありません。2,000億円がどれくらい小さいかというと、準大手の製薬会社1社ぐらいで軽々と超えかねないぐらいの、それくらいの小さい規模です。

さらにせつないのは、映画の興行収入のトップ10みたいな作品は、上位5%ぐらいなのですが、その辺の映画作品が売り上げ全体の5割以上を占めてしまうという、頭の痛い感じの構造になっています。毎年だいたい日本だと、200本ぐらいの映画が作られるのですが、トップ10の残り95%ぐらいはあまり知られることもなく、あまり儲かることもなく、いつのまにか消えてしまうという末路をたどっていく感じです。

ちょっとおもしろいのは、劇場の収入は2,000億円なのですが、劇場以外のビデオ、DVD、インターネットでのペイ・パー・ビューみたいなものだと、実は4,000億円ぐらいありまして、そちらのほうが多く売れていたりします。

映画産業というのは、旧態依然とした形をずっと守っているとどんどん死んでいくということを知っていながらあまり変わっていないという、とても悲しい構造をずっと引きずっています。

こうした構造は実は映画だけのものではなくて、ゲームやアニメーションも、産業の規模は、統計の数値を見ていただくとわかるのですが、結構小さいもので、また上位ほとんど何かが独占しているという構図になっていたりします。

そういういろいろすべてのコンテンツまたはロングテールという言葉を皆さんご存じかもしれないですが、ほとんどのコンテンツは同じような構造になっています。そういう同じような構造を持ったコンテンツを、幅広くコンテンツの創造、保護、活用を促進するという法律が2004年にできていて、「コンテンツ産業の振興」などという言葉も盛んに耳にするようになったんですけども……。

しかし、「それって具体的にどういうことなの?」という話になった時に、先ほどの映画の話で言えば、売り上げの5割ぐらいを持っていってしまうようなトップ10の作品をばんばん売り出して世界に持っていくという話なのか、それとも残りの95%ぐらいに光を当ててみて何か違うことを探してみようというアプローチなのか、そのどちらなのだろうか、というのが私の率直な疑問です。

皆さん想像がつくと思いますが、実験的な表現や新しい才能というのは、95%のよくわからない、誰にも知られないようなところから生まれてきて……まあ、多くは生まれないで死んでしまったりするのですけれど。でも、そうした混沌があることというのは、コンテンツ産業においてとても重要なのです。その混沌があることを支えるのが、新しい技術だと思うのです。

インターネットのおかげで、映画は多分新しい技術、特に配給などの新しいフィールドを持つことができました。インターネットが、残りの95%のよくわからない有象無象の混沌のようなものが元気に存在していける場になればいいなと、インターネットがその助けをしてくれればいいなと願っています。

われわれの団体も、よくわからない混沌が元気になっていけるような何かの一助ができていけたらいいな、そういうふうに考えております。



本稿については、Tatsuki Sugiuraさんにご尽力いただきました。誠にありがとうございます。

このテキストはMIAUの映像からの派生物です。よって映像のライセンスに準じて、Creative Commons3.0 by-nc ライセンスが適用されます。

著作者 : 中川 譲
最終更新日 : 2007-11-23 20:18:33
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