警視庁「インターネットカフェ等の対策に関する意見募集」に意見を提出しました

MIAUは本日、警視庁が行っていた「インターネットカフェ等の対策に関する意見募集」に対して意見書を提出いたしました。内容は下記の通りです。

意見

1 本人確認義務について

運転免許証の提示などの厳密な本人確認義務を営業者に課すと、必要な証明書を所持ないし携帯していない青少年や国内からの旅行者、住所を失った生活困窮者などの利用が困難になると考える。とくに生活困窮者にとってインターネットカフェが一時的な避難所やネットを通じた仕事探しのための場として機能していることを考えると、義務化は彼らの生活をより困難にするものであり問題である。そもそも、規制の対象外とする旅館業では、本人確認義務は外国人に限定されている。従って、本人確認は公的な証明書に限定せず生徒証・学生証や社員証なども含めた幅広いものを認めるべきであり、さらに証明書などを提示できない場合に、例えばデジタルカメラで鮮明な顔写真を撮影して記録しておくなどの代替手段を許可することによって規制の目的と正当な利用の間の利害の均衡を図る必要がある。また、3年間の保存義務は、ハイテク犯罪の防止としては長すぎ、旅館業法や都の同施行条例、同細則において保存義務が明示されていないのに比べて重すぎる。インターネットカフェは旅館業と比べて営業として安定していないと考えられるため、長すぎる保存義務は利用者の個人情報流出に繋がる恐れがあり、問題が大きい。会員資格の喪失ないし最後の利用から数ヶ月程度に留めるべきである。

2 利用記録等の作成・保存義務について

個人情報保護の観点から3年間の記録保存義務は長すぎると考える。ハイテク犯罪対策としても、サイバー犯罪条約および犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(廃案)での通信履歴の保全が捜査上の求めに応じて90日以内とされているに留まることを考えると、必要以上に長いと考える。数ヶ月程度に留めるべきである。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-12-11 16:14:48

知財戦略推進事務局「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関する調査」へ意見書を提出しました

MIAUは本日、内閣官房 知的財産戦略推進事務局が行っていた意見募集「インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関する調査」に対して意見書を提出いたしました。内容は下記の通りです。

意見

(1)侵害コンテンツの迅速な削除を容易にする方策について

一般に権利侵害コンテンツとひとくくりにされるWeb上のコンテンツは、実際には、著作者が他の著作権者に無許諾で公開したり、著作権者が自らの利益になるまたは余計な権利許諾手続コストの発生を望まない等の理由で黙認したり、あるいは権利侵害として対応したりと、様々な状況下にあることが考えられる。そのような現状において、「侵害コンテンツ」の削除が社会的に認められるのは、権利者が明示的に無許諾の権利侵害を認めないとしている場合のみである。

権利侵害の迅速な救済を認めるための手段として、商用または非商用コンテンツの著作権に関する「二階建て」制度案や、各種の「デジタルコンテンツ流通促進法制」案が、これまでの知財本部や文化庁宛のパブリックコメントにおいて提案されている。これらは、単に権利者の都合に合わせて均衡を欠いたような案ではなく、公正な著作権制度の実現を目的とした深い考察に基づくものである。これらの法制度案によってこそ、権利侵害の迅速かつ公正な救済を実現すべきであると、わたしたちは考える。

さらに権利者と称するものが削除要請を行なったとしても、サービス運営者にはそれが本当にコンテンツの権利を所有する者なのかを確認する術がなく、安易な削除が逆に公開を容認するという意志を持った著作者の権利を侵害することにもなりかねない懸念もある。権利者と一口に言っても、著作者以外にも複製権を持つ著作隣接権者、著作権管理団体などがあり、それらの間で明確な意思統一が行なわれていないケースもある。

また、現行法の下でも、権利情報の誤信に基づいて、一般ネットユーザーの公開した著作物が正当な理由なくコンテンツプロバイダに削除される事件が発生し社会問題となっていることを考えれば、むしろコンテンツの安易な削除が行われないような制度こそが求められているのではないか。

(2)権利侵害者の特定を容易にするための方策(発信者情報の開示)について

発信者情報開示というものは、「個人情報保護」「プライバシー保護」「通信の秘密」の観点から、安易に認められるべきものではない。そのため、権利侵害等への対応を可能にしつつ、衝突する法益とのバランスを考え、プロバイダ責任制限法が既に規定されている。

現行同法の下ですらプロバイダやサービス事業者にとってのリスクが大きく、責任制限の要件に対応できない事業者は、発信者情報開示へ安易に応じがちである。要件がさらに厳しくなりリスクが増大すれば、事業の円滑な遂行に支障をきたし、新規参入や公正な市場競争を難しくするばかりか、イノベーションの大きな阻害要因となりかねない。結果的に一般消費者の権利の侵害や負担増をもたらすことに繋がり、一方で著作権者を利するのみである。現行法の規定を遵守し、個人の権利を維持することが重要である。

著作権制度に法的安定性をもたらし、わが国の知財・産業を発展させるためには、わが国の著作権法にも、米国デジタルミレニアム著作権法(DMCA)における免責事項に類する規定を導入すべきであると、わたしたちは考える。

(3)アクセスコントロールの不正な回避(注)を防止するための方策について

論点として「アクセスコントロールの不正な回避」が挙げられているが、そもそもこの文言の意味するところが明らかではない。著作権法においては、アクセスコントロールは技術的保護手段とは異なり、何ら意味のある概念ではなく、その回避にも不正なものは存在しない。アクセスコントロールを排斥する行為を違法とみなすことが常識に反する例として、DVDの再生開始画面をスキップできないという制限を解除する行為が挙げられる。

ゲームソフトウェアの複製機器について、著作権法の文脈で語るのであれば、著作権制度が公正なものであるためには、ROMに焼き込まれたソフトウェアであるか否かを問わず、リバースエンジニアリング等の公正利用を妨害しないようにする必要がある。リバースエンジニアリングのための複製を違法であると主張する学者はいないだろう。電子商取引及び情報財取引等に関する準則においては、これを制限しようとする契約の無効性についても言及されている。

また、これらの機器の「物の用法に従った利用」が「複製すること」であると考えれば、その所有について法が何らかの形で干渉することは、これらの機器の財産権の侵害に該当すると考えられる。前述の通り、これらの複製機器は専ら違法な目的で使用されるのではない。したがって、法規制により財産権を侵害する正当な理由があるとは考えられない。

これらの機器の製造・販売行為には、(地裁判決でしかないが)既に不正競争防止法の解釈論により違法であるとされている。権利者には、産業法の範囲内で最大限の保護が与えられており、これを越えて消費者の権利を害することは適切ではないと考える。

(4)損害賠償額の算定を容易にするための方策について

現在、著作物の実質的な対価を度外視した、名目価格のみによる損害額の推定規定が存在しており、これは一般不法行為法に比べると、著作権者が格段に有利となる規定である。これ以上、一方的に原告側・著作権者が有利な制度変更は、公正な法制度の均衡を大きく崩すものであり、加えられるべきではない。 また、証拠法としても、一般不法行為法においてバランスを考慮した規定が存在している。著作権侵害事件であるからといって、損害賠償額の算定を容易にするために、民法の一般原則を曲げて、証拠調を被告側・権利侵害者に不利にするような法改正を行うべきとする正当な理由は無い。

(5)侵害コンテンツへ誘導するリンクサイトについて

権利侵害コンテンツの位置づけが曖昧であることをしっかりと考慮せず、十把一絡げに「侵害コンテンツ」を語ることは不適切であると言わざるを得ない。「侵害コンテンツへ誘導するリンクサイト」の実態がどうか、まず明らかにする必要があるが、何らかの実態調査を行ってその結果を検証可能なかたちで公開する必要があるのではないか。

どのような表現行為も、表現者の意思を無視して語られることはない。「侵害コンテンツ」へのリンクも例外ではない。リンクというものは、単なる検索エンジンのクエリ結果や、学術研究・社会批評の目的なども含め、幅広く存在している。これに何らかの法規制をかけるということは、表現の自由を正面から規制することに他ならない。よって、それは二重の基準論に基づき、必要かつ最小限の制限でなければならない。米国法であれば表現の自由が堅持されるのは明らかである。より制限的でない他の方法としても、「侵害コンテンツ」の公開を差し止めるという方法が、直ちに挙げられる。

リンクをはるという行為を、送信可能化権侵害を物理的・心理的に容易にする幇助的な行為として問うことができる唯一の可能性として、「ネットワーク上にアクセスコントロールなしでアップロードされているが、外部のいずれからもリンクされていないようなコンテンツ」へのリンクを公開する行為が挙げられる。このような行為のみが送信可能化権の侵害となる場合もあるということを、著作権者団体の活動を通じて周知することが、対策として有効であると思われる。

また、単なる権利侵害コンテンツへのリンクを公開することと、「著作権侵害を積極的にそそのかし、推奨すること」を目的とするリンクは、後者を規制しようと考えるものであれば、明確性の原則に基づいて区別しなければならないと考える。

(6)効果的な啓発活動について

ただ著作権の存在さえ主張すれば事足りた20世紀とは、現代の著作権教育に求められている情報の質が異なるのではないか。現在行われている「啓発活動」は、時代の要請に合っていないとわたしたちは考える。

既に既存の著作権者団体が、(本来であれば著作権者に分配されるべき著作権料のうちの少なくない割合を割いて)権利侵害防止を目的としているとする広告活動を行っているにもかかわらず、その主張が受け入れられていない。これは、量的なプレゼンスが足りないからではなく、徒に著作権の保護を要求するためだけのものになっていて質的に受け入れられていないためではないかと思われる。

著作物やインターネットのユーザー・消費者の視点をふまえた教育の普及こそが、もっとも効果的なのではないか。「啓発」といった国民を受け身に置いた施策ではなく、むしろネットを通じた国民の積極的参加を促すようなプラットフォームの確立が望ましいと考えられる。

(7)その他

本件パブリックコメント募集には、具体的な政策提案内容を論点整理が添付されていない以上、「調査の内容」として例示されている各項目の具体的な策定に結びつくものでは全くなく、改めてパブリックコメントの募集が行われなければならないものであるとわたしたちは理解している。その際には、文化庁をはじめ各省庁で行われているパブリックコメント募集にならい、国民にしっかり論点が伝わるような整理資料を添付することが望ましい。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-12-11 16:14:51

第28期東京都青少年問題協議会答申素案に対する意見書を提出しました

MIAUは本日、意見募集が実施されていた第28期東京都青少年問題協議会答申素案「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」に対する意見書を提出いたしました。内容は、下記の通りです。

意見

今回の答申素案では、以下の個別指摘にもあるように、重要なポイントにおいて主張に根拠がないもの、認識不足のもの、事実誤認のものがある。東京都で行われる規制は日本のメディア産業及び情報通信産業の構造上、全国にその影響が及ぶため、そのような瑕疵は重大な問題である。したがって下記の指摘部分についてさらに1年程度調査検証を進め、もう一度新たな答申素案をパブリックコメントにかけるといった措置を求める。

また全体的に青少年の携帯電話利用に関する規制色が強く、情報リテラシー教育に関しての具体策がない。最終的に青少年が情報社会に生きていくことを前提に、どのようなスキルを身につけた大人になって欲しいのかのビジョンが必要である。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-12-10 16:04:13

新たに2セクションを追加した、ネットリテラシ読本Ver1.2を公開します

MIAUは、「青少年ネット規制法」による安易な規制よりも、青少年に対するネットリテラシー教育がまず先にあるべきとして、インターネットリテラシ読本「“ネット”と上手く付き合うために」を公開して参りました。

今回はさらに2セクションを追加し、全4セクションのVer1.2を公開します。今回より各セクションごとに、指導される皆様方への参考として、指導ポイントの解説書を付けました。また教材中に設問を設け、子どもたちにも積極的にインターネットやケータイに関する問題を考えて貰えるよう配慮いたしました。

設問部分は別途、ワークシート形式でも同梱しておりますので、子どもたちへの課題などにもお使いいただければ幸いです。

なおこの読本は、クリエイティブコモンズ「表示・継承」ライセンスによる公開となります。利用される皆様は、複製・配布など商用非商用に限らず、無償でご利用いただけます。ライセンスの詳細は、読本の奥付をご覧ください。

“ネット”と上手く付き合うために [Version 1.2] (LZH:約9.5MB)

【変更履歴】

  • セクション3、4を新規追加
  • 全セクションに指導ポイント解説書を新規追加
  • セクション1、2も3、4の体裁に合わせて変更
  • 設問部分のワークシートを新規追加

なお読本に関するご意見ご要望がありましたら、下記アドレスまでお送りください。より良い教材とすべく、フィードバックへのご協力よろしくお願いいたします。

E-mail: literacy◎miau.jp (◎を@に変えてください)

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-12-08 15:34:24

「埼玉県青少年健全育成条例の改正骨子案」に対して意見を提出しました

一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は11月30日、「埼玉県青少年健全育成条例の改正骨子案」に対する意見募集に、下記の意見書を提出いたしました。

本意見書では、条例案がフィルタリングに依存しすぎていること、「フィルタリングさえしていれば安全」との錯誤を生みかねないこと、保護者や地域社会が子どもの教育を放棄してしまうおそれがあること——を指摘いたしました。また、子どもが有害情報に接しても正しく対応できる力を身につけさせる「教育」の必要性を訴えました。

MIAUは、今後も子どもと保護者へのリテラシー教育の取り組みを進めてまいります。

青少年健全育成条例の改正骨子案への意見

2009年11月30日
インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良

埼玉県青少年健全育成条例の改正骨子案

  1. 条例改正の理由について
    インターネットおよび携帯電話における有害情報発信の責任において、本来このような責務をを果たすべき役割は、コンテンツプロバイダである。この条例改正案に関しては、コンテンツプロバイダの果たす役割がきちんと理解されていないのではないか。
    またコンテンツプロバイダによる自主規制、自浄努力などの取り組みはすでに行なわれているところであるが、それに対する評価も行なわれていないのではないか。
  2. 具体的な改正内容について
    改正案ではフィルタリング解除可能な条件として、「青少年に障害や疾病のある場合」の理由や因果関係が明確でない。例えば疾病のある青少年の携帯電話はフィルタリングを解除すべきという意図にも読めるが、障害および疾病の種別、それに対する携帯電話の役割、そこにフィルタリングがどのように関係するのかなど、具体的な条件を明確にすべきである。
    「保護者がインターネットの利用履歴提供サービスを活用し、青少年のインターネットの利用状況を常に確認する場合」に関しては、いくつかの問題がある。
    1. 一社しか提供していないサービスに、自治体が依存していいのか。
      現在携帯電話で、インターネットの利用履歴を提供しているのはNTTドコモ一社しかない。自治体による条例の実施が、携帯電話キャリア一社しか対応していないサービスに依存することに、強い懸念を感じる。これは埼玉県として、青少年に持たせる携帯電話はNTTドコモにすべきであるということか。
    2. 既存のインターネットの利用履歴サービスによる監視は、実効性が薄いのではないか
      インターネットの利用履歴は、おもにURLの羅列という形で提供される。NTTドコモのサービスは、PCを使って履歴を見るというサービスであるが、現在多くのケータイサイトは、PCからのアクセスを遮断しているところも多く、実質的には履歴からPC経由でサイトを確認することは困難である。またアクセス先のサイトに広告バナーやアフェリエイト、アドセンス等のリンクがあった場合、一カ所のアクセスに対して膨大なURLが発生する。
      したがって、親の携帯電話で全ての履歴サイトをチェックするというのは、手間や金銭的負担等の面からも現実的でない。このような観点から、携帯電話のインターネット利用を履歴管理サービスで把握するという条件は現実的な施策とは言えず、それを解除の条件にするというのは妥当ではない。
    3. 教育による成果が反映されない
      フィルタリングが解除できる条件として、子供たちが学習によって身につけた情報リテラシやスキルといった、教育の効果が反映されていない。このような方策では、子供たちが情報リテラシを学ぶモチベーションを低下させるのではないか。
    4. 方策がフィルタリングサービスに依存しすぎている
      ケータイのフィルタリングサービスは、現在実質的に一民間企業であるネットスター社に依存している。これは社会的公平性や評価の安定性について、まだ未成熟な状態であることを表わしている。
      またフィルタリングサービス提供会社自身も、フィルタリング技術は未成熟なものであり、全面的にフィルタリング技術に依存することは危険であると表明している。県レベルの方策としては、実態調査が不足しているのではないか。
    5. そもそもインターネットの利用履歴から得られる情報は少ない
      現在携帯サイトの情報元は、以前の情報掲示板的なものから、リアルタイムでメッセージをやりとりするサービスに主軸をうつしつつある。また会員制SNSなどでは、IDとパスワードがわからなければ内容を見ることができないため、アクセスしたサイトのURLがわかっても、情報の内容を把握するには至らない。

包括的に見て、今回の条例改正案では、フィルタリングさえしていれば安全であるとの錯誤を産む危険性があり、保護者あるいは社会全体が正しく児童を育成するという責務の放棄に繋がるのではないかと懸念する。埼玉県は東京に隣接した首都圏の一部であり、日本の情報発信の中枢に位置する立地である。このことを考えれば、県の方策として情報規制を行なうことは、せっかくの立地条件を無駄にしてしまうことにもなり、埼玉県に暮らすメリットを奪う結果となりかねない。むしろ首都圏の情報先進県として、子どもたちの携帯利用監視強化ではなく、有害情報に接してもそれに正しく対応できる力を身につけさせる教育の強化が、今後取り組むべきもっとも重要な課題である。

もう一度法本来の趣旨に立ち返り、子どもとともに、保護者に対する情報リテラシ教育の強化といった方策に転換すべきである。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-12-05 12:55:36

ニフティのWeb教材にMIAUが協力しました

ニフティ株式会社は11月26日、情報モラル教育用Web教材「心をつなぐネット・コミュニケーション講座~上手なメールの使い方~」の提供を開始しました。

同教材の「メールやりすぎ度チェック」の作成に、MIAUが協力いたしました。

インターネット・ユーザーの皆様方におかれましては、今後ともMIAUのリテラシ教育活動への変わらぬご理解とご支援、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-12-01 00:36:56

鳩山内閣閣僚による、最近の著作権保護期間延長に関する発言について

鳩山由紀夫首相が、11月18日に開催されたJASRACのパーティにおいて著作権保護期間の延長問題に言及し、現行の著作者死後50年から70年への延長に「最大限の努力をする」旨を発言したとの報道がなされています。またこれを受けて、川端達夫文科相も「著作権法改正に意欲」との報道もあります。

「著作権保護期間70年への延長実現に最大限努力」鳩山首相が明言 (Internet Watch)

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091118_329858.html

保護期間70年に延長を=著作権法改正に意欲-川端文科相 (時事ドットコム)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009112000273

著作権の保護期間延長が、著作物利用者である私たちの利便性を著しく低下させる一方、そもそも著作権者の(特に生存する著作者の)収入を向上させることはないという点に関して、すでに多数の事例研究や実証研究が存在しています。「メリットは無いのに、デメリットは確実にある」というのが、国内外を問わず多くの専門家の意見が一致するところです。この点は文化審議会著作権分科会の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」でも確認されており、2年間に及ぶ慎重な審議の結果、保護期間延長は見送られることとなりました。

著作権保護期間の延長、経済学的には「損」 「毒入りのケーキ」が再創造を阻む (ITmedia)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/15/news010.html

著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(文化庁)

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/index.html

著作物の二次利用やいわゆる「二次創作」を阻害する著作権保護期間の延長は、今後コンテンツ立国を目指す日本にとっても、決して有益な結果をもたらさないと思われます。

一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は、著作権の保護期間延長に反対します。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-11-21 01:32:27

私的録画補償金に関する意見及び要望書を文部科学省・文化庁・消費者庁に提出しました。

一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は10月9日、文化庁長官、文部科学大臣、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長へ宛てて「アナログチューナー非搭載DVD録画機器を私的録音録画補償金の対象機器に含む件についての意見と要望」を提出いたしました。

アナログチューナー非搭載DVD録画機器につきましては、「ダビング10」の運用によりユーザー(消費者)の録画が厳しく制限されていることから、私的録画補償金を課すべきかどうかで関係者間(権利者・ユーザー・メーカー)の意見が分かれているところです。それにもかかわらず、9月8日に文化庁が当該機器が課金対象であるとの見解を示したことで、今後関係者間の対立がより激化することが予想されています。

当会といたしましては、至急関係者間で協議の場を設け、結論が出るまでの間はアナログ非搭載DVD録画機器への補償金の課金を見送るべきと考えております。

2009年10月9日
文化庁長官 玉井日出夫 様
文部科学大臣 川端 達夫 様
消費者担当大臣 福島瑞穂 様
消費者庁長官 内田俊一 様
消費者委員会委員長 松本恒雄 様

一般社団法人インターネットユーザー協会

アナログチューナー非搭載DVD録画機器を
私的録音録画補償金の対象機器に含む件についての意見と要望

2009年9月8日、文化庁は社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)からの照会に回答する形で、「アナログチューナー非搭載(デジタルチューナーのみ搭載)のDVD録画機器が著作権法第30条第2項に規定される私的録音録画補償金制度の対象機器(政令第335号第1条第2項第3号で規定される特定機器)に該当する」との文書を文化庁長官官房著作権課長名で出しました。私的録音録画補償金制度については抜本的見直しのための議論が2006年から2008年にかけて文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会で続けられてきましたが、関係者が包括的な合意に至らず、また短期間で合意が実現できる状況にはありません。このことは2008年6月17日に発表された文部科学省及び経済産業省の合意文書「ダビング10の早期実施に向けた環境整備について」においても、2009年5月22日に発表された「著作権法施行令等の一部改正について(通知)」においても確認されております。

アナログチューナー非搭載のDVD録画機器が私的録音録画補償金の対象機器に含まれ るかという点については、2009年5月22日付の「著作権法施行令等の一部改正について (通知)」において「アナログチューナーを搭載していないレコーダー等が出荷される場合、及びアナログ放送が終了する平成23年7月24日以降においては、関係者の意見の相違が顕在化し、私的録画補償金の支払の請求及びその受領に関する製造業者等の協力が十分に得られなくなるおそれがある。両省(文部科学省・経済産業省)は、このような現行の補償金制度が有する課題を十分に認識しており、今回の政令の制定に当たっても、今後、関係者の意見の相違が顕在化する場合には、その取り扱いについて検討し、政令の見直しを含む必要な措置を適切に講ずることとしている」と記載されております。

しかし、今回文化庁は、関係者間で合意の取れていない「アナログチューナー非搭載のDVD録画機器が対象機器に含まれるか」という判断を何の審議も経ず、独断で行った形になります。権利者・消費者・メーカーなどの関係者間で意見の相違が顕在化しているにも関わらず、このような文書を出されたことは誠に遺憾です。

そもそも行政庁が、「関係者間で慎重に議論しながら進める」という合意が取れている事項について一方的かつ法的拘束力のない法令解釈を外部に対して出したことに、どれだけの妥当性があるのでしょうか。政権交代という混乱の時期だからこそ、行政官庁には慎重な態度が要求されると当協会は考えます。

私的録音録画補償金制度は、メーカーに「協力義務」を課しているだけであり、法的制裁もなく、メーカーが協力をしなければ実効性を持たない脆い制度です。言い換えれば、 関係者間の話し合いに基づく合意がなければ成立しない制度ということです。権利者とメーカーの対立構図が深まっている中、行政官庁である文化庁がこのような見解を出せば、メーカー側が態度を硬化させ、補償金制度に一切協力しないという行動につながりかねないのではないでしょうか。文化庁にどのような意図があるのかは消費者・ユーザーの立場からはうかがい知ることはできませんが、私的録音録画小委員会で当協会代表理事の津田大介が、委員として3年間の長きにわたり議論に協力してきたことが結果的に無視されて進められたことについては強い遺憾の意を表明せざるを得ません。今回の件は、私的録音録画補償金制度全体に関する大きな問題です。この時期になぜ文化庁長官官房著作権課長が問題をより一層混乱させるこのような文書を出したのか、文化庁は真意を明らかにする必要があるのではないでしょうか。

本件に関する当協会の意見は以下の通りです。

  • 私的録画補償金は、著作権保護技術による複製制限のないアナログ放送のデジタル録画が無制限にできることを懸念して導入されたものであり、コピーワンスやダビング10といった複製回数に厳しく制限されるDRMが施されているようなコンテンツについてはそもそも「補償すべき損害」が存在しない。そのため、コピーワンスやダビング10が施されたコンテンツを録画するメディアや機器について補償金徴収の対象から除外する必要がある。今春より市場投入されているアナログチューナー非搭載型DVD録画機器は、物理的にDRM制限の下でしか複製を行えない仕様になっているため、補償金の対象機器とす ることは不当である。
  • 文部科学省・経済産業省ともに「関係者間で包括的な合意に至らず、また短期間で合意が実現できる状況にないと認識」している合意文書を出しているにも関わらず、何の審議も経ずに文化庁の裁量で補償金の対象機器を決めるやり方は、あまりにも一方的であり、私的録音録画補償金制度により一層の混乱をもたらすものである。

以上のことに鑑み、本件について以下のことを要望いたします。

  1. 無料デジタル放送の録画に対する私的録音録画補償金制度のあり方については、消費者、権利者、メーカー等を含む、公平な人選のもと、透明性の確保された審議の場を設け、そこで引き続き合意をめざして議論すべきであり、早急にそのような議論の場が設定 されること。
  2. アナログチューナー非搭載DVD録画機器を補償金制度に関して政令指定機器であるとした文化庁長官官房著作権課長の回答を撤回し、議論の結論が出るまで本件は保留とすること。
著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-10-13 14:40:28

政見放送の共有を開始します

MIAUでは、8月30日の衆議院総選挙に際し「MIAU総選挙プロジェクト2009」を実施してきました。その第1弾、立候補者へのアンケート「インターネットユーザーからの10の質問」の結果については、すでにこのサイトでお知らせした通りです(東京の選挙区/それ以外の選挙区)。

そして、第2弾として予定しておりました政見放送の共有を開始しましたので、お知らせいたします。選挙期間中にテレビ放送された政見を政党ごとに切り分け、YouTubeで閲覧できるようにしてあります。東京都の小選挙区選挙・比例選挙の政見放送を網羅しました。

http://www.youtube.com/miauelection

先の選挙で示された各党の公約をこの映像で確認しながら、今後の政治・選挙のあり方を議論するのにお役立てくだされば幸いです。

※ボランティアの方々に協力をいただきまして、岡山県と滋賀県での小選挙区用政見放送も共有いたしました。(追記:2009年10月27日)

著作権につきまして

今回MIAUが共有した動画は、各政党が選挙のために政策を主張した「政治上の演説」(著作権法第40条)に当たり、著作権者(各政党)の許諾は不要と考えられます。

もし共有された動画に著作権上の権利を侵害されたという方がいらっしゃいましたら、公開された動画のどの部分に権利をお持ちか明記のうえ、当会までご連絡下さい。(連絡先はこちら)。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-10-27 14:33:27

「デジタル・コンテンツの流通の促進」及び「コンテンツ競争力強化のための法制度の在り方」に対する意見

MIAUではこのたび総務省情報通信審議会情報通信政策部会内「デジタル・コンテンツの流通の促進に関する検討委員会」の中間答申に関する意見として、以下を提出いたしました。今後の情報通信政策およびデジタル・コンテンツ流通促進への一助となれば幸いです。

(以下コメント内容)

意見1.

該当箇所

5ページ 基幹放送である地上無料放送等に係わるエンフォースメントのあり方

意見内容

コピー制御に関するエンフォースメントについては、録画を行なったコンテンツの所有権・財産権的見地から、世代間コピーによるメリットについても議論を行なうべきである。

理由

録画したテレビ番組の所有者は誰なのか、という問題に対しては、未だ明確な答えが出ていない。また、消費者が保存する映像は、市場一般とは違った、本人のみの財産的価値を持つものであることも、委員会の中では検討されていない。

現状の議論の方向としては、放送の録画に係わる取り扱いを不自由にすることで、放送外収入への誘導を行なおうとしているように見受けられる。これには一定の意義および経済効果は認めるところではあるが、実際には放送外収入としてアウトプットされるコンテンツは、視聴者に選択権があるわけではなく、マスマーケットに注視した選択がなされるのみである。

これは文化的な面では、放送外収入として出てこない、いわゆるニッチなコンテンツを好む者が、世代間コピーによってコンテンツを長期保存することができないというデメリットを押しつけられることになり、不公平である。またマスマーケットに受けるコンテンツのみ入手の利便性が高まるだけでは、人間の嗜好の多様性を阻害し、文化的に偏った社会となる可能性がある。

さらに個人がアーカイブし、長期保存した番組コンテンツは、すでにNHKアーカイブスなどを始めとする放送事業者のアーカイブ事業では必要不可欠な映像入手ルートとなっており、放送文化的にも無視できるものではないと考える。

意見2.

該当箇所

18ページ 第3節 エンフォースメントの改善のあり方に関する検討

意見内容

技術的エンフォースメントに関する検討は、その開発および導入に対する費用対効果を算出すべきであり、技術的エンフォースメントそのものが無駄である可能性を視野に入れるべきである。

理由

現在の技術的エンフォースメントであるB-CASシステムは、台湾のベンチャーによって設計・製造されたFriioによって無効化されている。

また一般的に市販されている一部のPC向け地上派デジタル受信装置であっても、簡単な改造プログラムを用いることでB-CASシステムを無効化できることが確認されており、現行のB-CASシステムはもはや根本的にその意味を持たないと言っても過言ではない。

DRM技術は、無視したいというニーズが存在する限り、必ず破られるものであり、かつて例外は存在しない。単に時間がかかるか、かからないかの問題だけである。したがって技術的エンフォースメントの存在には意味がなく、結果としては何も変わらないという可能性を指摘しておきたい。

我々はFriioの開発者へヒアリングを行なったが、日本からは経済産業省からコンタクトがあったのみで、総務省を始め権利者などからは、これまで接触は一切なかったという。利害関係者自身がFriioの開発者へ接触するという試みが行なわれるわけでもなく、単に技術が破られたからまた新しい技術へ逃げるだけの消極的な対応を、莫大な国費を投じて行なおうとしている点は、看過できない。

Friioは日本へはすでに5万台以上が出荷されており、市場で流通している改造可能な地上派デジタル受信装置も含めれば、その台数は膨大なものになる。これらがデジタル放送の違法アップロード件数に与えた影響を調査すべきである。影響が軽微なのであれば、技術的エンフォースメントが実質的に機能しておらず、その存在に意味がないという証明となると考える。

また早急に技術的エンフォースメントの実施にかかる総費用と、それによって保護される実質的な(「架空の」ではない)被害総額の調査を行なうべきである。その費用対効果の検討もなく、実効性も疑わしい新たな技術的エンフォースメントを策定することは、国費の無駄遣いである。

意見3

該当箇所

54ページ (イ)番組制作者等の間で疲弊が著しい「コンテンツ製作力」の再生・強化

意見内容

現在の疲弊状況の最大の原因は、著作権者枠には含まれないコンテンツ製作に必要な人材、すなわち演出、制作進行、技術に係わる人間の人件費を徹底的に叩いたからである。早急な賃金体系の見直しと、搾取構造の解体が必要である。

理由

コンテンツ製作現場は、その過酷な労働条件に対して得られる金銭的インセンティブのバランスが取れておらず、才能ある人材が物作りから逃げ出している。それだけでなく、そもそも求人しても人が集まらない事態となっている。

現実には現場のスタッフが組合運動もままならない状況化にあり、労使間交渉自体が存在しないため、その技量および労働時間に応じた賃金が支払われていない。この搾取構造の解体には、放送局を送信設備運営とコンテンツ制作へ二分し、圧倒的な富と権力の集中を排除するのが効果的であると考える。

また制作会社の下請け、孫請け、ひ孫請けといった構造は、労働条件の悪化に留まらず、安易な責任転嫁の温床となっており、粗悪なコンテンツ製作へ繋がっている。これらの構造改革無しに、コンテンツ製作力の再生・強化はあり得ない。

著作者 : MIAU
最終更新日 : 2009-09-05 14:30:27
  1. < PREV
  2. [1]
  3. [2]
  4. [3]
  5. [4]
  6. [5]
  7. [6]
  8. [7]
  9. [8]
  10. [9]
  11. NEXT >