今回のシンポジウム「青少年ネット規制法について考える」についても、ustreamによるストリーミング中継を行います。今回はネットを通じて皆様からご質問などを受け付けることがあります。下記のURLよりアクセスしてお楽しみ下さい。
http://www.ustream.tv/channel/miausymposium20080501
著作者 : Atsushi Enomoto最終更新日 : 2008-05-01 18:27:12
今回のシンポジウム「青少年ネット規制法について考える」についても、ustreamによるストリーミング中継を行います。今回はネットを通じて皆様からご質問などを受け付けることがあります。下記のURLよりアクセスしてお楽しみ下さい。
http://www.ustream.tv/channel/miausymposium20080501
著作者 : Atsushi Enomotoこのたび、私たちインターネット先進ユーザーの会(略称「MIAU」)及び下記団体・個人は、現在検討されている青少年ネット規制法案(自民党法案名『青少年の健全な育成のためのインターネットによる青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案』など)に対して、下記の通り反対の意を表明することにいたしました。
賛同団体及び賛同個人は現在も募集しております。ご賛同いただける場合は、info@miau.jp までご連絡ください。多くの方にご賛同いただければ、本法案への反対意見が多いことを示せるかと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
著作者 : Atsushi Enomoto私たちは青少年ネット規制法案に反対します
インターネットの劇的な普及と発展により、私達は以前よりも多くの情報を入手し、活用し、そして発信する手段を獲得しました。またビジネスにおいても、情報の収集、利用、発信や、取引への利用など、インターネット無くしてはビジネスが成り立たないほどの社会基盤となろうとしています。これらによってビジネスのスピードは加速し、また、論文やデータ等の公開・共有による世界的な知の発展も、今までになく加速しようとしています。
その反面、あらゆる人々がどんな情報でも発信できることから、猥褻や犯罪などといった、青少年に「有害」とされる情報も多く飛び交っているとの声もあります。そのため、青少年の犯罪とインターネットとの関連性を指摘する声が挙がり、現在、インターネット全体を広く規制しようという法案が、自民・民主両党によって検討されています。
私たちは、青少年が犯罪に巻き込まれないように努力するという社会的・倫理的な必要性を、とても強く認識しています。 また、インターネットを経由して行われる犯罪を防止するための積極的な取り組みも、大切だと考えていますし、明確に、かつ極めて限定的に定められた、現状の違法情報への取り組みを否定するものでもありません。
しかし、青少年を保護するためとはいえ、健全な情報を発信する個人や、それを支えるインターネット関連企業などにまで、情報発信・公開についての制限をかけてしまうことは適切でしょうか。インターネット上の広汎な情報を、単に青少年にとって有害であるとして法律によって規制することは、どんな手段であっても、結果的に国家による検閲に繋がりかねず、情報の発信やコンテンツの制作を萎縮させていきます。また、事業者に対して法律によって「有害情報」への対応を義務づけると、その経済的な負担は、零細事業者の多いインターネット関連企業の経営を直撃し、新たな官製不況を招き兼ねません。さらには消費者の PC 等にプリインストールされるというフィルタリングソフトウェア等のコストは、最終的に消費者に転嫁されることになり、フィルタリングを必要としない人にまでコスト負担を負わせることになります。
青少年を本当に保護するためには、インターネットを大幅に規制することではなく、早期の教育で青少年に正しい知識を教え、適切なインターネットの歩き方を体得させることが、より優れた手段ではないでしょうか。何よりも、「有害」な情報に全くアクセスできない状態で成人した青少年は、どこで情報の取捨選択や主体的な判断といった情報への対応、すなわち「情報リテラシー」を学ぶのでしょうか。受動的な教育を受けさせるだけでは、興味本位で「有害情報」のサイトを作成する青少年や、成人してから多くの犯罪に巻き込まれる、「情報弱者」の 18 歳が生まれるだけではないかと危惧しています。
私たちは、「有害情報」への対処について、国家によるインターネットの制限ではなく、教育による情報リテラシーの向上と、民間事業者による自主規制の強化で対応することを提案します。
現在、「情報」という授業は高校でしか行われておらず、義務教育での情報教育は貧弱なままです。青少年を犯罪から守るためには、小学生の頃から、情報リテラシーについてのきちんとした教育を行うことが大切でしょう。また、既に携帯電話においては通信事業者を中心とした自主規制団体が作られているところであり、事業者による社会的な対応も行われていきます。
我々は、拙速な議論で結論に飛びつくのではなく、事業者と利用者、そして青少年の意見を、日本のインターネット政策に正しく反映させることを求めます。そして、その結論は、インターネットを国家によって規制するものではなく、青少年がインターネットを使いこなすことによって、より情報社会の発展に繋がるようにするものであると確信しています。
賛同団体
- Movements for Internet Active Users: MIAU(インターネット先進ユーザーの会)
- WIDE プロジェクト
- 多摩大学情報社会学研究所
- NPO Arts and Law
- 有限会社マンダラネット
- ロージナ茶会
- CPSR/JAPAN(2008/04/22 23:59追記)
- (以上、順不同)
賛同個人
- 公文 俊平(多摩大学情報社会学研究所所長)
- 会津 泉(ハイパーネットワーク社会研究所 副所長)
- 江崎 浩(東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
- 立石 聡明(社団法人日本インターネットプロバイダー協会 副会長)
- 山形 浩生(評論家)
- 白田 秀彰(法政大学准教授)(2008/04/22 21:27追記)
- 金 正勲(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 准教授)
- 中野幸紀(関西学院大学総合政策学部総合政策学科 教授)(2008/04/24 04:19追記)
- 校條浩(ネットサービス・ベンチャーズ・グループ マネージング・パートナー)(2008/04/24 04:16追記)
- 楯岡孝道(電気通信大学 助教)(2008/04/24 04:16追記)
- 伊津信之介(東海大学福岡短期大学情報処理学科 教授)(2008/04/24 04:16追記)
- 津田和範(社団法人日本インターネットプロバイダー協会 理事、有限責任中間法人レンタルサーバー・オルグ 監事)(2008/04/24 04:16追記)
- 野原佐和子((株)イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長)(2008/04/26 15:10追記)
- 竹熊健太郎(文筆家、編集者)(2008/04/26 15:10追記)
- (以上、順不同)
直前のご案内で恐縮ですが、シンポジウム「ダビング10について考える」について、UStream配信を行います。
18:30 から
http://ustream.tv/channel/miau-symoosium-200801
で公開いたしますので、ぜひアクセスしてみてください。
※前回シンポジウムの中継URLとは異なるものです。ご注意下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。
著作者 : Atsushi Enomoto18日に行われた第15回私的録音録画小委員会の議論についての報道、および19日に発表いたしましたMIAUの緊急メッセージについての報道を受けてのことかと思いますが、現在MIAUでは数多くの方に新しく協力会員として登録していただいております。この場を借りて皆様にお礼申し上げます。
ご登録いただいている皆様、あるいはこれから登録したいと考えていらっしゃる皆様にお願いしたいのですが、私たちは、どのような方が協力会員として登録して下さっているのか、なるべく具体的に把握していきたいと考えております。
登録される際には、なるべく、どのような方であるか私たちが判断できそうな情報(ご自身のホームページやブログ、活動内容、公開されているネット上での投稿、あるいはSNSのプロフィールなど)をご紹介下さい。正体があまり分からない方については、MIAUとしても、活動にご協力いただく際に、いろいろと制約が生じてしまいます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、既に協力会員登録された方につきましても、登録時には十分ご紹介いただけなかったという場合は、細かいプロフィールの追加情報をお知らせいただければと思います。
なお、ご登録いただきました皆様に、自動的にメールでご連絡することは行っておりません。悪しからずご了承下さい。ご自身の登録状況について疑問がございましたら、当会までお問い合わせ下さい。
著作者 : Atsushi Enomoto時下、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
先日、開催された私的録音録画小委員会の第15回会合において、文化庁から「パブリックコメント等の反対意見を踏まえた上でも、違法複製物からの複製は30条の適用除外とするのは不可避」との発言がなされたとのことについては、すでに報道等もなされているとおりです。
中間答申について行われたパブリックコメントで利用者等から多くの反対の意見が出され、全体としてみても反対意見が多数を占めることになりました。しかし、パブリックコメントで出された疑問点について答えることもなく、かつ、この結論にいたった経緯や議論の透明性が欠如している、明らかに民意を無視した改正作業が行われようとしています。
私どもMIAUでは、利用者の意見を無視して多くの利用者に非常に大きな影響を与える提案がなされているという状況を受けまして、先日緊急メッセージを公開させていただきましたが、文化庁の動きに対する対応の第一弾として、下記のようなシンポジウムを開催いたします。 今回の文化庁の提案は、単に違法複製物のダウンロードを禁止するということ にとどまらず、彼らの考えた将来像への第一歩であり、この影響はとても広範 囲にわたると考えられます。
私どもMIAUでは、まずは今回の提案についての詳細な解説と、問題点の指摘を行うとともに、利用者の皆様、有識者の皆様との議論を行うことで、今後のMIAUの活動へとつながる場として、今回のシンポジウムを行います。
師走のお忙しいところ、急な開催となってしまいましたが、今回はすぐに行う ことが重要と考えまして、この日程・場所にて開催させていただきます。
名称
緊急シンポジウム「ダウンロード違法化の是非を問う」
日時
2007年12月26日(水) 18:30~20:00 (18時開場)
場所
映画専門大学院大学 201教室
〒157-0071 東京都渋谷区本町3-40-6
http://www.toho-univ.ac.jp/access/index.html
発表者アクセス
- 津田大介 (MIAU発起人、IT・音楽ジャーナリスト、私的録音録画小委員会 専門委員)
- 小寺信良 (MIAU発起人、AV機器評論家・コラムニスト)
- 池田信夫 (MIAU賛同人、上武大学大学院経営管理研究科教授、情報通信政策フォーラム(ICPF)代表)
- 斉藤賢爾 (MIAU賛同人、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 講師)
- 小倉秀夫 (弁護士)
- 他、調整中
- 山手通り・方南通り「清水橋」交差点角
- 都営地下鉄大江戸線「西新宿五丁目」駅 A2出口左手に徒歩3分
参加を希望される場合は、お手数ですが下記メールアドレスまでお名前・ご所属・ご連絡先メールアドレスをご連絡くださいますよう、お願い申し上げます。 締切は2007年12月25日24時です。
E-mail: info◎miau.jp (◎を@に変えてください)
※ 本申込書によっていただく個人情報は、本発表会の運営と、MIAUに関するご案内にのみ利用します。ご案内の送付等が必要ない場合は、事務局までご連絡いただければ、個人情報を削除いたします。
【12月26日追記】
12月25日24時をもちまして、一般参加のご応募は締め切らせていただきました。多数のご応募ありがとうございます。
なお、遠隔地の皆様や参加のご都合の付かない皆様のために、設立発表会の時と同様、UStream上での中継を予定しております。詳細は「緊急シンポジウムの中継について」をご覧ください。
文化庁のパブリックコメント締切まで、あと1週間を切りました。
本日、MIAU開発プロジェクトにて進められておりました「パブコメジェネレータ」を、ベータ版ではありますが、公開いたします。これは、用意された簡単な質問に答えるだけで、パブリックコメントに意見として出すことをお薦めする意見の概要を、自動的に作成するものです。どうぞご活用下さい。
これらについてのフィードバックは、当会の榎本までお願いします。
また、以下に、MIAU名義で提出する予定のパブリックコメント最終案を公開いたします。ネット上で見られたご意見を反映し、さらに適法サイトからのダウンロードと補償金についての言及を追加しました。ご参考下さい。
私たちが意見を述べるのは、以下の9件です。
以下、各項目毎に意見を述べさせていただきます。
■104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○ストリーミングとダウンロードの区別は曖昧になっている
YouTubeやニコニコ動画という特定のサービスは、動画がストリーミングで提供され、ダウンロードするものではありませんので、今回の報告書では、違法化の対象外であるとされています。しかし、ダウンロード形式で動画を共有するサイトにとっては今回の「違法化」は問題になりえます。ストリーミング技術を実装するRealPlayerには、その新しいバージョンで、ダウンロード再生を可能にする機能が追加されています。 このように、昨今のブロードバンド インターネット環境において、ストリーミングとダウンロードは技術的に根本的な違いがあるわけではなく、両者を法律的に大きく意味の異なるものとして扱うと、むしろ、Webサービスを支える技術的な選択の幅を、不必要に狭めることにもなります。
さらに言うならば、YouTubeやニコニコ動画も、キャッシュという形でダウンロードはされているわけで、そのようなファイルをハードディスクの別の場所に移動すれば、立派なダウンロードと見られてしまいかねません。同じサービスでも利用態様によって、異なる判断になる可能性があるわけです。
また、YouTubeが相当数の著作権侵害ファイルを公開しているということになると、YouTubeのビデオダウンローダーを開発する行為が、Winnyの開発と同様、違法ダウンロードの幇助として民事上の共同不法行為者とされてしまうおそれもあります。今回は含まれていませんが、刑事罰が導入されたら、Winny事件のように、著作権侵害罪の共犯とも見なされる可能性もあるでしょう。
そもそも、YouTubeのような疑似ストリーミングでダウンロードされたキャッシュが複製扱いされるか否かについては、専門家の間でも争いがあり、ストリーミングは今回の議論の対象ではないとする立場は判例と矛盾するという指摘もある以上、一般ネットユーザーの法的地位は甚だ不安定なものとなり、やはり合法的なダウンロード行為が萎縮させられることになります。
先にも取り上げた裁判官の判断の問題もあります。映画の保護期間延長に関して、文化庁が言っていたことを、裁判所がひっくり返したということがありました。そのような事例を考えると、法文にストリーミングは対象外と明記されない限り、やはりストリーミングも違法と判断される可能性があるでしょう。
これでは、せっかくユーザー生成コンテンツ(UGC)が伸びてこようとしている状況を、破壊してしまうことになりかねません。
○国際的な法規制の不整合
また、国際的な法制度の整合性を考慮しなければなりません。その意味では、インターネットというものはそもそもグローバルなものであり、さらに権利制限というものは国によって異なっているものであるため、コンテンツがどの国の著作権法に違反していたらアウトとなるのか、ユーザーには容易に判断することができません。プロバイダ免責の違いも問題となります。たとえば、米国サイトがDMCA免責を満たしており米国では合法であれば良いのか、そのようなコンテンツが日本の基準に照らして違法と判断されたりしないのか、といったことがまずもって議論されていません。
○通信の秘密の侵害に繋がる
ダウンロード違法化に実効性をもたせようとすると、「合法的な」ダウンロードの際に、受信者情報をどのように確実に入手するか、という問題が生じてくることでしょう。その結果として、ダウンロード者のトラッキングについて法制化(例えば、プロバイダ責任制限法改正による受信者開示制度の創設)を求める動きにつながる可能性がありますが、それでは通信の秘密が侵害されることにもなりかねません。
○学問・研究・報道が制限される
日本にはフェアユース規定が存在せず、列挙されている権利制限も多くないため、調査研究目的で「違法サイト」にアクセスする行為すらも、違法と評価される可能性があります。ここでで問題にしているのは、商業的コンテンツ調査研究の入手手段として正規手段によらず違法サイト上の侵害コンテンツを用いるような場合ではなく、権利侵害を伴う二次著作物の調査研究や、あるいは「違法サイト」それ自体を調査研究の対象としている場合です。
そもそも、このような目的でアクセスするさいに付随する複製は従来から私的使用のための複製ではないと評価されうる領域です。しかし、従来はダウンロードによる私的複製が広く権利制限されてきたことから大きな問題となっていませんでした。これが、ダウンロード違法化に伴いリーガルリスクが現実のものとなります。
そうなると、権利者の意向に場合によっては反するような、実態の調査研究が困難になり、ひいては不偏不党であるべき学問の発展が損なわれることにもなります。
また、報道についても同様の問題が起こります。報道については第四十一条における権利制限がありますが、第四十一条の権利制限は「時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物」を複製する場合に限定されており、サイト等の取材過程においてダウンロードする著作物がこの範囲に限定されうるとは必ずしもいえないと考えられ、やはり、ダウンロード違法化によるリーガルリスクが生じます。
そうなると、権利者の意向に場合によっては反するような、実態の報道が困難になり、自由な報道による民主主義の実現にマイナスになります。
○送信可能化権で十分であるはず
後に詳しく述べる通り、ダウンロード違法化は一般ユーザーに無用な負担をかけるものです。しかし、一般ユーザーに売り手が負担をかけるのは、本当に最後の手段であり、そのためには他の方法による対策では不可能である、という、疑いの余地のない綿密な議論が示されなければならない、と私たちは考えます。
ダウンロード違法化の議論には、その前提として、違法にアップロードされたコンテンツというものが存在しているはずですが、日本の著作権法には、まさにこのような問題に対処するために創設された送信可能化権というものがあります。著作者の利益を大きく損なっていると言えるのは、個々のダウンロード行為ではなくアップロード行為であり、それは既にこの送信可能化権によって規制されているはずです。権利者はこれまで違法アップローダーに対して十分な法的対策を取ってきたと言えるでしょうか。私たちは懐疑的に考えています。
著作権法に求められているのは、一部の権利者が権利侵害を便利に主張できることよりも、一般ネットユーザーが著作物を変なかたちで妨げられることなく便利に利用できることであると、私たちは考えます。
■105ページの「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○適法公開の識別が困難である
今回の「ダウンロード違法化」が審議会に持ち込まれた経緯としては、「YouTube」や「ニコニコ動画」といった動画投稿サイト、いわゆる「着うた」の「違法」公開サイトなどのWebサービスサイトに、著作権(送信可能化権)を侵害するかたちで著作物が公開される場合があるため、と私たちは理解しています。
しかし、わが国の著作権法は無方式主義であり、必ずしも外観上権利表示を伴うわけではないのですから、外形上は権利侵害コンテンツなのか合法的な公開コンテンツなのか、分からない場合があります。また、ダウンロードしたファイルの内容は結局のところ入手するまでは分かりませんが、入手時点で違法となってしまうおそれがあります。 この状況において、「権利侵害コンテンツでありうるという情を知りつつ、そうであるとしてもそれを容認してダウンロードする」行為には、違法性の意識の可能性があるとして故意があると判断されうることになるでしょう。これは合法的に振る舞おうとする一般ユーザーにとって、合法的なダウンロード行為を幅広く萎縮するに足るリーガル・リスクになってしまいます。
また、権利者の許諾を伴う公開であるかどうかという問題も、ほぼ同様に考えられます。YouTubeというサイト1つをとっても、そこに公開されている動画が、合法的に公開されているかどうかは、ストリーミングで閲覧したりVideoDownloaderなどを使用してダウンロードしたりする一般ネットユーザーにとっては、自明ではありません。「違法アップロードであるかもしれないという情を知りつつ、そうであるとしてもそれを容認してダウンロードする」行為には、故意があると判断されうることになり、やはり合法的なダウンロード行為が幅広く萎縮されることにも繋がります。
○違法性判断に疑問のある裁判例が少なくない
また、私たちは、インターネットの仕組みや実際の利用態様を必ずしも適切に把握してしない裁判所・裁判官の判決等も少なくないと言わざるを得ません。実質的に権利侵害性の無いWebサービスに対しても、実態にそぐわない拡張的な解釈に基づいて権利侵害を認める判決が見受けられます。 たとえばMYUTAや録画ネットといったサービスサイトは、裁判所によって著作権侵害を認定されましたが、一般ユーザーにとっては、既に対価を支払って入手している著作物の複製物を、自分の必要とする利用形態に合わせて複製するだけのものであり、これが違法サイトでありそこからのダウンロードが違法であるとして権利侵害を認定されるというのは、著しく納得できないものであろうと思います。
○架空請求の踏み台にされるおそれがある
さらにおそろしいのは、ダウンロード違法化は、さまざまな手法で架空請求に用いられる可能性が高いという事です。たとえば、著作権者本人が同意して公開しているがその旨明示していないため、客観的には著作権侵害であるようなコンテンツをダウンロードした者に対して、第三者が(パケットスニッフィング等によって同者がダウンロードした事実を把握したうえで)違法ダウンロードであり対価を請求する、といった例が考えられます。また、そこまでしなくても、通常の振り込め詐欺同様、10000人に請求してほんの数人でも引っかかる人がいれば、それだけでも重大な問題です。
○「合法マーク」は不適切な対応である
「合法ダウンロードマーク」を付ければ識別できるという主張もあります。これは、同マークを売り込もうとする生野委員率いる日本レコード協会にとっては都合の良い議論であるものの、以下に示すとおり、数多くの問題点があります。
消費者およびコンテンツ提供者にとっては、ダウンロード時に本来不必要である確認を強いられたり、費用をかけて対応する(さらに同マークが同協会から「有償にて」提供されるものではないと信じたいところです)といったことが要求されます。このような、著作権法の制度趣旨にも合致しない、本来的に不必要な負担を強制できる正当な理由は、何もないはずです。
この合法マークというものが、コンテンツではなくサイトごとに設定されるということを前提としているのであれば、そもそも原理的にマークが設定できないサービスが多々存在します。YouTube、Wikipedia、各種ブログサービスといった、一般ユーザー投稿型のサービスは、この「合法マーク」市場から閉め出されることになります。これは事実上の排他的な取引慣行であり、独占禁止法やWTO各種条約に牴触するおそれがあります。 そもそも、国際的な法の整合性という観点で、この「合法マーク」は海外サイトには当然適用されるはずもなく、実質的に意味のないマークになるか、WTO各種条約に牴触するかのどちらかになることでしょう。
「合法マーク」は、法制化されないのであれば、「勝手合法マーク」を規制する事が許されませんから、いかなる違法サイトも「勝手合法マーク」を設置する事により、実質的に利用者が違法ダウンロードの故意が認められないことになり、意味のない法改正ということになります。
■59ページの「ファイル交換ソフトを利用した私的録音録画の現状について」の項目(疑問)
※この項目について私たちは疑問をおぼえます。理由は下記の通りです。
○不透明な「ダウンロードによる被害」
違法アップロードによる被害とされるものが、本当に実態を反映していると言えるのか、疑問を持たざるを得ない部分があります。違法サイトによる被害額とはどんなものであるか、十分な根拠をもって示し、それによって初めて議論の俎上に乗せることができるものであると、私たちは考えます。
統計データも、どちらかと言えば印象操作のために作られているものがあるように思います。たとえば、ファイル交換ソフトを「過去に利用していた」ユーザーの数は、「若い頃にロック音楽を好んで聴いていた」音楽愛好家と同様に逓増し、いずれは現役のネットユーザー総数に対して200%、300%といった数字になることでしょう。
そもそも、ファイル交換ソフトの利用に関しては、そもそもユーザー自身が発信者になるわけですから、既に公衆送信権を侵害しているもので、ダウンロード違法化の根拠とする合理的な理由にはなりません。
■71ページの「違法な携帯電話向け音楽配信からの私的録音の現状」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○不透明な「違法サイト」の範囲
こちらも統計上の疑問ですが、ネット上でも批判の多いMYUTA事件判決のことを考えると、一般ネットユーザーの理解から乖離した「違法サイト」判断が、本報告書でまとめられているアンケートで行われているかもしれません。私たちが権利者団体であれば、MYUTAや録画ネットのようなサイトも「違法着うたサイト」「違法動画配信サイト」としてアンケート結果をまとめ、一般ネットユーザーは法規範意識に欠けると印象づけようとするでしょう。しかし、それでは本当の一般ネットユーザーの法規範意識を反映しているとは言えません。
■104ページの「検討結果」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○潜在的な違法ユーザーという危険性
以上で議論してきたように、ダウンロード違法化は、一般ユーザーを潜在的に違法ユーザーとするものであり、これは国民の法規範意識にも合致するものでは言えず、法治国家として非常に好ましくない事態となります。これは、権利者団体にとって優先度の高い一般ネットユーザーを、恣意的に民事訴訟の対象とできたり、もし犯罪化されたら、警察組織にとって優先度の高い一般ネットユーザーを、恣意的に簡単に逮捕できたりする、便利な材料として機能することでしょう。それでは、公正な法運用に支障を来します。
潜在的違法ユーザーを大量に生み出すことになれば、その「違法ダウンロードを行ったかもしれない」という一般ユーザーの意識につけ込んで、偽の権利侵害を主張する詐欺や恐喝をする者が現われることになるでしょう。米国では既に現実化しています。ダウンロード違法化というのは、善人である一般ユーザーを詐欺師の餌食にするとっかかりにする、悪人に資する法改正となる可能性が低くありません。
○著作権者がインターネットで流通させていないのが一因
そもそもコンテンツの違法なアップロードは、著作権者がそのコンテンツを死蔵し、あるいはコンテンツホルダーの都合での市場分割によって、日本でのみ適法コンテンツが流れないといった、日本人の利益に適わない事態があるためである、という例も多いように思います。たとえばApple iTunes Store for Franceで販売されている楽曲が、iTunes Store for Japanでは販売されていない、といった事例が報告されています。このような問題が生じるのは、ロングテール、超流通といった経済的に合理的なモデルに移行できない一部コンテンツホルダーが、前世紀型コンテンツ販売モデルに依存しているためではないでしょうか。
○「一億総クリエイター」「一億総ユーザー」の理念と矛盾
そもそも著作権法がその目的とする創作性の拡大は、過去の著作物に多かれ少なかれ影響を受けるかたちで行われるものです。文化庁でもそのことを意識して「一億総クリエイター」「一億総ユーザー」といった理念を打ち出して、政策を立ててきたのではなかったでしょうか。
過去の著作物へのアクセスを狭めるという発想は、これらの高尚な理念に基づく従来の方針とは相反するものであるように、私たちには思えます。過去の作品に依拠した創作は、公表され私的使用の範囲をこえた時点で、いずれにしろその依拠への相当対価を支払うことになるのです。場合によっては原作品以上に市場に浸透し、原作者の利益にも資するような派生作品の誕生の可能性を、あえて潰してしまうような法制度は、日本の国益に適うものと言えるのか、私たちは懐疑的です。
■108ページの「i. 第30条の適用範囲からの除外」の項目
※この項目について私たちは反対意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○私的録音録画は補償か契約による対価を伴うという考えに反対します
オーバライド契約と補償金との二重取りを防ぐ必要がある、という本項目の趣旨そのものについては反対ではありませんが、本項目には、第30条による私的録音録画は補償か契約による対価のいずれかを必ず伴うという考え方が読み取れます。次の節以降で問題となる、タイムシフトやプレイスシフトが補償ないし対価が必要なものであるかどうかは、議論が尽くされていないと考えます。また、他の権利制限範囲の前段としての私的録音録画が対価を必要とされるかどうかについても、議論されていないと考えます(この点は補償についての意見として別に詳述します)。
その部分について反対し、文言の修正を求めます。
■108ページの「ii. 第30条の適用範囲から除外する場合の条件」
※この項目について私たちは反対意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○私的録音録画は補償か契約による対価を伴うという考えに反対します
最初の文の前段
「現状では、利用者と権利者が録音録画について直接契約することは、取引コスト等の関係でまだ事実上困難であり、現状では権利者は配信事業者との契約により、録音録画に対する対価を確保する必要があることになるが」
と、それに続く
「配信事業者が利用者の録音録画行為について一定の管理責任を負っているような事業形態に限定して第30条の適用を除外すべきである。」
は、全ての私的録音録画について補償か契約による対価のいずれかを必ず伴うべきであるという考え方を補わない限り、論理的な飛躍があります。この点、次の節以降で問題となる、タイムシフトやプレイスシフトが補償ないし対価が必要なものであるかどうかは、議論が尽くされていないと考えます。また、他の権利制限範囲の前段としての私的録音録画が対価を必要とされるかどうかについても、議論されていないと考えます(この点は補償についての意見として別に詳述します)。
その部分について反対し、文言の修正を求めます。
また、配信業者が一定の管理責任を負っている場合には、コピーネバーのケースもあり、この場合は私的録音録画の対価が契約に含まれません。
配信業者の管理が第2条20号で定義する技術的保護手段によるものである場合の迂回行為は、現行法においても第30条から除外されていますが、無反応機器の利用や、不正競争防止法における技術的制限手段の利用などによる私的録音録画を第30条から除外することについては、十分な議論が行われていません。
また、この場合は、現状においても利用者を受信契約違反を問うことができると考えられ、重ねて著作権法違反とする必要性は薄いのではないかと考えられます。
そもそも、本項目の趣旨は、補償と対価の二重取りの回避にあり、複製禁止ではないので、コピーネバーのケースについては、「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」から外すよう、文言の修正が必要であると考えます。これは、続く「b レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音、適法放送のうち有料放送からの私的録画」において、有料放送を第30条の適用範囲から除外することを見送っていることと整合性があるものです。
■116ページ~119ページの「第3節 補償の必要性について 3.補償の必要性の有無」の項目
※この項目について、私たちは、議論が尽くされていない現状で結論を出すことには「反対」いたします。理由は下記の通りです。
○私的録音録画は他の権利制限のために必要な手段
インターネットの普及と技術革新により、多くの一般の人々がネットユーザーとして、著作物としてのコンテンツを消費するだけではなく、大量に生成する時代となっています。
著作物の創造は、何もないところから生じるものではなく、むしろ既にある著作物の上に生じることが多いことはよく知られています。そのような著作物の利用は、原著作者の権利の及ぶものも少なくありませんが、第32条の引用や、第41条の報道目的の利用など、権利制限されているものもあります。さらに、引用などのない形でも、著作物を批評・論評するといった形での著作物の創造もあります。第41条の適用は「市民ジャーナリズム」といった言葉が一般化しつつある現在、一般のネットユーザーを担い手とする著作物として今後のさらなる増加が見込まれます。
このような利用は、147ページ~149ページ「参考資料2 ベータマックス事件の概要」において、米国の連邦控訴裁判所判決(148ページ)や連邦最高裁判所少数意見(149ページ)において「生産的利用」とされているものにあたると考えられます(連邦最高裁判決は、非生産的利用にもフェアユースを及ぼしたものであり、生産的利用がフェアユースにあたることを否定するものではない)。
配信コンテンツについて前述のような生産的利用を行う場合、それを録音・録画して固定する必要があります。利用の場合は、著作物全体の中から必要な箇所を切り出すために必要ですし、評・論評においても、特定箇所を繰り返し確認するなどの作業が必要になる場合があります。
職業的著作者やメディア企業のみが著作物を創造するのであれば、このような作業全体はそもそも私的録音録画とはいえない、ということになると思われますが、前述のように今や一般の人々が著作物を生成するようになったので、生産的利用の前提としての私的録音録画は無視できない存在となっています。このような場合の私的録音録画は、創造のサイクルを促進させるためには欠かすことのできない肯定的な意味を持っています。
著作権が制限されるべき創作のための活動があるという事実を無視して、それらの前提となる私的使用複製行為を、著作権の制限対象外とするということは、事実上、引用や報道の自由を奪うということになります。
しかしながら、本項目においては、もっぱら、職業的著作者やメディア企業の経済的利益にのみ着目する形で、「補償の必要性」の有無について検討を重ねており、議論を尽くされているとは考えられません。
○プレイスシフトとタイムシフトについての議論が尽くされていない
プレイスシフトとタイムシフトについての補償の必要性の議論については、将来についての不確かな予測を交えたものとなっており、議論が尽くされているとはいえないと考えます。特にタイムシフトは、他の目的と区別しがたいことから補償の必要性を肯定するという議論になっており、強引さを否めません。
そもそも、一般家庭の視点で評価するなら、TVを見られる時間に自宅に居る人に比べて、 自宅に居ないから録画して見なければならないという人が、特別に「経済的不利益」の代償として補償金を支払わされるべきというのは、明らかに間違った結論です。結論が間違っているのであれば、前提ないし議論の過程が間違っているというより他にないと考えます。
■123ページ~125ページ「第4節 補償措置の方法について」
※この項目について私たちは「議論が尽くされていない」とする意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○利用者観点からの問題点の分析がない
「1.補償金制度による対応」「2.権利者と録音源・録画源提供者との契約によ る対応」いずれについても、利用者観点からの問題の分析がなく、議論が尽く されているといえないと考えます。
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※10/29改訂: 103ページおよび108ページを対象としていたコメントの対象となる項目(およびページ番号)が、適法サイトからのダウンロードではなく違法サイトからのダウンロードに関する部分となるのではないか、というご指摘をいただきましたので、その部分を初回版から訂正し、既に存在していた104ページ/105ページに対するコメントに統合しました。ご指摘ありがとうございました。
※11/1改訂: さらに108ページ「検討結果」を対象としていた項目について、対象を104ページに訂正いたしました。ご指摘ありがとうございました。
※11/2改訂: 虚偽の著作権表示の違法化について、「著作権者や権利団体が」鳥獣戯画の著作権を主張しているというのは正しくないのではないかという含意のご指摘がありました。確かに著作権は既に消滅しているので、著作権者は存在しないため、より正確に「著作権を主張する人や団体」と記述を改めました。ご指摘ありがとうございました。
著作者 : Atsushi EnomotoMIAUでは、設立以来、数多くのご支持・ご支援の声を頂いております。皆様には厚くお礼申し上げます。
さて、MIAUでは先日、「文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理」に関する意見募集の実施についてというパブリックコメントについて、パブコメ案、パブコメ素材、パブコメの書き方という一連の記事を公開いたしました。これを受けて、多くの皆様からパブリックコメントを送られた旨ご連絡をいただいております。
しかし、これでもまだパブコメを書くのは難しいという方も多くいらっしゃることでしょう。より簡単にパブコメを作成し提出できるような、さらなる工夫が可能であるはずです。ネット上にはMIAUの他にも今回のパブリックコメントに関して、有用な情報を提供されている方が多くいらっしゃいます。協力をお申し出下さった方もいらっしゃいます。
皆様のお力を、MIAUはもっと活用すべきであると思います。しかし、今後の活動をふまえた会規約等を具体的に決める作業を入念に行う必要があり、正式な会員を募集しての活動に踏み出せずにおりました。
そこで、一部発起人[*1]が「非公式に」MIAU開発プロジェクトというものを立ち上げることになりました。
これは、MIAU外部の皆様のご協力を仰いで、パブコメ作成をより簡単にしようという短期的な目的のために立ち上げられたものです。ここに、具体的には以下のような目的があります:
また、先日の私たちのパブコメ関連資料は違法サイトからのダウンロード違法化を中心としてまとめられたものですが、その他の論点(適法サイトからのダウンロード違法化)や私的録音録画補償金の対象拡大(いわゆる「iPod課金」)、またもう1件同時進行で募集されている私的録音録画補償金制度に関する(いわゆる「著作権の非親告罪化」の)パブリックコメントについても、ここでまとめることができればと考えております。
簡単なWikiベースのサイトに過ぎませんが、皆様の手で、パブコメ作成に有用な情報を集積できればと考えております。ご協力して下さる皆様をお待ちしております。
URL: http://dev2007.miau.jp/wiki/wiki.cgi
[*1] 現在、榎本が担当しております。
著作者 : Atsushi Enomoto私たちは、著作権法第30条を変更して、違法にアップロードされた著作物のダウンロードを、その適用対象を限定するという、本報告書にまとめられている案(以下「ダウンロード違法化」とも記します)に反対します。
違法にアップロードされたコンテンツをダウンロードする行為を違法化すれば、著作権侵害による被害が確かに小さくなるでしょう。しかし私たちは、本報告書の示すような違法化には、いくつかの問題があるのではないかと懸念しています。
私たちが意見を述べるのは、以下の5件です。
以下、各項目毎に意見を述べさせていただきます。
■104ページの「第30条の適用範囲からの除外」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○ストリーミングとダウンロードの区別は曖昧になっている
YouTubeやニコニコ動画という特定のサービスは、動画がストリーミングで提供され、ダウンロードするものではありませんので、今回の報告書では、違法化の対象外であるとされています。しかし、ダウンロード形式で動画を共有するサイトにとっては今回の「違法化」は問題になりえます。ストリーミング技術を実装するRealPlayerには、その新しいバージョンで、ダウンロード再生を可能にする機能が追加されています。 このように、昨今のブロードバンド インターネット環境において、ストリーミングとダウンロードは技術的に根本的な違いがあるわけではなく、両者を法律的に大きく意味の異なるものとして扱うと、むしろ、Webサービスを支える技術的な選択の幅を、不必要に狭めることにもなります。
さらに言うならば、YouTubeやニコニコ動画も、キャッシュという形でダウンロードはされているわけで、そのようなファイルをハードディスクの別の場所に移動すれば、立派なダウンロードと見られてしまいかねません。同じサービスでも利用態様によって、異なる判断になる可能性があるわけです。
また、YouTubeが相当数の著作権侵害ファイルを公開しているということになると、YouTubeのビデオダウンローダーを開発する行為が、Winnyの開発と同様、違法ダウンロードの幇助として民事上の共同不法行為者とされてしまうおそれもあります。今回は含まれていませんが、刑事罰が導入されたら、Winny事件のように、著作権侵害罪の共犯とも見なされる可能性もあるでしょう。
そもそも、YouTubeのような疑似ストリーミングでダウンロードされたキャッシュが複製扱いされるか否かについては、専門家の間でも争いがあり、ストリーミングは今回の議論の対象ではないとする立場は判例と矛盾するという指摘もある以上、一般ネットユーザーの法的地位は甚だ不安定なものとなり、やはり合法的なダウンロード行為が萎縮させられることになります。
先にも取り上げた裁判官の判断の問題もあります。映画の保護期間延長に関して、文化庁が言っていたことを、裁判所がひっくり返したということがありました。そのような事例を考えると、法文にストリーミングは対象外と明記されない限り、やはりストリーミングも違法と判断される可能性があるでしょう。
これでは、せっかくユーザー生成コンテンツ(UGC)が伸びてこようとしている状況を、破壊してしまうことになりかねません。
○国際的な法規制の不整合
また、国際的な法制度の整合性を考慮しなければなりません。その意味では、インターネットというものはそもそもグローバルなものであり、さらに権利制限というものは国によって異なっているものであるため、コンテンツがどの国の著作権法に違反していたらアウトとなるのか、ユーザーには容易に判断することができません。プロバイダ免責の違いも問題となります。たとえば、米国サイトがDMCA免責を満たしており米国では合法であれば良いのか、そのようなコンテンツが日本の基準に照らして違法と判断されたりしないのか、といったことがまずもって議論されていません。
○通信の秘密の侵害に繋がる
ダウンロード違法化に実効性をもたせようとすると、「合法的な」ダウンロードの際に、受信者情報をどのように確実に入手するか、という問題が生じてくることでしょう。その結果として、ダウンロード者のトラッキングについて法制化(例えば、プロバイダ責任制限法改正による受信者開示制度の創設)を求める動きにつながる可能性がありますが、それでは通信の秘密が侵害されることにもなりかねません。
○学問・研究・報道が制限される
日本にはフェアユース規定が存在せず、列挙されている権利制限も多くないた め、調査研究目的で「違法サイト」にアクセスする行為すらも、違法と評価さ れる可能性があります。ここでで問題にしているのは、商業的コンテンツ調査 研究の入手手段として正規手段によらず違法サイト上の侵害コンテンツを用い るような場合ではなく、権利侵害を伴う二次著作物の調査研究や、あるいは 「違法サイト」それ自体を調査研究の対象としている場合です。
そもそも、このような目的でアクセスするさいに付随する複製は従来から私的 使用のための複製ではないと評価されうる領域です。しかし、従来はダウンロー ドによる私的複製が広く権利制限されてきたことから大きな問題となっていま せんでした。これが、ダウンロード違法化に伴いリーガルリスクが現実のもの となります。
そうなると、権利者の意向に場合によっては反するような、実態の調査研究が 困難になり、ひいては不偏不党であるべき学問の発展が損なわれることにもな ります。
また、報道についても同様の問題が起こります。報道については第四十一条に おける権利制限がありますが、第四十一条の権利制限は「時事の事件を報道す る場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しく は聞かれる著作物」を複製する場合に限定されており、サイト等の取材過程に おいてダウンロードする著作物がこの範囲に限定されうるとは必ずしもいえな いと考えられ、やはり、ダウンロード違法化によるリーガルリスクが生じます。
そうなると、権利者の意向に場合によっては反するような、実態の報道が困難 になり、自由な報道による民主主義の実現にマイナスになります。
○送信可能化権で十分であるはず
後に詳しく述べる通り、ダウンロード違法化は一般ユーザーに無用な負担をかけるものです。しかし、一般ユーザーに売り手が負担をかけるのは、本当に最後の手段であり、そのためには他の方法による対策では不可能である、という、疑いの余地のない綿密な議論が示されなければならない、と私たちは考えます。
ダウンロード違法化の議論には、その前提として、違法にアップロードされたコンテンツというものが存在しているはずですが、日本の著作権法には、まさにこのような問題に対処するために創設された送信可能化権というものがあります。著作者の利益を大きく損なっていると言えるのは、個々のダウンロード行為ではなくアップロード行為であり、それは既にこの送信可能化権によって規制されているはずです。権利者はこれまで違法アップローダーに対して十分な法的対策を取ってきたと言えるでしょうか。私たちは懐疑的に考えています。
著作権法に求められているのは、一部の権利者が権利侵害を便利に主張できることよりも、一般ネットユーザーが著作物を変なかたちで妨げられることなく便利に利用できることであると、私たちは考えます。
■105ページの「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○適法公開の識別が困難である
今回の「ダウンロード違法化」が審議会に持ち込まれた経緯としては、「YouTube」や「ニコニコ動画」といった動画投稿サイト、いわゆる「着うた」の「違法」公開サイトなどのWebサービスサイトに、著作権(送信可能化権)を侵害するかたちで著作物が公開される場合があるため、と私たちは理解しています。
しかし、わが国の著作権法は無方式主義であり、必ずしも外観上権利表示を伴うわけではないのですから、外形上は権利侵害コンテンツなのか合法的な公開コンテンツなのか、分からない場合があります。また、ダウンロードしたファイルの内容は結局のところ入手するまでは分かりませんが、入手時点で違法となってしまうおそれがあります。 この状況において、「権利侵害コンテンツでありうるという情を知りつつ、そうであるとしてもそれを容認してダウンロードする」行為には、違法性の意識の可能性があるとして故意があると判断されうることになるでしょう。これは合法的に振る舞おうとする一般ユーザーにとって、合法的なダウンロード行為を幅広く萎縮するに足るリーガル・リスクになってしまいます。
また、権利者の許諾を伴う公開であるかどうかという問題も、ほぼ同様に考えられます。YouTubeというサイト1つをとっても、そこに公開されている動画が、合法的に公開されているかどうかは、ストリーミングで閲覧したりVideoDownloaderなどを使用してダウンロードしたりする一般ネットユーザーにとっては、自明ではありません。「違法アップロードであるかもしれないという情を知りつつ、そうであるとしてもそれを容認してダウンロードする」行為には、故意があると判断されうることになり、やはり合法的なダウンロード行為が幅広く萎縮されることにも繋がります。
○違法性判断に疑問のある裁判例が少なくない
また、私たちは、インターネットの仕組みや実際の利用態様を必ずしも適切に把握してしない裁判所・裁判官の判決等も少なくないと言わざるを得ません。実質的に権利侵害性の無いWebサービスに対しても、実態にそぐわない拡張的な解釈に基づいて権利侵害を認める判決が見受けられます。 たとえばMYUTAや録画ネットといったサービスサイトは、裁判所によって著作権侵害を認定されましたが、一般ユーザーにとっては、既に対価を支払って入手している著作物の複製物を、自分の必要とする利用形態に合わせて複製するだけのものであり、これが違法サイトでありそこからのダウンロードが違法であるとして権利侵害を認定されるというのは、著しく納得できないものであろうと思います。
○架空請求の踏み台にされるおそれがある
さらにおそろしいのは、ダウンロード違法化は、さまざまな手法で架空請求に用いられる可能性が高いという事です。たとえば、著作権者本人が同意して公開しているがその旨明示していないため、客観的には著作権侵害であるようなコンテンツをダウンロードした者に対して、第三者が(パケットスニッフィング等によって同者がダウンロードした事実を把握したうえで)違法ダウンロードであり対価を請求する、といった例が考えられます。また、そこまでしなくても、通常の振り込め詐欺同様、10000人に請求してほんの数人でも引っかかる人がいれば、それだけでも重大な問題です。
○「合法マーク」は不適切な対応である
「合法ダウンロードマーク」を付ければ識別できるという主張もあります。これは、同マークを売り込もうとする生野委員率いる日本レコード協会にとっては都合の良い議論であるものの、以下に示すとおり、数多くの問題点があります。
消費者およびコンテンツ提供者にとっては、ダウンロード時に本来不必要である確認を強いられたり、費用をかけて対応する(さらに同マークが同協会から「有償にて」提供されるものではないと信じたいところです)といったことが要求されます。このような、著作権法の制度趣旨にも合致しない、本来的に不必要な負担を強制できる正当な理由は、何もないはずです。
この合法マークというものが、コンテンツではなくサイトごとに設定されるということを前提としているのであれば、そもそも原理的にマークが設定できないサービスが多々存在します。YouTube、Wikipedia、各種ブログサービスといった、一般ユーザー投稿型のサービスは、この「合法マーク」市場から閉め出されることになります。これは事実上の排他的な取引慣行であり、独占禁止法やWTO各種条約に牴触するおそれがあります。 そもそも、国際的な法の整合性という観点で、この「合法マーク」は海外サイトには当然適用されるはずもなく、実質的に意味のないマークになるか、WTO各種条約に牴触するかのどちらかになることでしょう。
「合法マーク」は、法制化されないのであれば、「勝手合法マーク」を規制する事が許されませんから、いかなる違法サイトも「勝手合法マーク」を設置する事により、実質的に利用者が違法ダウンロードの故意が認められないことになり、意味のない法改正ということになります。
○むしろ虚偽の著作権表示を違法化すべき
また、合法アップロードを明確化させることで、今回の違法化に対する上記の懸念を払い去ることができるとは思えません。著作権を主張する人や団体の中には、たとえば著作権が切れているはずの鳥獣戯画のような古典作品について、保有してもいない著作権を主張することで、私たち一般ネットユーザーの自由な利用を萎縮させようとする人たちも存在しています。
合法ダウンロードマークを明示するよりもむしろ、著作権を主張するコンテンツの提供者に対して、合法な利用行為に関する必要十分な提示を義務付け、合法的であるはずの利用が禁止されているかのような権利表示を違法化するという法改正こそ必要ではないかと考えます(実務的な観点から、改正法運用当初は、そのような「違法行為」について、刑事罰までは定めなくても良いと考えます)。
■59ページの「ファイル交換ソフトを利用した私的録音録画の現状について」の項目(疑問)
※この項目について私たちは疑問をおぼえます。理由は下記の通りです。
○不透明な「ダウンロードによる被害」
違法アップロードによる被害とされるものが、本当に実態を反映していると言えるのか、疑問を持たざるを得ない部分があります。違法サイトによる被害額とはどんなものであるか、十分な根拠をもって示し、それによって初めて議論の俎上に乗せることができるものであると、私たちは考えます。
統計データも、どちらかと言えば印象操作のために作られているものがあるように思います。たとえば、ファイル交換ソフトを「過去に利用していた」ユーザーの数は、「若い頃にロック音楽を好んで聴いていた」音楽愛好家と同様に逓増し、いずれは現役のネットユーザー総数に対して200%、300%といった数字になることでしょう。
そもそも、ファイル交換ソフトの利用に関しては、そもそもユーザー自身が発信者になるわけですから、既に公衆送信権を侵害しているもので、ダウンロード違法化の根拠とする合理的な理由にはなりません。
■71ページの「違法な携帯電話向け音楽配信からの私的録音の現状」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○不透明な「違法サイト」の範囲
こちらも統計上の疑問ですが、ネット上でも批判の多いMYUTA事件判決のことを考えると、一般ネットユーザーの理解から乖離した「違法サイト」判断が、本報告書でまとめられているアンケートで行われているかもしれません。私たちが権利者団体であれば、MYUTAや録画ネットのようなサイトも「違法着うたサイト」「違法動画配信サイト」としてアンケート結果をまとめ、一般ネットユーザーは法規範意識に欠けると印象づけようとするでしょう。しかし、それでは本当の一般ネットユーザーの法規範意識を反映しているとは言えません。
■104ページの「検討結果」の項目
※この項目について私たちは反対の意見を提出いたします。理由は下記の通りです。
○潜在的な違法ユーザーという危険性
以上で議論してきたように、ダウンロード違法化は、一般ユーザーを潜在的に違法ユーザーとするものであり、これは国民の法規範意識にも合致するものでは言えず、法治国家として非常に好ましくない事態となります。これは、たとえば警察組織にとって優先度の高い一般ネットユーザーを、恣意的に簡単に逮捕できる便利な材料として機能することでしょう。それでは、公正な法運用に支障を来します。
潜在的違法ユーザーを大量に生み出すことになれば、その「違法ダウンロードを行ったかもしれない」という一般ユーザーの意識につけ込んで、偽の権利侵害を主張する詐欺や恐喝をする者が現われることになるでしょう。米国では既に現実化しています。ダウンロード違法化というのは、善人である一般ユーザーを詐欺師の餌食にするとっかかりにする、悪人に資する法改正となる可能性が低くありません。
○著作権者がインターネットで流通させていないのが一因
そもそもコンテンツの違法なアップロードは、著作権者がそのコンテンツを死蔵し、あるいはコンテンツホルダーの都合での市場分割によって、日本でのみ適法コンテンツが流れないといった、日本人の利益に適わない事態があるためである、という例も多いように思います。たとえばApple iTunes Store for Franceで販売されている楽曲が、iTunes Store for Japanでは販売されていない、といった事例が報告されています。このような問題が生じるのは、ロングテール、超流通といった経済的に合理的なモデルに移行できない一部コンテンツホルダーが、前世紀型コンテンツ販売モデルに依存しているためではないでしょうか。
○「一億総クリエイター」「一億総ユーザー」の理念と矛盾
そもそも著作権法がその目的とする創作性の拡大は、過去の著作物に多かれ少なかれ影響を受けるかたちで行われるものです。文化庁でもそのことを意識して「一億総クリエイター」「一億総ユーザー」といった理念を打ち出して、政策を立ててきたのではなかったでしょうか。
過去の著作物へのアクセスを狭めるという発想は、これらの高尚な理念に基づく従来の方針とは相反するものであるように、私たちには思えます。過去の作品に依拠した創作は、公表され私的使用の範囲をこえた時点で、いずれにしろその依拠への相当対価を支払うことになるのです。場合によっては原作品以上に市場に浸透し、原作者の利益にも資するような派生作品の誕生の可能性を、あえて潰してしまうような法制度は、日本の国益に適うものと言えるのか、私たちは懐疑的です。
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※10/29改訂: 103ページおよび108ページを対象としていたコメントの対象となる項目(およびページ番号)が、適法サイトからのダウンロードではなく違法サイトからのダウンロードに関する部分となるのではないか、というご指摘をいただきましたので、その部分を初回版から訂正し、既に存在していた104ページ/105ページに対するコメントに統合しました。ご指摘ありがとうございました。
※11/1改訂: さらに108ページ「検討結果」を対象としていた項目について、対象を104ページに訂正いたしました。ご指摘ありがとうございました。
※11/2改訂: 虚偽の著作権表示の違法化について、「著作権者や権利団体が」鳥獣戯画の著作権を主張しているというのは正しくないのではないかという含意のご指摘がありました。確かに著作権は既に消滅しているので、著作権者は存在しないため、より正確に「著作権を主張する人や団体」と記述を改めました。ご指摘ありがとうございました。
著作者 : Atsushi Enomoto先日の設立発表会には、多くのメディア、ブロガーの方にご来場いただきまして、 誠にありがとうございました。 多くのメディアで記事も公開していただき、 また、当団体の活動を支持してくださるという意見も多くいただいており、 励みになっております。
さて、MIAUの活動第一弾として、本日よりメールマガジン購読者の募集を行います。 昨日、担当者の手違いで間違って登録用のメールアドレスを公開してしまいましたが、 それはテスト用の物で、登録ができないものとなっておりました。 誠に申し訳ありませんでした。心よりお詫びいたします。
実際の募集については、本日の夜に登録用フォームを公開させていただき、 そちらに入力していただければ、自動で登録が行えるように調整しております。 なお、メールマガジンの第1号は、火曜日の発送を予定しております。
メールマガジンの内容としては、MIAUのウェブサイトの更新情報や、 今回のパブリックコメントに関するコラム、 MIAUの企画するイベント等について、 随時情報をお送りいたします。 また同時に、皆様に関心をもっていただきたい インターネットに関わるニュース/アジェンダについても取り上げてお送りしていきます。
今回のパブリックコメント終了後、ここでとりあげられるニュース等について検討が行われ、 新たなテーマとしてとりあげていくことになるようなイメージと考えております。
登録フォームの公開まで、今しばらくお待ちいただければと存じます。 色々と対応が遅れており誠に申し訳ありませんが、 どうぞよろしくお願い申し上げます。
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