アクセスコントロール回避規制導入についての緊急声明

1月25日に行われた文化審議会著作権分科会でまとめられた報告書の中で、著作権法に於いて技術的保護手段(アクセスコントロール)回避規制を盛り込む旨のまとめがなされました。しかし安易なアクセスコントロール回避規制は国民の正当なコンテンツ利用およびわが国のICT技術の発展を不当に妨げます。私たちはユーザーの立場から、著作権法にアクセスコントロール回避規制を盛り込む意見に反対します。

  1. ユーザーが正規に入手したコンテンツを継承できなくなります。
  2. アクセスコントロール回避を禁止した場合、ユーザーが正規に入手したコンテンツはプラットフォームに依存することとなり、ユーザがそのプラットフォームの使用をやめた時や、そのプラットフォームがサポートされなくなった時に、ユーザーはそのコンテンツにアクセスできなくなります。

    例えば映像技術が進化し、DVDプレーヤーやBlu-rayプレーヤーが生産されなくなった場合、ユーザーはDVD、Blu-rayに収録されたコンテンツを見る術を失います。また将来、ダビング10に対応したプレーヤー・レコーダーが供給されなくなった場合、ユーザーは正規に録画したコンテンツを見る術を失い、コンテンツを将来に継承できなくなります。

  3. オープンソースソフトウェアを用いてのコンテンツへのアクセスが不可能になります。
  4. 現在、ビジネスはもちろん政府や自治体でもオープンソースソフトウェアの採用が進んでいます。しかしオープンソースソフトウェアの開発者は、その開発形態の性質上、アクセスコントロールの鍵のライセンスを与えられることはほぼ不可能です。そのためアクセスコントロール回避規制がなされると、オープンソースソフトウェアを用いてDVDなどのコンテンツにアクセスすることができなくなります。

  5. アクセスコントロール技術の正当性が検証できなくなります。
  6. 過去にアクセスコントロールのために使用された「Rootkit」や「コピーコントロールCD」のような技術は、ユーザーのコンピュータやCDプレーヤーを誤作動させ、セキュリティホールやハードウェアの故障の原因となりました。このような問題はユーザーの手によって検証され、インターネットを通じてその問題が知らしめられたという経緯があります。ユーザーの権利・利益を侵害し、その追及を妨げるような規制は、ユーザーの正当な利用を害することとなり、決して認められるものではありません。

  7. 侵害コンテンツの流通防止は、アクセスコントロールでなくアップロードコントロールにてなされるべきです。
  8. 問題とされた「マジコン」のようなアクセスコントロール回避機器の頒布に関しては不正競争防止法、侵害コンテンツのアップロードに関しては著作権法における公衆送信化権で、すでに十分対応できるはずです。

    現在問題とされているのは侵害コンテンツの流通であって、ユーザによるアクセス行為でもなければ、ユーザの家庭内におけるコピー行為でもありません。アクセスコントロールは、どれだけ技術的に洗練されたものであっても上記のように必ずユーザーの利便性を大幅に損ない、正当で多様な利用をも困難とし、かつ国民の知る権利を阻害します。

    流出した後の対策を練るより、あくまで流通を阻止することに重点をおくべきです。これ以上の規制強化はステークホルダーの誰にとっても全く資するものではありません。

  9. ハードウェアやプラットフォームの保護につながる規定は公正な市場競争を阻害します。
  10. 著作権法は、ソフトウェアやコンテンツの保護と利用のバランスを図り、文化の発展に資するために、その管理・流通をコントロールすることを目的とした法律です。しかし、コンテンツへのアクセスコントロール技術を著作権法の保護対象にまで拡張することは、この伝統的な保護の範囲を大きく逸脱し、特定のハードウェアやプラットフォームの法律による保護を意味します。特定の産業基盤を硬直的な仕組みで保護することは、市場競争を抑制し我が国の国際競争力を押し下げることへとつながり、将来のICT産業に対しても継続的な悪影響をもたらし得ると言わざるをえません。

また上記の意見を要約した配布用のチラシも同様に作成いたしました。このチラシを政治家や政府関係者へ配布する予定です。

アクセスコントロール回避規制チラシ(PDFファイル 143KB)

その他詳細な当協会の意見につきましては、下記を同時にご参照ください。

報道・参考URL

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最終更新日 : 2011-01-27 09:56:12