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プレスリリース

2007.10.26

ダウンロード違法化に反対するパブコメ素材

ダウンロード違法化に反対される方向けのパブコメ用素材です。

全部でも、一部のブロックでも、コピペしていただいて構いません。

これはぶつ切り状態の素材なので、文章を自分らしくつなげたり、自分の意見や具体例を入れたりしてくれると、さらに良いと思います。あくまで素材集なので、内容は個々人で適宜修正・変更してください。

なお、この素材は、パブリックコメント・ジェネレータ提供までの「中継ぎ」という位置づけです。

ダウンロード違法化以外の項目について、そしてMIAUの意見とは異なる意見についての雛型(ジェネレータ)は、後日公開となります。そちらを期待していらっしゃる方は、今しばらくお待ちください。

また、パブリックコメントの書き方や提出の仕方については「パブリックコメントへの意見提出方法」という記事をご参照ください。

報告書項目名 : 「第30条の適用範囲からの除外」(104ページ)

YouTubeやニコニコ動画は、ストリーミングで提供。
今回は、違法化の対象外であるとされている。
しかしストリーミングとダウンロードの区別は曖昧。
そしてキャッシュという形でダウンロードはしている。
専門家の間でも定義に争いがあり、裁判所が違法と判断するかもしれない。
だからダウンロードの違法化に反対。

ストリーミングとダウンロードは技術上、大差がない。
法律的に違うものとして扱うと、技術的な選択の幅を狭めてしまう。
そうすると、Webサービスの可能性を狭める。
日本のIT開発が衰退しかねない。
だからダウンロードの違法化に反対。

YouTubeは、原理上、著作権侵害ファイルも公開されている。
Winnyの開発者は、公衆送信権違反の幇助として訴えられた。
YouTubeのビデオダウンローダーを開発する行為が、民事上の共同不法行為となるかもしれない。
もし刑事罰が導入されたら、著作権侵害罪の共犯とも見なされる可能性もある。
新しい技術開発の萎縮を招いてしまう。
だからダウンロードの違法化に反対。

YouTubeのキャッシュが複製かどうか専門家の間でも争いがある。
ストリーミングは今回の議論の対象ではないとする立場は判例と矛盾するという指摘もある。
一般ネットユーザーの法的地位は不安定なものになってしまう。
合法的なダウンロード行為ですら萎縮してしまう。
だからダウンロードの違法化に反対。

いま、ニコニコ動画など、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が伸びている。
開発者も利用者も萎縮してしまえば、UGCの成長を破壊してしまう。
だからダウンロードの違法化に反対。

省庁がどう思っていようと、裁判官の判断がどうなるか不確定。
例えば映画の保護期間延長。
文化庁が言っていたことを裁判所がひっくり返した。
法文にストリーミングは対象外と明記されない限り、違法と判断される可能性がある。
だからダウンロードの違法化に反対。

YouTubeやニコニコ動画は、キャッシュでダウンロードしている。
キャッシュの入ったファイルをハードディスクの別の場所に移動すれば、ダウンロードと判断されるかもしれない。
同じサービスでも利用態様によって、違法と合法がわかれてしまう。
だからダウンロードの違法化に反対。

報告書項目名 : 「第30条の適用範囲から除外する場合の条件」(105ページ)

違法コンテンツなのか合法コンテンツなのか、見た目で分からないことが多い。
なぜなら、日本の著作権法は無方式主義で、権利の表示をしなくても良いから。
つまり、適法公開かどうかの識別が困難。
だから条件付きでも、現状だと反対。

ダウンロードしたファイルの内容は入手するまでは分からない。
入手時点で違法となってしまうかもしれない。
「違法コンテンツかもしれない」と思いながらダウンロードすることは、「違法かもしれないと、情を知りつつ、ダウンロードした」と判断される。
故意があるということで、訴えられたときにユーザーに不利。
法を守ろうとするユーザーにとって、リスクになる。
だから条件付きでも、現状だと反対。

権利者の許諾をもらって公開しているかわからない。
YouTubeというサイト1つをとっても、そこに公開されている動画が、合法的に公開されているかどうかは、自明ではない。
合法的なダウンロード行為が幅広く萎縮されることになる。
だから条件付きでも、現状だと反対。

技術に精通しているわけでもないため不合理な判断をしかねない。
ユーザーの感覚とは異なる判例もある。
実質的に権利侵害性の無いWebサービスでも違法とされることもある。
これでは大丈夫と思っていても、どうなるかわからない。
たとえばMYUTAや録画ネットといったサービスサイトは、裁判所によって著作権侵害を認定された。
一般ユーザーにとっては、購入済みのコンテンツをムーブしているだけという感覚。
既に対価を支払って入手している著作物の複製物を、自分の必要とする利用形態に合わせて複製するだけ。
これが違法サイトでありそこからのダウンロードが違法であるとして権利侵害を認定された。
だから条件付きでも、現状だと反対。

合法か違法か、見ただけではわからない。
本当は合法なコンテンツをダウンロードした者に対して、第三者が架空請求を行うかもしれない。
出鱈目に10000人に請求してほんの数人でも引っかかる人がいるかもしれない。
だから条件付きでも、現状だと反対。

インターネットに国境はない。
プロバイダ免責や権利制限など、法律は国によって異なっている。
コンテンツがどの国の著作権法に違反していたらアウトとなるのか、ユーザーは簡単に判断できない。
米国では合法だけれど、日本の基準に照らして違法と判断されるかもしれない。
そのようなことについて議論がされていない。
だから条件付きでも、現状だと反対。

「合法的な」ダウンロードの際に、受信者情報をどのように入手するのか?

ダウンロード者のトラッキングについて法制化をするのか?
それでは通信の秘密が侵害されてしまう。
そのことについて、検討されていない。
だから条件付きでも、現状だと反対。

調査や研究目的で「違法サイト」にアクセスする行為はどうなるのか。
違法と評価されかねない。
権利者の意向に場合によっては反するような、実態の調査研究が困難になるかもしれない。
偏りのない学問の良さが損なわれる。
そのことについて、検討されていない。
だから条件付きでも、現状だと反対。

報道や政治系のコンテンツをダウンロードする行為はどうなるのか。
報道については第四十一条に権利制限があるが、限定的。
サイト等の取材過程においてダウンロードする著作物がこの範囲に限定されるとは言えない。
ダウンロード違法化によるリスクが生じる。
そうなると、権利者の意向に場合によっては反するような、実態の報道が困難になる。
自由な報道による民主主義の実現にマイナスになる。
だから条件付きでも、現状だと反対。

なお、この素材について、MIAUは著作権を放棄します。Creative Commons の by-nd ライセンスは適用されず、パブリックドメイン扱いとします。

つまり、出所を明示しなくても、改変しても良いということです。

【10/29追記】

上記素材内に、事実と異なる記述がありました。

「Winnyの開発者は、違法ダウンロードの幇助として訴えられた。」という記述は、公衆送信権違反の幇助の誤りです。修正とともに、お詫びいたします。

また、ご指摘くださった方に御礼申し上げます。ありがとうございました。

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