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プレスリリース

児童買春・児童ポルノ禁止法改正についての緊急声明

現在開会中の第171回通常国会において、児童買春・児童ポルノ禁止法改正案が提出され、自民・公明党案と、民主党案との修正協議を経て成立の見込みである旨の報道がなされております。子供たちに対する性的搾取及び性的虐待の発生しない社会の実現を、私たちは強く望んでいます。しかしながら、児童ポルノ法改正案には、子供たちを守る仕組みとしては不十分である一方で、一般国民の生活やインターネット利用に大きな弊害を生む可能性のあるものが含まれていると我々は考えます。本当に子供を守り、より良い社会を形作る法律とするために、児童ポルノ禁止法の改正には、以下の点を考慮する必要があると私たちは考えます。

以下の声明にご賛同いただける方は、こちらのフォームにお名前・ご所属の入力をお願いいたします。国会議員などへの陳情の際に使わせていただきます。どうぞお力をお貸しください。


IEやSafariでフォームの一部が文字化けするとのご指摘をいただきましたが、Google Docs側の仕様変更のためのようで、こちら側では対応ができません。Google側でも問題は認識していると思われます。

文字化けしているのは説明文だけですので、そのままご記入いただいても問題ありません。FirefoxやChromeをご利用いただくと正常に閲覧できます。
(2009/07/11 00:29追記)

 

1. 児童ポルノの定義を客観的・限定的にすること

児童ポルノの単純所持や取得の禁止といった議論の前に、まず何が児童ポルノなのかを客観的、そして限定的にしておく必要があります。アイドルのライブ映像や水着写真まで含むような曖昧な法文では危険です。

2. 処罰対象を曖昧にせず、客観的にすること

児童を性的搾取から守るという法律の原点に立ち返ることは重要ですが、例えば与党案の「性的目的での所持」という部分は客観的な証明が難しく、個人の内心の自由を侵してしまう可能性があります。また、児童が自分の写真を撮ること自体まで犯罪になってしまうことがないような注意も重要です。

3. 冤罪の可能性がある処罰の新設ではなく確実な法執行で児童を守ること

過去に出版された写真集や公開された映画作品などを持っていることまで処罰の対象になりえる所持の規制よりも、製造・頒布・提供の処罰を強化し法執行を強化する等の、より児童を守るための枠組みについての検討が不足しています。

4. インターネットの規制の前に憲法や他の法律等との整合性を取ること

インターネットによって児童ポルノが広く頒布され、児童の被害が拡大する可能性があることはとても残念であり、喫緊の課題であることは事実です。しかしながら、児童を守るという目的を超えて、表現の自由や通信の秘密といった憲法で定められた権利を侵害する可能性のある法律には反対せざるを得ません。むしろ製造者や発信者の逮捕のためにインターネットを活用する形を検討するべきです。

5. 今後に向け、本当に児童を守るための施策を検討すること

「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護する」という本来の法律の目的を考えれば、アニメやマンガ等の規制やインターネット規制といった、憲法議論も考えられる規制を行うのではなく、被害児童の保護や救済といった制度を拡充し、本当に子供を守り助けるための制度の確立を検討すべきです。

 

※本声明には印刷用(PDF版)があります。
児童ポルノ法改正についての緊急声明
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