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プレスリリース

2010.01.29

児童ポルノ流通防止協議会へ「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン(案)」に対する意見を提出しました

MIAUは28日、インターネット協会の児童ポルノ流通防止協議会「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン(案)」に対し意見を提出いたしました。

内容は下記の通りです。

 

「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン(案)」に対する意見

私どもは、インターネットユーザーの立場から、児童ポルノ流通対策がインターネットユーザーの利益に与える悪影響について憂慮しており、とくにブロッキングについてはインターネットユーザーの情報へのアクセスの権利や通信の秘密、プライバシーの点から、行われるべきではないと考えています。今回の意見募集においては、貴協議会で検討している「我が国でのブロッキングの実現に向けた技術的・法的な課題の整理」に関する意見募集がなく、ブロッキングの実施を前提とした形でアドレスリスト作成管理団体の運用ガイドラインについて意見募集が行われており、ブロッキングのための運用体制が整備され既成事実化されていくことについて、極めて遺憾に思います。

私どもの以上の基本的な立場からは、本ガイドラインは、その全文が運用されるべきではない、ということになります。しかしながら、貴協議会の存在理由そのものを否定する意見のみを提出してもインターネットユーザーの現実的な利益にはつながらないため、インターネットユーザーの不利益を最小化する方向で、ガイドライン案の個々の内容について以下の通りの意見を提出します。

 

1. 2ページの以下の部分について

児童ポルノについては、その製造時に個々の児童への著しい性的虐待を伴うことや被害児童に対する脅迫の道具として利用され得るという問題があるほか、児童ポルノがインターネット上に一旦流通した場合には、これを回収することは極めて困難であり、性的虐待の現場を永久に残し、被害児童の心を傷つけ続けることとなるという問題や児童ポルノの流通によって児童を性欲の対象として捉える風潮を助長するという問題がある。そのため、児童ポルノは他の違法情報と明確に区分して対策を行う必要がある。

次の通り修正することを求める。

児童ポルノについては、多くの場合、その製造時に個々の児童への著しい性的虐待を伴い、さらに被害児童に対する脅迫の道具として利用され得るという問題がある。また、児童ポルノがインターネット上に一旦流通した場合には、これを回収することは極めて困難であり、性的虐待の現場を永久に残し、被害児童の心を傷つけ続けることとなるという問題がある。児童は成人と異なり、性的虐待を回避できる判断能力が十分ではなく、その一方、性的虐待の記録の流通は、児童に対する二次被害が極めて大きい。そのため、児童ポルノは他の違法情報や権利侵害情報と明確に区分して対策を行う必要がある。

 

理由:

この段落では児童ポルノを「他の違法情報と明確に区分して対策を行う必要がある」理由を説明しようとしているが、正確さに欠け、余計なことを主張している。

まず、「児童ポルノについては、その製造時に個々の児童への著しい性的虐待を伴う」とある。そのような児童ポルノが少なくないことには同意するが、しかし、インターネット上に流通する、ないし流通しうる児童ポルノには、近年、セクスティングと呼ばれている、児童自身が携帯電話端末などで製造し、流通させてしまったものも含まれうる。他人に強制されたりそそのかされた場合を除けば、その製造時に個々の児童への著しい性的虐待があったとするのは無理がある。

また、「児童ポルノの流通によって児童を性欲の対象として捉える風潮を助長するという問題がある」とあるが、この問題意識は、ガイドラインの対象を、本案で定義する児童ポルノ、すなわち、実在の児童が被写体となったものを越えて、実在しない人物を描いた絵や映像を対象とする方向に拡張可能とする意図があるのではないか。

本ガイドラインが用いられる枠組は、基本的人権である表現の自由(これには、情報へのアクセスの権利を含む)に制約を課すものである。その理由として、「児童を性欲の対象として捉える風潮を助長する」という、個人の内面についての道徳的非難を理由とすることは、あまりにも不適切である。児童ポルノの流通防止は、あくまでも具体的な被害者の存在を前提とし、その被害への対処の範囲のみをその根拠とするべきである。

さらに、この段落の説明は、児童ポルノの流通防止対策を検討する動機は述べられていても、例えば(必ずしも違法ではないが)成人が性的虐待を受けている場合や、児童が性的でない虐待を受けている場合の現場の記録と児童ポルノを区別する動機とはなっていない。そこで、児童と成人の判断能力の違いと児童ポルノの流通に伴う製造時の虐待とは別の二次被害という面を明示する内容を追加するべきである。

 

2. 2ページの以下の部分について

そのような状況の中、インターネット上の児童ポルノの流通に歯止めをかけるため、あらゆる手段を重層的に講じていく必要がある。

次の通り修正することを求める。

そのような状況の中、インターネット上の児童ポルノの流通に歯止めをかけるため、憲法や電気通信事業法をはじめとした法令に合致する範囲で可能かつ合理的な手段を重層的に講じていく必要がある。

 

理由:

「あらゆる手段」といっても、違法な手段をとることはできないし、児童ポルノの流通防止を旗印に基本的人権の侵害が許されるわけでもなく、合理的とはいえない手段をとることもできない。例えばインターネットそのものを廃止すればインターネット上の児童ポルノの流通はなくなるが、そのような手段は合理的ではなく採用されることはない。

 

3. 3ページの以下の部分について

また、児童ポルノについては、提供が禁止されるなど既に表現の自由は制限されているものの、政府機関がアドレスリストの作成、維持・管理等を行った場合、表現の自由に対する過度な規制強化と捉えられるおそれがある。このことから、アドレスリストの作成、維持・管理等については、民間のイニシアティブにて実施することが望ましい。

以下の通り修正することを求める。

また、児童ポルノについては、提供が禁止されるなど既に表現の自由は制限されているものの、政府機関がアドレスリストの作成、維持・管理等を行った場合、情報へのアクセス権を含む表現の自由に対する過度な規制強化や、政府による通信の秘密の侵害と捉えられるおそれがある。このことから、アドレスリストの作成、維持・管理等については、政府機関からの独立性を確保した民間のイニシアティブにて実施することが望ましい。

 

理由:

「表現の自由」には広義には情報受信者のアクセスの自由を含み、実際に流通防止対策では受信側の制限をしようとしているのだが、案の表現ではその問題が十分に伝わらない。さらに、対策にブロッキングを含んでいるのだから、協議会としての法的課題の整理は別途行っているにしても、「政府による通信の秘密の侵害」にも言及しておく必要があると思われる。また、この部分では、政府からの独立性の確保をより強く打ち出すべきであると考える。

 

4. 3ページの以下の部分について

リスト作成管理団体の監督等を行うため、児童ポルノ流通防止協議会において選出された学識経験者、法律専門家、民間団体・業界団体の代表者等の児童ポルノの流通防止に関する知見を有する専門委員から構成される専門委員会を設置する。

以下の通り修正することを求める。

リスト作成管理団体の監督等を行うため、児童ポルノ流通防止協議会において選出された学識経験者、法律専門家、民間団体・業界団体の代表者等の、児童ポルノの流通防止に関する知見を有する専門委員、ならびに表現の自由に関する知見を有する専門委員から構成される専門委員会を設置する。専門委員会の議事録は、個々の児童ポルノに係る情報等への言及がある部分を除き、原則としてウェブページ上で公表するものとする。

 

理由:

アドレスリストによる流通防止対策は、ホットラインを経由した送信防止措置と比べて、格段に表現の自由へのインパクトが大きい。ホットラインの場合、ホットライン自身は警察への通報やISPへの送信防止措置依頼を仲介しているだけで、最終的な判断は警察や送信元のISPが行っている。それに対して、アドレスリストによる流通防止の場合、直接、ブロッキングなどによって閲覧不可とされることになる。リストに掲載されるものが真正の児童ポルノであるならばともかく、現実には、警察庁やインターネット・ホットライン・センターから提供される情報には、未知の被写体の年齢判定に伴う誤りが含まれうる。

また、18歳未満の児童が被写体の場合も、具体的な内容によってボーダーライン上のものを誤って児童ポルノと判断する可能性がある。海外における後者の例としては、英国のIWFが、Wikipediaに掲載されている ドイツのハードロックバンド Scorpionsのアルバム Virgin Killer のジャケット写真を児童ポルノと判定して当該写真画像、及びアルバム Virgin Killer の解説の項目をブロッキング対象としたが、批判を受けて後に撤回したという例がある。

団体を監督する専門委員会が「児童ポルノの流通防止に関する知見を有する専門委員」のみの場合、このような誤りに対して甘くなり、日本社会の中で妥当と思われる水準から遊離した教条的・硬直的な判断を団体が行っても専門委員会が軌道修正を促せなくなる可能性があると考える。

従って、表現の自由に関する知見を有し、そこに重きをおくことができる専門家を専門委員に入れることによってバランスをとる必要があると考える。

また、透明性の確保の観点から、議事録を原則として公開すべきである。個々の児童ポルノに係る情報はもちろん例外とすることが必要であろうから、その点は明記する修正案を提示した。

 

5. 3ページの以下の部分について

上記(1)及び(2)を踏まえ、専門委員会の監督のもと、リスト作成管理団体は、原則として公益法人・民間団体等がその運営を行うこととする。

以下の通り修正することを求める。

上記(1)及び(2)を踏まえ、専門委員会の監督のもと、リスト作成管理団体は、公益法人・民間団体等がその運営を行うこととする。運営にあたっては、その資金はもっぱら民間からのものに限ることとし、政府からの補助金を受けたり政府からの受託事業としたりしてはならない。

 

理由:

「基本的な考え方」をふまえると例外は不要である。また、政府からの補助金を受けたり、まして政府からの受託事業となった場合、その運営方針は基本的なところで政府の言いなりになる。実際、警察庁からインターネット協会への受託事業として行われているインターネットホットラインセンターの場合、警察庁の指示で違法情報の定義の拡大が行われた。警察庁からの意向に対して是々非々の対応ができる団体である必要がある。

 

6. 3ページの以下の部分について

また、サイト管理者等から特定の URL について、アドレスリストからの除外要請があった場合は、所定の処理を行う。

以下の通り修正することを求める。

また、サイト管理者等ないし一般のインターネット利用者から特定の URL について、アドレスリストからの除外要請があった場合は、所定の処理を行う。

 

理由:

除外要請は、サイト管理者等が児童ポルノの送信防止措置を行った場合以外にも、該当性判断が誤っている場合もありうると考えられる。例えば、リスト作成管理団体が把握していない、被写体が児童でないことを示す資料が存在する場合などが考えられる。そのような場合、サイトを閲覧している利用者一般からの除外要請もあると考えられる。そのような除外要請も受け付けるべきである。

 

7. 4ページの以下の部分について

(1)アドレスリスト作成時の情報提供元の範囲
原則として、警察庁及びインターネット・ホットラインセンターからの情報提供を受けるものとする。

以下の通り修正することを求める。

(1)アドレスリスト作成時の情報提供元の範囲
警察庁及びインターネット・ホットラインセンターからの情報提供を受けるものとする。

 

理由:

透明性を考慮すると、例外を設けるべきではない。他の情報提供元が必要となる場合、ガイドラインを改訂するべきである。

 

8. 4ページの以下の部分について

アドレスリストの対象とする範囲は、特定の URL 上に掲載された児童ポルノであって、次のいずれかに該当し、警察庁及びインターネット・ホットラインセンターからの情報提供を受けたものとする。

  • サイト管理者等への削除要請を行ったが削除されなかったもの
  • 海外サーバに蔵置されているもの
  • サイト管理者等への削除要請が困難であるもの
  • その他、既に多くのウェブサイト又はウェブページを通じて流通が拡大しているなど、迅速かつ重層的な流通防止対策が必要で、事前に専門委員会の承認を得たもの

以下の通り修正することを求める。

アドレスリストの対象とする範囲は、特定の URL で示される児童ポルノ画像であって、次のいずれかに該当し、警察庁及びインターネット・ホットラインセンターからの情報提供に由来するものであるとする。

  • 海外サーバに蔵置されているもの

 

理由:

本項目は極めて問題が大きいと考える。

まず、国内サイトについては、警察が摘発できるのだからブロッキングなどの対象とするべきではない。ブロッキングが導入されているヨーロッパ諸国においても、伝えられている範囲では、その対象は原則として国外サイトである。

次に、「特定の URL 上に掲載された児童ポルノ」とあるが、ここで「掲載」の意味が技術的に明らかではない。

  • a) 特定の URL について HTTP でリクエストを行うと児童ポルノ画像を取得できる状態にある
  • b) 特定の URL について HTTP でリクエストを行うと取得できるHTML等のファイルのインライン画像として、a) のURLが書かれている
  • 特定のURLについて HTTP で リクエストを行うと取得できるHTML等のファイルに含まれているリンク先に a) や b) のURLが書かれている

のいずれか、あるいは全てなのかどうか明確ではない。

警察庁やインターネット・ホットラインセンターの持っている情報は、摘発や削除要請の観点からは、a)とb)の両方、あるいはa)、b)、c)の全ての情報が含まれている可能性が高いと考えられる。

一方、流通防止対策が表現の自由や情報へのアクセス権への制約となることを考えると、流通が防止される情報は、厳密に児童ポルノ画像のみに限るべきであると考える。

例えば、特定のURLにアクセスして得られるウェブページ上に100枚の画像があり、このうち1枚が児童ポルノ画像で残りの99枚が成人ポルノ画像や非ポルノ画像である場合に、児童ポルノ画像の流通防止を理由として、ウェブページの文章や残りの99枚の画像へのアクセスがブロックされるのは合理的な制約を越えるのではないか。また、前述の英国における Wikipedia のブロッキングでは、問題となったアルバム Virgin Killer のジャケット写真のみならず、ジャケット写真が掲載された、アルバム Virgin Killer の解説文も含めてブロック対象としたことが、批判が強く行われた理由でもある。

従って、アドレスリストに掲載されるものは a) のみでなければならず、b) やc) は a) についての参考情報として扱われるべきである。

 

9. 4ページの以下の部分について

アドレスリストには、次の情報を掲載するものとする。
ア 児童ポルノに係る情報

  • 児童ポルノが掲載されているウェブサイト又はウェブページの URL、IP アドレス
  • リンク先に児童ポルノ画像が掲載されている場合の当該リンク先の URL、IP アドレス
    (以下、 「児童ポルノが掲載されているウェブサイト又はウェブページの URL、IP アドレス」と「リンク先に児童ポルノ画像が掲載されている場合の当該リンク先の URL、IP アドレス」を合わせて、「児童ポルノに係る URL 情報等」という。)
  • 児童ポルノの識別情報(ハッシュ値等)
    (以下、 「識別情報」という。)

イ 管理情報

  • 管理番号
  • 情報提供元及び提供年月日
  • 児童ポルノが掲載されている特定のウェブサイト又はウェブページの画面コピー
  • アドレスリスト掲載年月日
  • 児童ポルノ該当性の判定理由
  • 直近の存在確認年月日
  • アドレスリストからの削除に係る情報
  • 除外要請への対応に係る情報

以下の通り修正することを求める。

アドレスリストには、次の情報を掲載するものとする。
ア 児童ポルノに係る情報

  • 児童ポルノ画像の URL、IP アドレス
    (以下、「児童ポルノに係る URL 情報等」という。)
  • 児童ポルノの識別情報(ハッシュ値等)
    (以下、 「識別情報」という。)

イ 管理情報

  • 管理番号
  • 情報提供元及び提供年月日
  • 児童ポルノが掲載されている特定のウェブサイト又はウェブページのURL
  • 児童ポルノが掲載されている特定のウェブサイト又はウェブページの画面コピー
  • アドレスリスト掲載年月日
  • 児童ポルノ該当性の判定理由
  • 直近の存在確認年月日
  • アドレスリストからの削除に係る情報
  • 除外要請への対応に係る情報

 

理由:

本項目は極めて問題が大きいと考えられる。

前述の部分と同様、本項目で用いられている「掲載」という言葉はその内容が明確に定義されていないが、「リンク先に児童ポルノ画像が掲載されている場合の当該リンク先の URL、IP アドレス」とあるので、画像等がインライン表示されているウェブページのみならず、他の児童ポルノ掲載サイトや児童ポルノ画像等へのリンクを有しているだけのウェブページもまた、対象とされていると読める。

前述のとおり、アドレスリストに掲載する情報は児童ポルノ画像のみに限るべきである。その上で、除外要請に伴う該当性判定のために、警察庁及びインターネットホットラインセンターからの情報提供のさいのウェブサイトやウェブページのURLは管理情報として記録するべきである。

 

10. 5ページの次の部分について

(3) アドレスリスト利用事業者との契約締結
アドレスリストの流用や悪用等を防止するために、アドレスリスト利用事業者とは事前に、提供するアドレスリストの適切な取扱い等に関し次の内容を含めた契約を締結するものとする。

  • アドレスリストの利用目的を、ブロッキングの実施、検索結果からの排除、フィルタリングリストへの反映等、児童ポルノの流通防止対策に限定すること
  • アドレスリストを第三者に提供しないこと
  • アドレスリストを機密かつ安全に管理するために必要かつ適切な措置を講じること
  • アドレスリストにアクセスする権限のある全ての従業者が契約条項を遵守するよう、必要かつ適切な監督を行うこと

以下の内容を契約項目に追加することを求める。

  • 児童ポルノの流通防止策においては、アドレスリストの適用結果と個人を結びつける情報を保存しないこと

 

理由:

ブロッキングは方式によってはエンドユーザーのHTTPリクエストの全てないし一部をログにとることができ、特定ユーザーのアクセスがブロッキングの対象になったかどうかや、その具体的なURLは、非常にセンシティブなものとなる。これらは、エンドユーザーの通信の秘密の観点から重大な関心事である。

とくに、ログを「児童ポルノの流通防止対策」のために、警察が令状なしで照会できるような事態になれば、通信の秘密は無きに等しいものになり、捜査令状等がある場合に限っても、通信の秘密が大きく制約されることになる。このような事態を招かないために、ブロッキングにおけるログ取得の禁止を明示的に契約に入れることを求める。

 

11.7ページの以下の部分について

1 児童ポルノ該当性判定アドバイザーの設置
アドレスリストからの除外要請を受けた児童ポルノが存在した場合に改めて児童ポルノ該当性の判定を行うために、児童ポルノ該当性判定アドバイザー(以下、「判定アドバイザー」という。)を設置する。判定アドバイザーは3名以上の専門家(法律専門家、医師を必ず含むこと)から構成するものとする。

以下の通り修正することを求める。

1 児童ポルノ該当性判定アドバイザーの設置
アドレスリストからの除外要請を受けた児童ポルノが存在した場合に改めて児童ポルノ該当性の判定を行うために、児童ポルノ該当性判定アドバイザー(以下、「判定アドバイザー」という。)を設置する。判定アドバイザーは3名以上の専門家から構成するものとする。専門家には、法律専門家、医師、およびコンテンツ・ソフト協同組合やビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合等のアダルト・コンテンツ業界団体の推薦を受けた人物を必ず含むこととする。

 

理由:

除外要請の該当性判定においては、除外要請で、被写体が18歳以上のAV俳優であるとする場合が少なからず含まれる可能性があると考える。そのような主張の判定には、被写体モデルの特定のためにアダルト・コンテンツに通じた人物が必要となる。そこで、アダルト・コンテンツの業界団体から推薦を受けた人物を専門家に含めることを提案する。

 

12. 7ページの以下の部分について

3 サイト管理者等及びアドレスリスト利用事業者によるアドレスリストからの除外要請等への対応
(1) 除外要請等の受理

以下の内容を追加することを求める。

ウ. エンドユーザーからの通報の受理

もしくは、「第3 3(3) アドレスリスト利用事業者との契約締結」に以下の内容を追加することを求める。

  • エンドユーザーからの除外要請を受け付けてリスト管理団体へ通報する体制を整備すること

 

理由:

除外要請等を「サイト管理者等」「アドレスリスト利用事業者」のみに限定するのは問題である。特定のURLについて、アドレスリストに基づく流通防止対策がとられているかどうかは、サイト利用者も気がつく可能性があり、とくに欧米のようなブロッキングを行う場合に特定の警告サイトへと誘導する場合は、サイト利用者は明確に気付くことになる。流通防止対策の影響を受けるのはサイト管理者よりもむしろサイト利用者である。サイト利用者が、事前の閲覧実績やその他の知識から、児童ポルノ不存在、ないし児童ポルノ非該当と判断できるにも関わらず、要請のルートを与えられないのは問題である。

そこで、リスト作成管理団体自らエンドユーザーからの要請ないし通報を受け付けるか、アドレスリスト利用事業者経由で要請ないし通報できる体制を整備することで、エンドユーザーが特定のURLの除外を求めることができる形とする必要がある。

エンドユーザーが要請のルートを与えられない場合でも、アドレスリスト利用事業者とリスト作成管理団体を相手取って民事訴訟を起こすことは可能である。訴訟のコストの問題もさることながら、ルートが与えられていないがゆえの訴訟となると、リスト作成管理団体への社会からの信頼が大きく傷つくことになることにも留意されたい。

(以上)

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