2007.10.16
設立趣旨
私たちは、生まれながらにして自由を求める。それは自らの足で立ち上がり、母親の差し出す掌を求め、歩みだす瞬間からはじまる。自由は、誰にとっても善いことであり望ましいことだ。だから、私たちの先人は、思想家として科学者として、社会制度から工業技術に至るまでの「自由のための道具」を作り出し、私たちの生活の中の不便を取り除き、私たちの自由を拡大してきた。
そうした広い意味での「自由」のなかでも、ここで私たちが語ろうとしているのは、私たちをとりまく情報環境の自由の問題だ。いうまでもなく、民主主義政体も自由市場経済も、情報の自由流通を基礎として正統性を持ちうる。そして、これまで情報の自由について、私たちは、技術のもたらす自由の果実を疑うことがなかった。しかし、近年の著しい情報技術の一般化によって、ついに情報の自由に疑問が投げけられるようになった。
現在幸福であり、古い法や制度に依拠している人たちは、私たちの情報技術を、これまでの社会のあり方の枠の中にとどめようと試みる。古い法や制度を使い、彼らはその情報技術を禁じることさえ厭わない。たとえそれがどんなに不合理な結果をもたらすものであったとしても。
古い法や制度に依拠している人の主張が、完全に間違っているとは思わない。だが、誰かの古い自由のために、私たちは自らの自由の可能性を放棄せねばならないのだろうか? すでに一般化した技術のもつ可能性を、制度的に抑制することは可能かもしれない。しかし、私たちは、自由のための道具を用いて、新しい自由に向かって進みたい。それが「進歩」というものではないか?
そこで、私たちは、新しい組織をつくることにした。未だ組織化されていない「情報技術を応用することで、現在よりも自由で幸福な社会をつくることができる」と考える人たちの声をまとめ、古い法や制度に依拠する人たちに、新しい自由がもたらす利益と幸福について説明するための組織だ。そして、現在の社会体制において、情報技術の知識と法や制度に関する知識を総合して、次の時代のあるべき姿を考え、社会に訴える組織だ。
私たちは、ネットワーク利用者が直面しているさまざまな問題について、現実の社会で力をもつ人々にも理解できるように、調査し整理し報告しようと思う。ネットワーク利用者が、政府や産業界や官僚に訴えたいと考えていることを、代弁しようと思う。
情報技術のもたらす自由と幸福について気がついているなら、ネットワークの自由を抑制するようにみえる政策や制度に反発心や憤りを感じているのなら、私たちの組織に参加してほしい。私たちは、私たちの望むように、社会のあり方を進歩させることができるはずなのだから。
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