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プレスリリース

2008.03.31

「かぐや」ハイビジョン映像公開に関する質問状の送付について

月探査衛星 SELENE(通称「かぐや」)のハイビジョンカメラは、いわゆる「地球の出」を始めとして、宇宙開発史上かつてないほど精細な月の映像を我々に届けてくれました。しかし、その高画質動画はいまだインターネットで公開されていません。

私どもMIAUは、この点について以前から疑問を有しており、本年3月28日、NHK宛にハイビジョン映像公開に関する質問状を送付いたしました。詳細につきましては、以下をご覧下さい。

MIAUといたしましては、「かぐや」の高画質動画が広く公開され、日本の多くの国民がその成果を視聴できる状態であることが自然であると考えております。

現状としてなぜ「かぐや」の高画質動画が広く公開されていないのか、何が阻害要因となっているのかを明らかにしていく所存でありますので、皆様におかれましては、この問題に注視していただきますようお願い申し上げます。

拝啓

時下ますますご発展のこととお慶び申し上げます。

突然の質問をお送りする非礼をお許しください。

私どもは「Movements for Internet Active Users」(略称「MIAU」)というインターネットユーザーを基盤とする消費者団体です。

今回質問をお送り致しましたのは、貴協会の「かぐや」ハイビジョン映像の取扱方針について、いくつかお尋ねしたいことがあったからです。つきましては、下記質問項目について、ご回答をいただきたくお願い申し上げます。

なお、本質問は、誠に勝手ながら当団体のウェブサイト(https://miau.jp/)にて、公開質問状という形で公表する予定であります。また、貴協会より頂いたご回答も併せて公開させて頂きたいと考えております。事情をご理解いただき、何とぞよろしくお願い申し上げます。

また、誠に勝手ながら、この書面をお受け取りになって一ヶ月以内にご回答を頂きたいと存じます。もし、それが困難でございましたら、いつ頃ご回答を頂けるのかをお知らせ下されば、たいへん助かります。

年度末のお忙しい中、お手数をお掛けして誠に申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

                            敬具

              記

今回お尋ねしますのは、月探査衛星 SELENE(通称「かぐや」)に搭載されている宇宙探査機用ハイビジョンカメラが撮影した、いわゆる「地球の出」を始めとする「月の高画質映像」に関してでございます。これら映像は、NASA が13年前に行った月探査計画「クレメンタイン」の映像とは品質に歴然の差があり、NHK ハイビジョンカメラの高い技術力を示すものと認識しております。

が、しかし、宇宙開発史上かつてないほど精細な月の映像であるにも関わらず、現時点において、日本の多くの国民が、そのすばらしさを充分に認知できない状況にあると感じます。なぜならば、ハイビジョン対応地上デジタル放送テレビの普及率は、日本全世帯の3割に満たない状況なのです。このような状態では、これら「月の高画質映像」が、広く一般に公開されているとは言えない状況であると強く感じます。

そこで、私どもが日ごろ慣れ親しんでおりますインターネットで動画配信が出来れば、この状態を解消できるのではないかと考えました。既に、全世帯の半数以上が、インターネットをブロードバンド環境で利用していると調査結果が報告されております。一般的に普及しているパソコンの性能であれば、ハイビジョン放送と同レベルか、ほぼ同等の動画再生が可能でしょう。自宅に居ながらにして、放送を見逃してしまった国民も、その動画を鑑賞することが可能となるのです。

「月の高画質画像」を広く公開する事によって、国民が得るメリットは決して少なくないと感じます。昨今、学生の理系離れが著しいことは周知の事実でありますが、私どもは、若い世代にこそ「地球の出」映像を見て欲しいのです。それを、目の当たりにすることにより、「日本の宇宙開発技術は凄い」「日本の映像技術は世界に誇れるレベルだ」と感じて欲しいと考えております。「月の高画質画像」には、それだけのインパクトがあります。

今こそ「多くの国民が成果を享受できる」という大前提のもと、「月の高画質映像」のインターネット配信に踏み出すべきです。ところが、現在のところ NHK では、「月の高画質映像」のインターネット配信を行う予定をたてておられないようです。

NHK の主たる業務が「放送」であり、インターネットによる動画配信が「放送業務の枠」から外れていることは、もちろん承知しております。しかし、国民から得た受信料を運営財源としている NHK だからこそ、公共の事業でしかできないことをやるべきだと考えます。

件のハイビジョンカメラの開発費用の一部は、我々国民が負担した受信料からまかなわれていることは想像に難くありません。そうであるならば、もっと多くの国民が視聴できるように配慮していただきたいのです。

公共放送という立場で、受信料をもとに制作したコンテンツであるのにも関わらず、放送で受信者に還元するどころか、パッケージ販売で利益を得ることが公共放送としての義務を果たしているとは思えません。

私どもは、このような状況を踏まえ、NHK の「月の高画質映像」のインターネット配信について、いくつかの質問を挙げさせていただくことにしました。どうか、ご査収いだたき、ご回答をいただきますようお願い致します。

質問1:

月探査衛星「かぐや」からもたらされた高画質動画は、NHK の特集番組などで数回紹介されただけで広く国民に公開されているとは言えません。例えば「かぐや」の高画質動画がインターネットで公開されれば、多くの国民がそれを目にする機会がはるかに多くなると考えます。

また、「かぐや」の高画質動画は、それ自体が学術資料として非常に価値の高いものです。そうであるならば、プロジェクトの成果を広く全世界に発信してきた米国 NASA の偉業に習い、インターネットを介して広く公開すべきだと考えます。

このような状況にあってもなお、NHK が「かぐや」の高画質動画をインターネットで公開をしない理由をお聞かせ下さい。

質問2:

月探査衛星「かぐや」の高画質動画は、NHK と JAXA の共同作業でもたらされた画期的な成果と言えます。しかし、その動画公開の動きに関しては NHK と JAXA との間で温度差を感じます。「かぐや」の動画公開について、NHK と JAXA の間で、どのような取り決めがなされているのかをお聞かせ下さい。

質問3:

月探査衛星「かぐや」の高画質動画は、NHK のハイビジョンカメラ技術によってもたらされました。その開発費や運用費の少なくとも一部は、多くの国民から集めた受信料から捻出されていると考えます。

しかし、先日のことですが、「かぐや」の高画質動画が民間の一企業からパッケージ発売されるという報道がありました。また、ディスカバリーチャンネル・カナダのホームページで、カナダ国内限定とは言え、高画質動画が公開されているようです。

このような公開実態は、受信料で NHK を支えている国民が全く視野に入っていないと強く感じます。つきましては、NHK では「かぐや」の高画質動画の公開について、今後どのような計画をお持ちなのかお聞かせ下さい。また、既に学術機関への資料提供の実績などありましたら、お聞かせください。

質問は以上でございます。

ご回答をお待ち申し上げます。

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