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プレスリリース

2008.10.16

「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメント送付のご報告

MIAUでは、このたび、厚生労働省医薬食品局総務課が公開しているパブリックコメント「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する意見の募集に対して、以下の内容でパブリックコメントを送ることにいたしました。

私たちは、同法改正案は、ネットを利用する全国の皆様の生活に、少なからず影響を及ぼすものであると考えます。そこで、この問題についての意見を提出するとともに、同問題についてご存じない皆様にも、幅広くお知らせし、ご意見をお送りするよう呼びかける意義は大きいと考えました。
ご参考になれば幸いです。

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[意見]

該当箇所 郵便その他の方法による医薬品の販売等
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薬局開設者又は店舗販売業者は、その薬局又は店舗以外の場所にいる者に、
郵便その他の方法による医薬品の販売又は授与(以下「郵便等販売」と
いう。)を行う場合、次の1~3に掲げるところにより行わなければならない。
1 第三類医薬品以外の医薬品を販売し、又は授与しないこと。

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[意見内容]

現在の議論の進め方では、法改正案に反対せざるをえません。

[理由]

 

○法改正を進めるに足る議論の土台が形成されていない

本件パブリックコメントにかけられている法改正案は、多くの国民が、オンラインで薬品を買えなくなるという、大きな制約をかかえることになるものです。そのような大きな法改正は、本来であれば国民の間で多大な議論を交わし、大まかな方向性について合意を得られた上で行われるべきものであると考えます。

私どもMIAUは、2007年の著作権法改正案(いわゆる「ダウンロード違法化」)に対して、ネットにおける議論を喚起し、結果的に数多くの国民の意見を集めることが出来ました。これは、文化庁で事前に整理された議論を資料として公開するという真摯な努力あってのことです。

この法改正による影響は上記著作権法改正と同様、ネットに対して大きな影響を与えるものであろうと思いますが、その影響を直接受けるはずのネットにおいてさえ、この法改正案についての議論はほとんど見られず、法改正案についてのニュースもほとんど見られません。

私どもは、今回パブリックコメント募集にかけられている改正案の内容に踏み込んで検討するには、公開されている情報が足りなすぎるように思います。現状ではオンラインショップなどの団体を通じてパブリックコメントの「存在」を知られる程度であり、これを見たネットユーザーも、議論の中間整理などが公開されず、規制の理由なども明確にされていないので、単純な反対論しか書けないのではないかと思います。

 

○より制限的でない規制の可能性を検討すべき

具体的な規制内容として、現在の法改正案ではオンライン販売を一律禁止するに等しいものになっています。オンライン以外の入手方法として、コンビニ等での販売条件を緩和する等の対策案が提示されていますが、それでは十分でないように思います。コンビニまで行けない産前産後の女性や高齢者がいる、育毛剤など特に専門的にトレーニングされていないコンビニで対面販売が躊躇われる医薬品がある等の事情もあります。

対面販売という制度を維持すること自体が薬事法の目的なのではない以上、これらの諸問題について、一律規制という副作用の大きい対応は望ましくありません。規制が必要であるとしても、個別の問題について、細かい修正条件を付加するなどして、解決策を模索することが望ましいと考えます。

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