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プレスリリース

「埼玉県青少年健全育成条例の改正骨子案」に対して意見を提出しました

一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は11月30日、「埼玉県青少年健全育成条例の改正骨子案」に対する意見募集に、下記の意見書を提出いたしました。

本意見書では、条例案がフィルタリングに依存しすぎていること、「フィルタリングさえしていれば安全」との錯誤を生みかねないこと、保護者や地域社会が子どもの教育を放棄してしまうおそれがあること——を指摘いたしました。また、子どもが有害情報に接しても正しく対応できる力を身につけさせる「教育」の必要性を訴えました。

MIAUは、今後も子どもと保護者へのリテラシー教育の取り組みを進めてまいります。

青少年健全育成条例の改正骨子案への意見

 

2009年11月30日
インターネットユーザー協会 代表理事 小寺信良

埼玉県青少年健全育成条例の改正骨子案

 

  1. 条例改正の理由について
    インターネットおよび携帯電話における有害情報発信の責任において、本来このような責務をを果たすべき役割は、コンテンツプロバイダである。この条例改正案に関しては、コンテンツプロバイダの果たす役割がきちんと理解されていないのではないか。
    またコンテンツプロバイダによる自主規制、自浄努力などの取り組みはすでに行なわれているところであるが、それに対する評価も行なわれていないのではないか。
  2. 具体的な改正内容について
    改正案ではフィルタリング解除可能な条件として、「青少年に障害や疾病のある場合」の理由や因果関係が明確でない。例えば疾病のある青少年の携帯電話はフィルタリングを解除すべきという意図にも読めるが、障害および疾病の種別、それに対する携帯電話の役割、そこにフィルタリングがどのように関係するのかなど、具体的な条件を明確にすべきである。
    「保護者がインターネットの利用履歴提供サービスを活用し、青少年のインターネットの利用状況を常に確認する場合」に関しては、いくつかの問題がある。

    1. 一社しか提供していないサービスに、自治体が依存していいのか。
      現在携帯電話で、インターネットの利用履歴を提供しているのはNTTドコモ一社しかない。自治体による条例の実施が、携帯電話キャリア一社しか対応していないサービスに依存することに、強い懸念を感じる。これは埼玉県として、青少年に持たせる携帯電話はNTTドコモにすべきであるということか。
    2. 既存のインターネットの利用履歴サービスによる監視は、実効性が薄いのではないか
      インターネットの利用履歴は、おもにURLの羅列という形で提供される。NTTドコモのサービスは、PCを使って履歴を見るというサービスであるが、現在多くのケータイサイトは、PCからのアクセスを遮断しているところも多く、実質的には履歴からPC経由でサイトを確認することは困難である。またアクセス先のサイトに広告バナーやアフェリエイト、アドセンス等のリンクがあった場合、一カ所のアクセスに対して膨大なURLが発生する。
      したがって、親の携帯電話で全ての履歴サイトをチェックするというのは、手間や金銭的負担等の面からも現実的でない。このような観点から、携帯電話のインターネット利用を履歴管理サービスで把握するという条件は現実的な施策とは言えず、それを解除の条件にするというのは妥当ではない。
    3. 教育による成果が反映されない
      フィルタリングが解除できる条件として、子供たちが学習によって身につけた情報リテラシやスキルといった、教育の効果が反映されていない。このような方策では、子供たちが情報リテラシを学ぶモチベーションを低下させるのではないか。
    4. 方策がフィルタリングサービスに依存しすぎている
      ケータイのフィルタリングサービスは、現在実質的に一民間企業であるネットスター社に依存している。これは社会的公平性や評価の安定性について、まだ未成熟な状態であることを表わしている。
      またフィルタリングサービス提供会社自身も、フィルタリング技術は未成熟なものであり、全面的にフィルタリング技術に依存することは危険であると表明している。県レベルの方策としては、実態調査が不足しているのではないか。
    5. そもそもインターネットの利用履歴から得られる情報は少ない
      現在携帯サイトの情報元は、以前の情報掲示板的なものから、リアルタイムでメッセージをやりとりするサービスに主軸をうつしつつある。また会員制SNSなどでは、IDとパスワードがわからなければ内容を見ることができないため、アクセスしたサイトのURLがわかっても、情報の内容を把握するには至らない。

包括的に見て、今回の条例改正案では、フィルタリングさえしていれば安全であるとの錯誤を産む危険性があり、保護者あるいは社会全体が正しく児童を育成するという責務の放棄に繋がるのではないかと懸念する。埼玉県は東京に隣接した首都圏の一部であり、日本の情報発信の中枢に位置する立地である。このことを考えれば、県の方策として情報規制を行なうことは、せっかくの立地条件を無駄にしてしまうことにもなり、埼玉県に暮らすメリットを奪う結果となりかねない。むしろ首都圏の情報先進県として、子どもたちの携帯利用監視強化ではなく、有害情報に接してもそれに正しく対応できる力を身につけさせる教育の強化が、今後取り組むべきもっとも重要な課題である。

もう一度法本来の趣旨に立ち返り、子どもとともに、保護者に対する情報リテラシ教育の強化といった方策に転換すべきである。

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