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プレスリリース

2011.01.12

文化庁「技術的保護手段に関する中間まとめ」に対して意見を提出しました。

MIAUは7日、文化庁が実施した文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に関する意見募集に対し、下記の意見を提出しました。

第1章 6ページ 「ACTA」 について

ACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)について「今後は、条約案文の確定作業を経て、署名・批准が行われる予定となっている」とあるが、そもそもACTAについては多くの問題が国際的に指摘されており、批准すべきではない。

ACTAは「知的財産権の執行を強化するための新しい国際的な法的枠組」として議論されており、批准すれば、それに対応した国内法の改正が求められる。そのような条約であるにも関わらず、国民から秘密にされる形で議論されており、議論における透明性に問題がある。

条文案に関しては2010年4月までは一切公開されておらず、ウィキリークスによるリークによってのみ内容を知ることができたという不自然な状況であった。また条文案が公開されたといっても、英語の条文案のみの公開であり、一般国民に向けた日本語訳は未だ公開されていない。交渉内容も秘密であり、どのような利害関係者やビジネス界のリーダーが会合に参加したのかすら公開されていない。

このように国民的な議論が全く行われておらず、国民的なコンセンサスを得ることができない策定プロセスをとっている条約には批准すべきではないし、またそのような条約が批准されることを前提に国内法の改正の議論を行うべきではない。

第2章 13ページ 「「非暗号型」技術に関して」について

非暗号型コピーコントロール技術を十把一絡げに権利対象とすることを図る中間整理には同意できない。

かつてレコード会社はコピーコントロール CDによって消費者のハードウェアの損傷を招くなどの問題を起こし、コピーコントロール CDによるハードウェア問題に対応するコストをハードウェアメーカーが被ることになった。この騒動は、米国消費者団体が5大レーベルを相手取って消費者代表訴訟を起こすまでに発展した。

http://slashdot.jp/article.pl?sid=02/06/18/160225

また、Sonyが複製防止技術の一環として実装したものは、RootKitと呼ばれる悪意ソフトウェア技術(マルウェア)を悪用して、ユーザーのコンピューターにあるオペレーティングシステムの重要なファイルを故意に書き換え、コンピューターの安定性を害するという手法であった。

http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/insiderseye/20051109rootkit/rootkit_01.html

現在、法務省ではこのようなウィルス等ソフトウェアの作成を犯罪として明確に犯罪化しようとしている。

非暗号型技術は、これらのように、消費者の正当な利用を害するかたちで行われてきたものもあり、このような具体的な不法行為を助長し、その追究を妨げるような権利の水増しは、決して認められるべきではないと考える。これらの技術の問題点の検証に当たっては、当然その複製防止技術を破る試みが不可欠である。

また上記のようなコピーコントロール技術の不備があった場合に一方的にユーザーに一方的に負担を迫ることも避けるべきである。

第4章 18ページ 「基本的な考え方」 について(その1)

技術的保護手段を回避する「プログラムの著作物」は、著作権法第2条第1項の定めるとおり「表現」であり、表現の自由を正面から規制しようというものである。表現の自由に制限を加えるにあたっては、過度に広汎にならないようにせねばならない。今回の法改正案における最大の難関は、最小限の規制を実現する条文を規定しなければ違憲となってしまう点にある。

同目的で法改正を行うに当たっては、厳密な適用範囲の特定が必要である。その点では、広汎性を否定するためには、少なくとも複製防止技術の具体的な登録制度が不可欠であると考える。登録技術の正当性を審査するために必要な条件は、別様の「◆第2章 13ページ 「非暗号型」技術に関して」で述べたとおりである。

第4章 18ページ 「基本的な考え方」 について(その2)

「社会的実態を踏まえ」とあるが、本中間まとめには現在どのような社会的実態があるのかについての記述が、ごく一部の側面しか記載がない点が問題である。例えばマジコンなどを用いた非正規のゲーム起動については記載があるが、別様の「◆第2章 13ページ 「非暗号型」技術に関して」で述べたコピーコントロールCDやRootKitによる弊害や、正規に入手したコンテンツがアクセスコントロール技術によって将来に継承できない問題、正規のライセンスを受けることが不可能なオープンソースソフトウェアでDVDを再生している人がいること、マジコンを用いて自作のゲームを公開している人がいることなども「社会的実態」の一つであり、アクセスコントロール技術の問題点や、本中間まとめの内容を踏まえた法改正によってこのような実態が規制されることについての記載がないのは一方的すぎる。アクセスコントロール技術の不備でユーザーやメーカーが不都合を被る可能性や、ユーザーの情報へのアクセスを遮断すること、表現の自由への制限に対する考慮がなされていないと考えざるを得ない。

また「社会的実態」は日々進化・変化していくものであり、法の制限を社会的実態にあったものとし、保護と利用の均衡を保つために、米国のDMCAが導入しているような、規制による影響についての定期的な意見の募集や、規制によって生じた不利益を治癒するためのモラトリアムを設けるなどの措置も必要である。

第4章 19ページ 「回避装置等の種類との関係について」について

本中間まとめでは、いくつかの点で消費者の権利に配慮している側面が見られる点を喜ばしいものとして評価したい。例えば次のような記述をわれわれは重視し、今後も継続的に求めていきたいと考える。

また、「方式」の見直しに当たり、いわゆる「無反応機器」(特定の信号に反応しないことにより、結果として技術的保護手段が機能しない装置)が規制対象とならないようにすることについても、引き続き配慮が必要である。

第4章 20ページ 「権利制限規定との関係」について

コピーコントロールを解除する行為を禁じた場合、コピーコントロールがかかった音楽や映像コンテンツを私的目的で複製する余地は全くなくなることとなる。よってデジタルコピーによる私的複製によって本来著作権者等の受けるべき利益を害することはなくなるため、私的複製が全く行われる余地がない録音又は録画の機能を有する機器や記録媒体における私的録音録画補償金は、完全に廃止されなければならない。

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