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プレスリリース

報通信審議会 電気通信事業政策部会 電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証に関する特別委員会主査ヒアリングで意見を述べました

MIAUは、2018年11月27日(火)に開催された情報通信審議会 電気通信事業政策部会 電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証に関する特別委員会主査ヒアリング(第6回)でヒアリングを受け、意見を述べました。

内容は以下の通りです。


平成30年11月27日

一般社団法人インターネットユーザー協会

10年後を見据えたネットワークビジョン

5Gの普及を前提とした10年後のネットワークビジョンについて、弊団体は以下の点について意見を述べる。

  1. 自動運転について
  2. 5Gと既存ISPとの競合について
  3. ブロックチェーン技術の活用について
  4. 家庭内LANと5G技術の関連性の整理
  5.  通信の中立性の確保について
  6. 5Gのブラックボックス化と知る権利のバランス
  7. カメラの広角化に伴う写り込み問題の拡大と情報化のバランス

1.自動運転について

5Gの普及に伴って自動運転の普及が期待されるところである。現在ビジョンとして描かれるのは、都市部における公共インフラとしての自動運転車であるが、自動運転の普及によって恩恵を受けやすいのは、むしろ高齢者が住まう地方の町村地域である。人の移動だけでなく、日用品や食材の購入・調達等、物流のためにも自動運転車の活用が期待できる。また路上に障害物が少なく、見通しが良い道路があり、歩行者も少ないなど、自動運転車の実用実験に向いた条件が揃っている。

一方でキャリアによるインフラ整備は、過去の例からすれば都市部から先にスタートし、地方の町村地域まで普及するのに数年を要するのが通例である。加えて携帯料金の値下げにより、このような人口過疎地域に対するインフラ整備がこれまで遅れる可能性もある。これにより、必要性が高く、走行にも難易度の低い地方部のほうが、逆に自動運転の普及が遅れるという、需要と供給の思惑違いが起こることが懸念される。

地域の自動運転普及、あるいは家庭内におけるIoT対応として、現在これらの地域にインターネットサービスを提供している農村型ケーブルテレビ局等のISPに対して、キャリアサービスが始まるまでの一時的措置として、5Gサービスの代替提供を認可すべきと考える。

2.5Gと既存ISPとの競合について

5Gの通信速度であれば、従来家庭内に直収していた光ファイバー等の代替となる可能性は高い。これにより、従来家庭内に通信サービスを提供してきたISPと通信キャリアが競合することになれば、ISPの弱体化を招き、消費者にとって多様な選択肢が失われることになる。ISPによる5G対応MVNO参入等、適切な方策によって、消費者に選択の余地が残されるようにバランスをとる必要がある。

3.ブロックチェーン技術の活用について

インターネットを使ったコンテンツ配信サービスは、少数の海外大手プラットフォームによる寡占化が進みつつある。

他方で現在の集中配信型ではない、ブロックチェーン技術を使った分散型コンテンツ配信も模索されるようになっているところである。P2P技術先進国である日本としては、分散型コンテンツ配信の研究および実用化に注力すべきである。ブロックチェーン技術は誰がどのような形で配信を行っても、著作権者に正しく報酬が支払われる仕組みは、同時に海賊版対策となり得る可能性もあり、平行してこれらの研究も行うべきである。加えてこれに関する法整備として、音楽以外の著作物、動画クリップや漫画、テキスト等の報酬請求権化を進めておく必要がある。

4.家庭内LANと5G技術の関連性の整理

5G普及後の未来像について、家庭内のIoT機器が5Gと直結するイメージが描かれることも多い。一方で現在4Gのキャリア契約は、電話番号に紐付けされているが、家庭内の多くの機器が5G接続するにあたり、どのような契約形態になりうるのかが不明である。現在のMVNO等のように、機器ごとに個別契約になるということは考えにくく、何らかの親契約からホームルーターのようなものを介して繋がっていくのか、それとも包括契約を行って機器が直接5Gで接続するのか、そのときに生じる課題等について検討しておくべきである。

5.通信の中立性の確保について

現在4Gの契約において、特定のサービスに対して通信量無料といった回線契約が可能になっている。多様な選択肢が利用者にもたらされることは歓迎すべき一方で、情報通信の中立性について、一定の整理をすべきである。

例えば上記のホームルータ方式を想定した場合、キャリアとISPの過激な競争の結果、無償提供の代わりにユーザーの契約の自由を縛る、あるいは特定のサービスにのみ通信帯域を割いて、それ以外のサービスは低速であるといった傾斜配分が行われることは、通信インフラとしての中立性が確保されていないと考えられる。加えて接続機器を差別的に扱い、選択の幅を不当に狭める、ひいては通信の秘密の侵害、同一性保持の障害となるような形は、消費者にとって望ましい姿とは言えない。

一方でモバイルにおいては、5Gの普及により、現在固定回線を前提とした多くのサービスが広域でモバイル化することは想像に難くない。そしてそのサービスの対価を誰がどのような形で支払い得るのかは、様々な方法が考えられる。必ずしも消費者が通貨によって支払うものとは限らず、サービス事業者やプラットフォーマーが自社の広告宣伝や自社サービスへの優先的接続等を目的として提供する可能性もある。

この場合、誰がどのようにしてネットワークの中立性や通信の秘密、あるいは公平性を担保しうるのか。市場全体において、特定のサービスが不当に排除されていないかなど、俯瞰的な評価が必要である。またユーザーのプライバシー権確保も含め、サービスの選択はユーザーがコントロールできるであるものであるべきと考える。

6.5Gのブラックボックス化と知る権利のバランス

セキュリティ保護のために、5Gに関わる多くの技術がブラックボックス化することには一定の理解を示すところではあるが、一方で消費者の立場で研究者や専門家までもがその中身を知ることができなくなる点については、懸念を感じる。暗号解除や解読の禁止等、一律的な法規制は避ける必要がある。

7.カメラの広角化に伴う写り込み問題の拡大と情報化のバランス

スマートフォンのカメラの広角化、あるいは360°カメラの一般化に伴い、特定の被写体以外のものが広範囲に写り込む可能性が拡大しつつある。特にこうした画像は頻繁にネットにアップロードされており、プライバシー権の侵害となり得る。

他方で360°カメラは、広範囲で撮影しておき、必要な部分を切り出してシェアするといった方法が主流になるものと考えられる。この場合、周囲に写り込んだ情報は無駄となるが、これをプライバシーに配慮しつつビッグデータに吸い上げていくというモデルも考えられるところである。

あるいは自動運転システムに搭載されたカメラ映像は、運転情報以外の利活用も考えられるところである。こうした意図しない撮影映像の利活用について、産業育成と消費者保護のバランスに配慮したガイドライン策定が望まれる。

以上

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