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プレスリリース

総務省「アクセス抑止方策に係る検討の論点」に対する意見募集に意見を提出しました

MIAUは、2019年5月14日(火)締切の「アクセス抑止方策に係る検討の論点」に対する意見募集」に意見を提出しました。

内容は以下の通りです。


平成31年5月14日

一般社団法人インターネットユーザー協会

「アクセス抑止方策に係る検討の論点」に対する意見

論点1について

関係者にはコンテンツホルダーやISP、学識経験者だけでなく、ユーザーを含むべきで、インターネットガバナンスに関する議論はマルチステークホルダーシステムで実施されるべきだ。

論点2について

インターネットは自律分散協調により維持されてきたシステムであることに加え、そのネットワークをシンプルに保つため、通信の操作はその終端で行う「エンドツーエンド原則」によって成り立っている。あるべきネットワークの姿をこの議論で取り上げるのであれば、エンドツーエンド原則も合わせて考慮すべきである。そしてネットワークレベルで警告画面を出す「アクセス警告方式」はエンドツーエンド原則に反する。

論点5について

アクセス警告方式の実施の前提についてより議論することが必要だ。アクセス警告方式については既に多くの法律的、技術的な批判に晒されたウェブサイトブロッキングの議論を前提とすべきだ。なぜなら、アクセス警告方式はサイトへのアクセスが可能かどうかという点においてサイトブロッキングとは表面上異なるものの、技術的には第三者が通信の中身を確認する点でサイトブロッキングと全く同様に通信の秘密を侵す行為であるからだ。通信の秘密が保障するのは秘密そのものであり、アクセスの保障はその附随的効果に過ぎないため、前提としてサイトブロッキングの議論において表出した種々の問題点をそのまま引き継ぐものと考える。

次にユーザによる海賊版コンテンツのダウンロード行為が違法か違法でないかによって、違いがあるかについて、まず違法でないコンテンツについてはアクセス警告方式で通信の秘密を侵す理由がない。一方、違法なコンテンツについてはアクセス警告方式で通信の秘密を侵す理由があるとする考えも想定され得るが、そもそも違法か違法でないかは通信の秘密を侵さずに判断することができないため、違法ではないコンテンツに対する通信の秘密を侵さずこれをすることはできないため、同じ理由によりすべきではない。

なお、昨今問題とされるユースケースのほとんどはダウンロード行為が伴われないため、目的効果の観点からダウンロード行為が違法か違法でないかをアクセス警告方式の実施の前提の論点の俎上に載せることは不適切であり、アクセス警告方式の実施の前提として論点にあげることは必要ない。

論点6について

当然だがアクセス警告方式を導入することによるデメリットや逆効果も合わせて検討すべきである。すでに意見としてあがっている通信の秘密や検閲など人権侵害に関する懸念はもちろん、アクセス警告方式は「このサイトには警告が出てこないから合法サイトである」というミスリードを生み、さらに混乱を招く可能性があることも無視できない。アクセス警告方式はユーザーの著作権意識の低下に資することも考えられる。

論点7について

電気通信事業法以前に、基本的人権として検閲の禁止と通信の秘密の保護が憲法で明確に定められている。憲法で定められている基本的人権を、仮にユーザーの同意があるからといって侵害することはそもそも認められない。さらに利用規約によって包括的にオプトインさせることなどは言語道断だ。アクセス警告方式の議論は基本的人権の侵害を前提としていることに自覚的であるべきだ。アクセス警告方式の議論は我が国のネット社会が監視に向かうのか、あるいは自由なネット社会を目指すのかという議論の最たるものである。

論点8について

論点8の柱書にある通り技術専門家の意見を聴取する等により、技術的な課題や実現可能性を明らかにする必要がある。またその検討の過程においては現時点での技術だけでなく、IETFなどで議論されている今後のロードマップなども十分に参照されるべきである。

論点9について

アクセス警告方式の導入や実施のためのコストはISPとコンテンツホルダーのどちらが負担するか、あるいは税金から支出すべきかという議論になりがちだが、どれであっても最終的にはそのコストは回線使用料やコンテンツ価格、あるいは税金として上乗せされることとなる。つまりアクセス警告方式のコストを最終的に負担するのは国民である。

論点12について

アクセス警告方式の導入に関する議論ではオプトアウトの原則が挙げられているが、現状でもスマートフォンには消費者の同意のもとでフィルタリングをかけることができ、必要なくなれば外すことができる環境が整備されている。「どのようなサイトをフィルタリングするか」という点についてはEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)による認定が終了している今、客観性をどのように持たせるかについて議論せねばならないが、ユーザーによるオプトアウトが確保されており、エンドツーエンド原則に則った解決策のひとつだと考える。

以上

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