『「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に対する意見』を提出しました。

MIAUは、内閣官房IT総合戦略室に『「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に対する意見』を提出しました。

内容は以下の通りです。

2014年7月24日

「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に対する意見

一般社団法人 インターネットユーザー協会(MIAU)

注:本意見における「消費者委員会の意見」とは平成 26 年7月 15 日に内閣府消費者委員会が発表した『「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に関する意見 』(http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2014/166/doc/20140715_iken.pdf)を指す。

1. 「個人が特定される可能性を低減したデータ」(p.7-8, p.10)について

意見:制度設計にあたっては、加工方法について、どのような事業であっても、個人の権利利益の侵害のおそれが極力少なくなるよう個人情報保護法のなかで担保されるようにすべき。そのため、加工方法の自主規制ルールの認定にあたっては、プライバシー影響評価を義務づけるべき。その上で、認定自主規制ルールに基づく低減加工のデータの第三者提供・目的外利用のみを、本人同意を得ずに認めるとするべき。また、この項目に関する消費者委員会の意見に全面的に賛同する。

理由:パーソナルデータに関する検討会では、技術検討ワーキンググループを中心として、個人が特定される可能性を低減したデータへの加工法を一般には定めないことが明らかにされ、その結果として一律に定めないことになったと承知している。しかし今後の法制度変更の具体化のプロセスにおいては、技術検討ワーキンググループの問題意識が引き継がれるかは明確となっていない。個人が特定される可能性の低減は、事業者にとってはプラスとなる要素は少ないと考えられるため、自主規制ルールが特定可能性を低減せず、再識別禁止に頼るような緩いものへと流れる危険性が高いと考えられる。パーソナルデータの多様性を考慮すると、加工方法の適正性の担保は透明性では足りず、プライバシー影響評価も必要であろう。プライバシー影響評価の中で、再識別の技術的な困難度も明らかにされると考えられる。

2. 基本的な制度の枠組みとこれを補完する民間の自主的な取組の活用(p.10)について

意見:保護の対象となるパーソナルデータの範囲の明確化について、「個人の身体的特性に関するもの等」以外についても、広く進めるべき。

理由: 消費者委員会の意見に同じ。

3.「個人情報の取扱いに関する見直し」(p.11)について

意見:大綱に明示はないが、未成年者の本人同意の問題について、今後検討を深めていくべきであると考える。

理由:パーソナルデータの利活用にあたっては、本人の権利利益の保護のため、本人同意が重要であり、大綱における利活用の促進にあたっても、その基本は変更されていないと理解している。ただ、未成年者には、本来、民法5条で法律行為が制限されており、さらに法定代理人の同意が必要なはずである。しかしながら、個人情報保護の枠組では、自主規制のJIS Q 15001 に基づいて、12〜16歳程度以下の児童について保護者同意を利用者に求める程度のことしか行われていない場合が多い。個人情報やパーソナルデータにもさまざまな程度のものがあることから、全ての場合について民法5条を厳格に適用することは現実的ではないが、個人情報の種類や利用目的に関わらず、一定の年齢に満たない子どもでは本人同意の能力を欠くと判断すべき場合はある。いくつかの種類の「オプトアウト」についても、本人同意の能力が十分でない場合に、オプトアウトによって本人同意とみなすことは、かえって事業者側にもリスクを生み、利活用の壁となると考えられる。

従って、未成年者の個人データの本人同意や保護者同意のあり方について、一定の規律を示すべく、今後検討を深めていくことが必要である。ひとつの方向性としては、米国の Children's Online Privacy Protection Act と同様なものがありうるが、必ずしもそれにこだわるわけではない。

4. 「利用目的の変更」(p.11)について

意見:利用目的の変更については、新旧対照表や変更点のポイントなどを用いて、変更点を消費者に明確に伝えるような規律を整備すべき。

理由:長文の分かりにくい個人情報保護方針の新版のみを提示する事業者が少なくないが、それらは消費者の真摯な同意をとろうとしているとは思われない。消費者が事業者の態度を好感し信頼することで利用しやすくなることこそが、産業振興には重要である。

4-2. 「利用目的の変更」(p.11)について

意見:利用目的の変更について、少なくとも本質的な追加部分については新たな明示的同意を原則とすべきである。

理由:大綱案への全国地域婦人団体連絡協議会の意見(2014年6月16日)にもあるように、既に目的外利用の潜脱事例が現れている。騙し討ち的なオプトアウトによる、サービスのコンテキストに沿わない顕著な第三者提供を許容することは、個人の権利利益を損ね、また消費者がサービス利用を控えることにもつながる。これは産業振興の面でもマイナスとなる。ただし、利用目的の変更について、その一部削除や些細な修正については同意の取り直しは不要とするような弾力性は認めてもよい。

5. 「第三者提供におけるオプトアウト規定」(p.12)について

意見:第三者提供におけるオプトアウト規定を利用できる事業者について、法で定める特定の種類の事業者、及び第三者機関の認定する事業者に限定するべき。

理由:オプトアウト規定は、いわゆる名簿屋により濫用され問題となっているところであり、原則として認めないことが望ましいが、オプトアウト規定を利用する第三者提供、あるいは本人の事前同意のない第三者提供が社会的に正当な事業も存在しうると考えられるところではある。そこで、それらの例外については認めた上で、他の場合は事前同意のない第三者提供を認めないとするのが適切であると考える。

5-2. 「第三者提供におけるオプトアウト規定」(p.12)について

意見:第三者機関への届け出を、オプトアウト規定による第三者提供を行っている事業者のみではなく、提供を受ける事業者にも課すべき。また、届出事項には、第三者提供を行っている事業者については提供先、提供を受ける事業者には提供元を加えるべき。

理由:オプトアウト規定は、いわゆる名簿屋により濫用され問題となっているところであり、 その利用を極力抑制するような、ごく限られた場合にのみ適用されるような例外規定となる制度設計が必要と考える。そのためには、名簿屋の把握のみでは足りず、その名簿の利用者も把握する必要がある。また、不正な名簿が出回った場合の対策のひとつとして、名簿の取引ルートの把握は必須と考える。既に述べた事業者の限定を行う場合でも、提供を受ける事業者と事業者間の関係の把握は必要と考える。

5-3. 「第三者提供におけるオプトアウト規定」(p.12)について

意見:第三者提供におけるオプトアウトは、個別の事業者に対して求めるものだけではなく、一カ所に届け出るだけでオプトアウト第三者提供に対して原則有効となる一括オプトアウトの制度を検討すべき。

理由:現状、名簿屋間の取引で名簿個人情報は拡散しており、個人が特定名簿に由来する自身の個人情報について、オプトアウトを完全に求めることはほぼ不可能である。一括オプトアウトは、名簿屋間での名簿の拡散によってオプトアウトが現実的に不可能となっている現状への打開策である。また、一括オプトアウトを多くの個人が申請することにより、名簿屋の取引対象とする名簿の価値自体を低減させ、名簿屋ビジネスを抑制していく効果も長期的には期待できる。名簿屋以外の正当な事業において一括オプトアウトに適さないもの(例えば信用情報機関の信用情報など)は、事業者や業種の単位で第三者機関が認定して、あるいは法の例外として除外することにすればよい。一括オプトアウトのための機関は、第三者機関そのものである必要はなく、認可法人や特殊会社などの形態もありうるだろう。あるいは、第三者機関が認定する複数の民間組織が一括オプトアウトを個人に代わって行うといった立て付けもありうる。

6. 「民間主導による自主規制ルール策定・遵守の枠組みの創設 」(p.12-13)について

意見:消費者委員会の意見に同じ。

理由:消費者委員会の意見に同じ。

7. 「第三者機関の体制整備 」(p.13-15)について

意見:消費者委員会の意見に同じ。

理由:消費者委員会の意見に同じ。

8. 「行政機関、独立行政法人等、地方公共団体及び事業者間のルールの整合性 」(p.15)について

意見:個人情報及びプライバシーの保護という観点からは、地方公共団体について、各地方公共団体に独自の個人情報保護条例がある現状に代えて、地方公共団体個人情報保護法を設け、各地方公共団体においては施行条例を設けるといった形に改めることを検討するべき。なお、行政機関、独立行政法人等については、総務省「行政機関等が保有するパーソナルデータに関する研究会」などにて必要な検討がすすめられるものと理解している。

理由:現在、地方公共団体においても「ビッグデータ」のかけ声でパーソナルデータを利活用する事業が積極的に行われているが、大綱では国から地方公共団体に対しては情報提供を行うとするに留まっていて、規律のループホールとなる懸念がある。

例えば、佐賀県武雄市では、武雄市図書館のカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下CCC)による指定管理について、図書館利用者の自動貸出機利用に際して行われるTポイント(CCCのポイントプログラムの名称)の付与について、図書館システムがCCCに送信するのは「T会員番号、利用年月日、利用時刻、ポイント数」のみであり氏名等を含まないので個人情報に該当しないとしている(武雄市教育委員会臨時会[H24.7.10]会議録、及び武雄市平成25年3月定例会の石丸定市議一般質問に対する古賀教育部長答弁)。しかし、T会員番号はCCCにおいては会員データベースと照合して容易に特定の個人を識別することができる。武雄市の認識は容易照合性を個人情報の定義に含んでいない武雄市個人情報保護条例に基づけば整合している可能性はある。が、現行個人情報保護法、さらに本大綱が目指す規律の中にあっては個人情報として保護すべき範囲が狭すぎる方向で一致していないのは問題である。また、武雄市図書館では、図書館の利用者証を利用者登録時にTポイントカードと非Tポイントカードを選択させることで、図書貸出時のデータ送信について包括同意としているが、1979年以降、日本図書館協会「図書館の自由に関する宣言」に基づき、ほとんどの図書館では図書館の利用事実を利用者のプライバシーとして固く保護してきたことで慣習的に形成された規律を考慮すると、「個人情報ではない」という判断で個別同意を行っていないのは問題である。

しかし、地方公共団体の個人情報保護条例における個人情報保護の定義が、個人情報保護法とも行政機関個人情報保護法とも整合しない場合があり、また保護の水準が民間と行政機関のいずれにも劣る内容となる場合があるのは、必ずしも全てが個別の地方公共団体の問題ともいえない。これまで、法律による規律を行わず、各地方公共団体に独自の個人情報保護条例を設けるよう求めてきたことの結果である。国が法律で最低限の規律を定めてこそ、全国で一定水準以上の個人の権利利益が保護され、パーソナルデータの利活用につながると考えられる。

8-2. 「行政機関、独立行政法人等、地方公共団体及び事業者間のルールの整合性 」(p.15)について

意見:地方公共団体個人情報保護法を設ける前提で、第三者機関が地方公共団体に対し助言・勧告等を行う権限・権能を持たせるべき。

理由:現在、ビッグデータの活用に少なくない地方自治体が取り組み始めているが、中には、千葉市のように「クローズド(開示不可)×ビッグ(データ量大)」の領域に重点のひとつを置く自治体がある。千葉市では、この領域は住民の個人情報が中心であり多くはセンシティブな性質のものであるため、そのままでは外部に出せるものではないことは認識し、自治体自らが主体となって、将来的な財政負担を抑制する「課題抑制型事業」に用いるとしている。しかしながら、一般論としては、自治体から外部への提供がない場合でも、ビッグデータ事業それ自体がプロファイリング(大綱16ページ)の側面をもつことから、個人の権利利益の侵害につながる危険性はある。また、そのままでは外部提供できない情報を個人特定可能性を低減する加工(大綱10ページ)を行って外部提供などを行う場合の課題は、民間と変わらない。

自治体の事業では、その事業の公益性を考慮する必要はある。しかしそれでもなお、個人の権利利益とのバランスをとる必要がある。また、自治体と係わってパーソナルデータに関係する事業を行う事業者の視点に立っても、独自の条例以外の担保のないパーソナルデータや、個人特定可能性低減データとされるものを自治体から取得するのはリスクがあり、かえって利活用の壁となる。 そして、適切な基準作りには専門的知見が必要とされることから、「国から地方公共団体に対する情報提供」から踏み込んで、第三者機関に地方公共団体に対する権限を付与することを検討すべきと考える。

9. 「いわゆる名簿屋」(p.17)について

意見: 名簿屋から購入する側の規制として、現行個人情報保護法第17条は不十分と言わざるをえない。第三者からの取得については、提供者(個人情報取扱事業者に限定されない)が適正取得したことを確認する義務、ないし努力義務を設けるべきである。また、不正の手段により取得されたと疑われる個人情報が第三者提供された全ての提供先の個人情報取扱事業者について、第三者機関が利用停止や消去の命令を行うことができるとすべきである。

理由:ベネッセ個人情報漏洩事件で、不正持ち出しを行った容疑者が売却した先の名簿屋や、名簿の最終的な購入先への責任追及が十分に行い得ない状況は明らかである。不正な漏えいの被害者になりうる各個人の権利権益の立場からは、グレーゾーンを狭め、不正な手段によって取得された個人情報によって構成される名簿を購入することが実効的に抑制される必要がある。また、被害が起きた際に、実効的な被害回復が図られる必要がある。

著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2014-07-24 12:58:04

知的財産戦略本部「知的財産推進計画2014」策定に当たっての意見募集に、意見書を提出しました。

MIAUは、政府の知的財産戦略本部「知的財産推進計画2014」の策定に向けた意見募集に、下記の意見書を提出いたしました。

内容は以下の通りです。

2014年5月16日

「知的財産推進計画2014」に対する意見

一般社団法人 インターネットユーザー協会(MIAU)

アーカイブに関するタスクフォース報告書に関して

【要旨】

本報告書においては下記を求める。

現状の課題

  • 著作権の切れた出版物のネット上での速やかな公開
  • 放送番組の権利処理にオプトアウトの導入
  • 政見放送や国会審議などの公的なコンテンツの公開
  • 国が主導する著作権の切れた映像コンテンツのネット公開

利活用促進のために

  • TPPへの慎重な対応
  • フェアユース規定の導入
  • クラウドコンピューティングに対応した著作権制度の整備
  • 使いやすい行政の持つデータのライセンス採用

【全文】

II. アーカイブの現状と課題

1. アーカイブの分野別の状況

(2) 出版物など

著作権の切れた出版物のインターネット上での速やかな公開を

アメリカ議会図書館は、パブリックドメインとなった書籍・映画・音楽等のアーカイブ・オンラインでのデータ配信に熱心である。700万点以上のデジタルデータが用意され、図書のみならず、映画、広告、ラジオ音声など幅広い 資源が用意されている。著作権が切れパブリックドメインとなった著作物は、速やかに全国民が利用しやすい形態で提供し、わが国の文化の向上に資するのが、文化を担う行政機関の責務である。

ひるがえってわが国では著作権の切れた『大正新脩大蔵経』『南伝大蔵経』について、著作権を持たない一般社団法人日本出版者協議会及び大蔵出版株式会社の申し出によって国立国会図書館ウェブサイト上での提供が一時凍結され、『南伝大蔵経』については未だ提供されないままとなっている。『南伝大蔵経』についてもすみやかに国立国会図書館ウェブサイト上での公開を行い、また今後このような不必要な配慮を行わないよう知的財産推進計画に明記することを求める。

(3)放送番組

アーカイブされた放送番組の権利処理にオプトアウトの考え方を

放送番組のアーカイブ化およびその一般利用は、2003年のNHKアーカイブス設立をきっかけに本格的にスタートした。当時から実践されてきた権利処理のモデルは非常に厳格なものであるが、これが後々他の事業者の権利処理のモデルとなった。だがNHK基準の厳格な権利処理にかかるコストでは民間事業は成り立たず、事実上の参入障壁となっている。

権利処理のうち、膨大な人件費がかかっているのは肖像権の処理であり、特にタレントなど契約によって出演契約が行なわれた者ではない、映像に収められた一般市民の権利許諾が大きな負担となっている。

わが国においては、肖像権は明文化された権利ではなく、判例によって一部パブリシティ権などが認められた例があるに過ぎないが、一般市民の間では過剰に権利を拡大して解釈する傾向が強まっているのも事実である。

このようなバランスを考慮し、収蔵された放送番組の利活用においては、研究および教育利用に限定した上で、オプトアウトで始めたらどうか。その課程で人物の特定および権利処理の手がかりが掴める可能性もあり、事業者の権利処理の負担が軽減できる。アーカイブは、蓄積しても利用されなければただの死蔵であり、利用開始が長引けばそれだけ資産価値を減少させ続ける結果となる。放送番組のアーカイブ利活用については、最終的には国民の直接視聴に繋がることを睨みつつも、資料としての価値を優先する形で、現実的な手段を検討すべきである。

政見放送や国会審議などの公的なコンテンツの公開を

インターネットを利用した選挙活動が解禁された今、有権者がインターネットを用いて選挙に関する情報を集められるよう、政見放送をインターネットで見られるような取り組みを進めるべきである。また政見放送や国会審議などの公的なコンテンツ及び災害に関する報道などの公共性・緊急性の高い番組については、通常放送に掛けられているCASを外して放送することを義務化し、国民が利用しやすい環境の整備を進めるべきである。

(4) 映画

国が主導する著作権の切れた映像コンテンツのネット公開を

「ネットを通じた映画の提供については、民間の映像コンテンツの配信サイトから行われている」とあるが、これでは不十分である。わが国には著作権が消尽し、文化的意義が大きいにも関わらず、鑑賞・閲覧の困難な戦前の映像作品が多数存在する。市場性が薄くなり著作権も切れた作品については国が主導して保存・公開する必要性が高いにも関わらず、こうした点についての現状認識・問題意識が乏しいのは大変遺憾である。こうした映像作品について、国家が主導してアーカイブを作成しネット上で公開していくという、アメリカ議会図書館が行っているAmerican Memoryプロジェクトに倣った行動を早急に実践していく必要があろう。

III. アーカイブの利活用の促進のために

1. アーカイブの利活用の促進に係る取り組み

(2) 利用者の活動をしやすくすること

[1] TPP(環太平洋経済連携協定)の知的財産分野への慎重な対応を

現在協議が進んでいるTPPの知的財産分野はわが国の知的財産戦略を考える上ではTPP交渉は大きなかなめであり、結果によっては本報告書で提言されている積極的な取り組みもTPPによって実現不可能となる可能性が十分にある。このような国際協定が国民、しいては国会議員ですらアクセスできない秘密下で議論されていることは大変遺憾である。知財戦略としてTPP交渉の公開、及びこれまでの交渉の情報公開を求めるよう報告書に明記し、開かれた知財戦略の議論を進めるべき。

TPPの知的財産分野で議論されているとされる論点のうち、特にアーカイブの利活用という観点からは特に下記の論点が懸念される。ただしTPPの知的財産分野で懸念される論点は下記のみではない。必要であれば当協会がTPP政府対策本部に提出した意見書(http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/dantaiiken/001.pdf)を参照されたい。

・著作権保護期間延長

孤児作品(Orphan Works)の保存と活用に関しては本報告書内でも問題として提起されている。著作権保護期間の延長はこの孤児作品を増やす最も大きな要因である。

著作権の保護期間が早く終われば、その著作物を用いて二次的著作物を制作したり、その作品を上演したりする際の許諾や著作権使用料が不要となるため、二次的著作物の制作や作品の上演が大きく加速される。結果として近代や現代の作品を演奏・上演する楽団や劇団などが増加し、著作物の漫画化やノベライズ、パロディといった新たな創作物の出現が活性化される。

現代の著作物においては非常の多くの人がその制作に関わっており、制作に関わった関係者にも著作隣接権が付与される。その著作物を保存・活用しようとした場合、著作隣接権者を含めたすべての著作者に許諾を取る必要があるが、数年前に制作された著作物であっても著作者が不明という理由で許諾を取ることが不可能なケースも発生している。より高い創作性をもった環境を維持するためには、むしろ著作権保護期間は短縮すべきであり、さらには著作権を放棄し、パブリックドメイン化する仕組みも必要である。

さらに著作権が切れた著作物を利用することで、新たなビジネスが生まれている。例えば著作権が切れた書籍のデジタル化を進めている「青空文庫」のデータは数多くの電子書籍端末などに収録されており、日本における電子書籍の普及に役立っている。しかし著作権保護期間の延長によって、このような創造のサイクルが大きな打撃を受け、新たなビジネスチャンスを失うことになる。

・著作権侵害に対する職権による刑事手続(著作権侵害の非親告罪化)

わが国の著作権法においては、著作権侵害における刑事手続は権利者からの申し立てによるもの(親告罪)であるが、TPP交渉においてはこれを職権によって刑事手続を行うことができる(非親告罪)ようにする要求が米国などから提出されているようである。しかしわが国は著作権侵害を非親告罪とすべきではない。

わが国には二次的著作物やパロディに関する法制度が存在せず、司法では二次的著作物やパロディは著作権侵害と判断される。しかし現実には二次的著作物やパロディによる作品が数多く存在しており、今やそれらは日本の文化の一翼を担っている。そしてこのわが国独自の個性豊かな文化は世界に向け発信され、世界の共感を得ている。このような文化が熟成されたのは二次的著作物やパロディについて、その制作者と原著作者との間に信頼関係があり、著作者が黙認していたことに由来する。しかし著作権侵害が非親告罪となれば、このような信頼関係に関わらずあらゆる二次的著作物やパロディが刑事告訴の対象となり、パロディ法制などのないわが国においては「クール・ジャパン」の源泉となる文化が萎縮する結果となり、国益を害する。

また著作権侵害が非親告罪となることで相対的に捜査機関の権力が増大し、これまで見逃されていたような軽微な著作権侵害について著作権侵害を理由に捜査機関が逮捕することができるようになる。またインターネットでダウンロードされたファイルが違法なものかどうかは技術的・外形的に判断できないという根本的な問題もあり、これは別件逮捕などの違法な捜査を助長するおそれがある。

・アクセスコントロール回避規制

2012年10月の著作権法の改正によって、DVDなどにかかっているアクセスコントロール技術を回避することが違法となった。無条件のアクセスコントロール回避規制は、ユーザーによるコンテンツのアーカイブを不可能とし、国民の正当なコンテンツ利活用を妨げる。特にコンテンツの視聴のためであってもオープンソースソフトウェアの利用を制限する現状の制度は、コンテンツ利用促進の観点からも負の影響が大きく、早急に手当が必要である。またコンテンツの批評や引用など、著作権法で認められた用途においても著作物を利用することができない状況を解決する必要がある。

またアクセスコントロール回避規制はわが国のICT技術の発展を不当に妨げ、ひいては日本の家電製品の競争力をも損なっており、それに対する手当は一切なされていない。ユーザーが購入したコンテンツを長く、そしてオープンソースソフトウェアによっても利用できるように規制のあり方を再度検討すべきである。

・電磁的な一時的複製の規制

著作物を一時的に電磁的なかたちで記憶装置に複製する行為についても複製権の対象とし、許諾なく電磁的な一時的複製を行った場合も著作権侵害とするような枠組みの策定が議論されている。しかしわが国は電磁的な一時的複製を著作権侵害とする要求を受けいれるべきではない。また国際的な経済連携協定に電磁的な一時的複製を規制する条項が入ること自体に強硬に反対すべきである。

現代のコンピュータはプログラムとそのプログラムが処理するファイルの一時的な複製をメモリーに自動的に作り続けることで動作する。またインターネットの利用においては、ネットワークから受け取ったデータを先読みしてメモリーにバッファしておくことで大容量のストリーミングコンテンツを快適に利用することができる。また一度見たウェブサイトのデータをハードディスクに一時的に保存しておくことで、高速なウェブサイトのブラウズが可能となり、またトラフィックの軽減につながるため、ネットワーク資源を有効に活用することができる。このように電磁的な一時的複製はコンピューティングを支える基幹の技術であり、電磁的な一時的複製を規制することはIT技術の実際と大きくかけ離れており、全く現実的ではない。

[2] フェアユース規定の導入を

知的財産計画2009においては、権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)を導入するとの方針が決定された。その議論の結果、2013年1月の著作権法の改正によって新たな権利制限規定が導入されたが、これは文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の報告書にまとめられた、いわゆる「3類型」をも網羅できないようなものとなってしまった。これは権利制限の一般規定と呼べるようなものではなく、いくつかの個別規定を増やしただけのものにすぎない。よって知的財産計画2014において、再度権利制限の一般規定の導入の方針を示し、ユーザーのアーカイブされたコンテンツの利用の利便性の向上及び国内産業の活性化を目指すべきである。

[3] クラウドコンピューティングに対応した著作権制度の整備を

クラウドコンピューティングを用いた各種サービスが世界的に飛躍的に広がっている中、日本では「カラオケ法理」等によって直接侵害の範囲が過度に拡張され、先進的なサービスが生まれにくい状況にある。制度の見直しにあたっては直接侵害の範囲を縮小・整理し、メディア変換やフォーマット変換などの公正な利用をセーフハーバーとして著作権侵害としないような制度の設計が必要である。その際に「間接侵害」を創設するということであれば、間接侵害の範囲を過度に広げないようにし、間接侵害の要件を明確かつ具体的に規定することが求められる。

[4] 行政の持つデータのライセンスを利用しやすいものに

また政府や自治体の持っている各種データもアーカイブとして捉え、行政の持つデータの利活用についても知財戦略に盛り込み、知財戦略としてもオープンガバメントを推進していくべきである。例えば、過去に行政機関が発刊した白書や報告書といった、税金で作成され極めて公共性の高い文書にまで著作権の制限がかかり、全文のネット上での公開に支障が発生するような事態は、極めて非民主主義的であり悪しき官僚主義的な矛盾に満ちていると評さざるをえない。「オープンガバメント」の推進に不可欠なオープンデータを進めていくためには、行政の持つビッグデータを国民が利用しやすいライセンスと形式で公開することが重要である。経済産業省や文化庁が進めているような、行政のデータをパブリックドメインないしクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを用いて公開する取り組みを、国全体として進めていくべきである。

音楽産業の国際展開に関するタスクフォース報告書に関して

【要旨】

本報告書においては下記を求める。

  • サブスクリプションサービスなどの新たな音楽の聴取形態を受け入れる環境整備
  • 著作権に関する国際協定の交渉にもマルチステークホルダーの導入
  • 補償金に頼らない音楽産業と製造・サービス業の協力関係の構築
  • ミュージシャン自身が利用できる柔軟なミュージックファンド

【全文】

第2章 わが国の音楽産業を取り巻く環境

サブスクリプションサービスなどの新たな音楽の聴取形態を受け入れる環境整備

消費者の音楽の聴取形態として、従来のCDやネット配信によるコンテンツの購入に加えて、サブスクリプションサービスを用いるものが増えてきている。日本においてもレコチョクBestやKKBox、Music Unlimitedなどがサービスインしたが、未だ海外の作品を中心とした配信で、日本初の音楽はまだまだカタログが少ない。また世界的にサービスを開始しているSportifyやPandoraは日本では現在利用できない。さらに先日日本でサービスインしたiTunes Matchはサービス開始の発表から2年半遅れのスタートであるし、Google Musicは未だ日本では利用できない。このような新たな音楽の聴取形態に合わせたサービスで日本の音楽を利用できるようにすることは、日本の消費者の利便性を高めるにとどまらず、日本の音楽を世界に広めるための重要な施策のひとつである。海外の消費者が違法ダウンロードに頼ることなくわが国のコンテンツを楽しめるよう、サブスクリプションサービスなどの新たな音楽の聴取形態に速やかに対応することを知的財産推進計画に明記することを求める。

第3章 音楽産業の国際展開の現状と課題

(6)海外での権利保護システムの改善と海賊版対策

著作権に関する国際協定の交渉にもマルチステークホルダーの導入を

「相手国政府との二国間協議などを通じて、著作権保護の枠組作りを進めていくことが求められる」とあるが、このような国際交渉は公開とし、また権利者だけでなく、ユーザーもステークホルダーとして交渉の場に臨む形を目指すべきである。このようなマルチステークホルダーの考え方はインターネットガバナンスを考える上で主流の考え方となってきている。

(7)「面」を「立体」にー日本ブランド構築によって関連産業の輸出拡大へ

補償金に頼らない音楽産業と製造・サービス業の協力関係の構築を

「わが国製造・サービス業などが自発的にコンテンツの国際展開へ向けた資金的支援に乗り出していくことが望まれる」とあるが、これがクリエイターへの対価還元としての新たな補償金制度の創設を求めるものとならないようにすべきである。

そもそも私的録音録画補償金制度は、あくまでも複製による損失の補償を目的とした制度であり、そもそもクリエイターに対する環境の整備という役割は小さい。強力なDRMやダビング10によってデータの複製が制限されている以上、複製による損失はなく、デジタルチューナーのみを持つレコーダーに対する私的録画補償金については、その根拠がないことが司法によって示された。よって現状のコピーコントロール・アクセスコントロールが続けられる以上、クリエイターに対する環境整備と称して私的録音録画補償金の対象機器を広げることで、制度の拡張を進めることは誤りである。

私的録音録画補償金をクリエイターに向けた環境整備の一環として位置づけるのであれば、現状のコピーコントロール・アクセスコントロールの撤廃や改善、フェアユースの導入など、ユーザーがコンテンツを利用しやすい制度構築も同時に行うべきである。また文化予算の増額や、コンテンツの鑑賞に国が一定額の補助を出す「芸術保険制度」の導入、コンテンツに関わる人や団体に寄付をすることで控除を受けることができるような寄付税制の推進など、ユーザーとクリエイターの両方が利益を得られるような制度の構築も考えるべきである。

第4章 音楽産業の国際展開に向けて政府・業界が取り組むべき課題

ミュージシャン自身が利用できる柔軟なミュージックファンドを

本報告書31ページの参考資料内に英国のクリエイティブ産業支援策が紹介されているが、ここに記載のないものとして英国のMusic Fundがある。これはミュージシャンに対して海外ツアーやプロモーション、そして世界最大級の音楽見本市 SXSW(http://sxsw.com/)やMidem(http://www.midem.com/)などへの出展の費用を一定の審査のもとで総額の70%まで補助するものである。業界団体や法人だけではなく、ミュージシャン自身が自らのコンテンツを海外でアピールできるようなミュージックファンドの創設を政府のクリエイティブ産業支援策として求める。

「知的財産推進計画2014」全体に関して

【要旨】

安心して電子書籍などのデジタルコンテンツを購入できる環境作りを推進すべき。TPPには慎重に対応せよ。ACTAの推進は時代錯誤。著作権を報酬請求権化すべき。著作権がイノベーションを阻害しないような環境整備を求める。知財戦略の議論にはコンテンツの利活用に明るい利用者の代表を加えるべき。違法ダウンロード刑事罰化、リーチサイト規制には反対。災害時の放送のインターネットサイマルを可能とする法整備を求める。

【全文】

安心して電子書籍などのデジタルコンテンツを購入できる環境作りについて

電子書籍に関する環境整備は出版社については進んだが、消費者の保護に関する取り組みは進んでいない。特に電子書籍の再ダウンロード権が5年に制限されていたり、またエルパカBOOKSやJMangaなどのように、事業者の撤退によって購入した電子書籍が読めなくなってしまったりという事態が一度ならず発生している。これでは消費者は安心して電子書籍を購入できない。消費者が安心して電子書籍などのデジタルコンテンツを購入できる環境の整備が求められる。もっとも消費者の利益が高い状態はDRMの排除であるが、Amazon MP3など既に実現し軌道に乗っているサービスがあることを鑑みれば、DRM無しの事業化も不可能とは考えられない。業界のビジネスモデルの稚拙さや経営の失態を消費者に尻拭いさせることがないような施策を知的財産本部としても進めてほしい。

また当協会が「知的財産推進計画2013」の策定に向けた意見募集に際して提出した下記の意見を2014年度においても引き続き求める。

知的財産に関する国際条約・協定について

■TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について

本意見募集に対して「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」(thinkTPPIP)が提出した意見に当協会は全面的に賛成する。知財戦略が国際条約の中で議論をされるようになった現代においては、日本政府として確固たる戦略を持ち、知的財産を他の分野のバーターとすることのないように交渉を進めるべきである。またその交渉については十分な情報公開を各国に提案するとともに、充実した交渉のためにも国民との課題共有を進めるように求める。

■ACTA(模倣品海賊版拡散防止条約)について

知財戦略としての「模倣品・海賊版の拡散防止」という方向性には賛同する。しかしACTAはその目的から大きく逸脱したものであり、国内外から批難を浴びた。特に「HELLO DEMOCRACY GOODBYE ACTA」のスローガンのもとに、ACTAが欧州議会において大差で否決されたことを政府は厳しく認識すべきである。ユーザーの知へのアクセスを阻害し、また不透明なプロセスで批准が進められたACTAの発効の推進は、日本から見ても、そして交渉参加国から見ても知的財産戦略としては誤りで、知財計画に掲載すべきものではない。

知的財産に関する基本的な視点

■著作権について

わが国では、著作権の許諾権としての性格が強く意識されすぎている。著作権者に強力な許諾権があることは、企業がコンテンツを活かした新規事業に乗り出す上で不透明な「著作権リスク」をもたらし、企業活動を萎縮させる一方、ユーザーのコンテンツ利活用における利便性も損ねている。かつ、学界では、強力な許諾権があるからといって必ずしも著作権者に代価がもたらされるわけではないとする研究が有力である。このように、現状の許諾権としての著作権は、ユーザーの利便性と産業の発展を無意味に阻害していると言わざるを得ない。そこで、より高度なコンテンツ活用を目指すべく、著作権を報酬請求権として扱うようにシフトしていくべきであろう。

近年はICT技術やインターネットの普及に伴い、ユーザー=クリエイターという関係が強く見られるようになった。ユーザーのコンテンツ利活用における利便性を高めることは、新たに多様なコンテンツを生み出すこととなり、結果的にコンテンツホルダーにとっても利益になる。ひいては経済活動の活性化をもたらし、日本経済にも貢献することになる。 なお、ハーバード大学では著作権の報酬請求権化についての研究が進んでおり、参考になる。日本でも、例えば著作権法上のレベルでは許諾権のままでも、産業界の自主的な取り組みとして、合理的な範囲で報酬請求権として運用することが可能である。産業界にイノベーションをもたらし、経済を拡大するために、政府は報酬請求権としての可能性の啓発に取り組むべきである。

■「プロライツ」から「プロイノベーション」へ

今後の経済政策としてふさわしいのは、権利を囲い込み、墨守するだけの「プロライツ」ではない。権利を活かしてリターンを最大化する「プロイノベーション」の形を目指すべきである。安直なプロライツ(プロパテント・プロコピーライト)は結果としてイノベーションや競争を阻害し、ひいてはユーザーの利便性が向上する機会を損なう。ゆえに、コンテンツ産業戦略全般において、プロイノベーションという方針を明記し、それに従った具体策を策定すべきである。これからの時代のコンテンツの利用や創作は、それを鑑賞するための技術イノベーションと不可分である。ユーザーの利便性を高めてコンテンツを活用していくためには、技術のイノベーションを阻害しないことに最大限留意すべきである。

■政策立案プロセスへのユーザー代表の参加

知財戦略としての政策目的を促進するためには、公的な議論にユーザー代表が参加する必要がある。業界内やコンテンツホルダーとの間の短期的な利害対立に対する政府の調整能力は、既に限界にきている。一方、ICT産業やコンテンツ産業の一部においては、ユーザーの利便性への要求が産業を成長させてきた。特に近年では、ユーザー生成メディアが莫大な利益を生み、あらゆるコンシューマビジネスがこれを取り入れつつあることは周知のとおりである。このようにユーザーの利便性を高めることが産業界のイノベーションを産み、コンテンツの利用の拡大をもたらすことに鑑みれば、技術やコンテンツの利用態様に明るいユーザーの代表が知財政策で強く発言していくべきである。

その他タスクフォースで議論されていない論点について

■違法ダウンロード刑事罰化について

2012年10月の著作権法の改正によって、インターネット上に違法にアップロードされた音楽や映像を、そのファイルが違法であると知りながらダウンロードする行為について刑事罰が科せられる(いわゆる違法ダウンロード刑事罰化)こととなった。本改正の付則として定められた事業者による教育・啓発活動の義務規定や違法ダウンロード防止への努力規定による取り組みが進められているとはいうものの、これは「インターネットでダウンロードされたファイルが違法なものかどうかは技術的・外形的に判断できない」という根本的な問題をクリアできるものではない。

また本法改正は文化審議会での議論を経たものではなく、音楽事業者や映像事業者を中心としたロビイングによって進められた。国会による議論もほぼなく、一方的に議員立法によって進められたこの改正のプロセスは大きな問題を抱えている。このように政府による知財計画や文化審議会での議論を無視し、業界団体のロビイングに唯々諾々と賛同し進めてしまったことは今後の知財戦略を考える上で大きな負の遺産を残した。

違法ダウンロード刑事罰化が本質的に抱える問題、そして政府や審議会の決定を無視したプロセスで利害関係者の一方的な要望が通ってしまった問題から、違法ダウンロードの刑事罰化については白紙撤回し、知財戦略本部や文化審議会における議論を行うべきである。

■リーチサイト規制について

文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で議論されているリーチサイト規制については全面的に反対である。リーチサイトと言っても、その有り様は多種多様であり、リーチサイトへのリンク行為はどうなるのか、リーチサイトのURLがSNSを通じて転送され続けた場合はどうなるのか、また適法な内容を示すサイトを掲載したはずが、後日同じURLのままで違法なファイルの掲載などがされた場合はどうなるのか、といった予見できない状況が数多く発生する。

情報と情報を関連付けるハイパーリンクは情報通信の基幹技術であり、インターネットの利便性はハイパーリンクによってもたらされている。またハイパーリンクはいまやウェブサイトにとどまるものではなく、現在普及過程にある電子書籍にもハイパーリンクは用いられている。リンク行為を規制することは、今後の情報通信技術の発展全体に影響を及ぼすだけでなく、社会に大きな混乱をもたらす。いたずらにリンク行為への規制を拡張するのではなく、違法アップローダーや違法アップロードされたコンテンツへの対処でカバーすべきである。

■テレビのインターネットサイマル放送について

東日本大震災の際に、各テレビ局がニコニコ生放送やUstreamなどの既存のプラットフォームを用いてテレビ放送をインターネットでもサイマル放送した。この取り組みによって在外邦人や海外メディア、そして被災地にもいち早く情報を届けることができた。しかしこのサイマル放送はテレビ局の自発的な取り組みではなく、ユーザーが緊急的に独自に行なった行動をテレビ各局が追認して進められたものである。このような事例を活かすためにも、テレビ局が自発的にインターネットでサイマル放送を行えるような法整備が求められる。特に災害時などの緊急事態には、インターネットサイマル放送を義務化するなど、知財戦略としても災害対策を進めるべきである。

以上
著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2014-05-16 15:59:25

MIAU設立6周年記念イベント「MIAU祭2014」開催のお知らせ

MIAUは2013年10月で設立から6周年を迎えました。そこでこれまでの6年間を振り返りつつ、支援をいただきました皆様に感謝を伝え、さらにこれからのMIAUの活動の方針を考えるイベントを以下の要領で開催いたします。

基調講演には米国よりデジタル時代の自由な言論を守るために活動し、MIAUのロールモデルともなったNPO Electronic Frontier Foundation(EFF、電子フロンティア財団)の国際政策アナリストのMaira Suttonさんをお迎えし、今世界が直面するインターネットの自由に関する諸問題についてご講演をいただきます。その他のセッションでもそれぞれの分野のスペシャリストをお迎えし、議論を進めてまいります。

遠隔地の方や日程が合わない方もニコニコ生放送でライブストリーミングをいたします。どうかお誘い合わせの上、ご参加ください。

イベント詳細

日程
2014年3月15日(土曜日)
会場
国際大学GLOCOM ホール(東京・六本木)
参加費
無料(ただし先着順)
MIAUメルマガ「ネットの羅針盤」購読者の方は優先入場いただけます。

ニコニコ生放送

お申込み

お申し込みは締め切りました

タイムスケジュール・登壇者

※登壇者は現在ご出演が確定している方々です。

※タイムスケジュールは予告なく変更の可能性があります。

■基調講演(13:00〜13:40)

Maira Sutton
Electronic Frontier Foundation (EFF) Global Policy Analyst

■Session 1:インターネットと著作権(14:00〜14:50)

久保田裕
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事
田村善之
北海道大学大学院法学研究科教授
田中辰雄
慶應義塾大学経済学部准教授
heatwave_p2p
ブロガー
津田大介(モデレーター)
MIAU代表理事、ジャーナリスト/メディア・アクティビスト

■Session 2:インターネットとプライバシー(15:10〜16:00)

鈴木正朝
新潟大学法科大学院教授
石井夏生利
筑波大学図書館情報メディア系准教授
高木浩光
産業技術総合研究所セキュアシステム研究部門主任研究員
津田大介(モデレーター)
MIAU代表理事、ジャーナリスト/メディア・アクティビスト

■Session 3:MIAUの今後(16:20〜17:10)

清水亮
株式会社ユビキタスエンターテインメント 代表取締役社長 兼 CEO
小倉秀夫
弁護士
モーリー・ロバートソン
ミュージシャン+ジャーナリスト
ハリス鈴木絵美
Change.org Japan Campaigns Director
小寺信良
MIAU代表理事、文筆家
津田大介(モデレーター)
MIAU代表理事、ジャーナリスト/メディア・アクティビスト

■Session 4:オープンデータ・オープンガバメント(17:30〜18:20)

渡辺智暁
国際大学GLOCOM主幹研究員、コモンスフィア理事
福井健策
弁護士、thinkC世話人
楠正憲
国際大学GLOCOM 客員研究員
庄司昌彦(モデレーター)
MIAU理事、国際大学GLOCOM講師/主任研究員

サプルメントセッション

各セッションの間にMIAUのメンバーよりMIAUの活動や最近のトピックスに関する下記のテーマの報告・解説を行うセッションを行います。

  • ビットコイン(八田真行、ゲスト:楠正憲)
  • リテラシー教育(小寺信良)
  • ネットと政治(現在調整中)
  • 自炊代行訴訟の動向(小寺信良)
著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2014-03-13 01:13:31

東京都知事選に向けた「都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート」実施のお知らせ

一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は2月9日に行われる東京都知事選挙に向けて、出馬する候補者に情報通信政策やネット・アニメ・漫画規制に対するスタンスを問う「都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート」を実施いたしました。

結果は下記サイトで公開しております。
http://miau.jp/miaupub/tokyogov2014/

参考エントリ:東京都知事選に向けた「都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート」実施のお知らせ
http://miau.jp/1390556568.phtml

著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2014-02-02 23:29:23

東京都知事選に向けた「都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート」実施のお知らせ

一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は2月9日(日)に行われる東京都知事選挙に向けて、出馬する候補者に情報通信政策やコンテンツに対する表現規制に対するスタンスを問う「都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート」を実施することをお知らせします。本アンケートの結果は各立候補予定者から回答を受領後、ウェブサイトに掲載いたします。大手メディアでは話題になりにくい論点について、各候補者のスタンスを確認することを目的としております。みなさまの投票の際の参考の一つとなれば幸いです。

アンケートを送付した立候補予定者(都選管発表順、敬称略)

  1. ひめじけんじ(郵送済)
  2. 宇都宮けんじ(FAX送信済)
  3. ドクター・中松(FAX送信済)
  4. 田母神としお(FAX送信済)
  5. 鈴木たつお(FAX送信済)
  6. 中川智晴(FAX送信済)
  7. ますぞえ要一(FAX送信済)
  8. 細川護煕(FAX送信済)
  9. マック赤坂(FAX送信済)
  10. 家入かずま(Facebookで連絡済)
  11. ないとうひさお(郵送済)
  12. 金子博(郵送済)
  13. 五十嵐政一(FAX送信済)
  14. 酒向英一(郵送済)
  15. 松山親憲(郵送済)
  16. 根上隆(郵送済)

公開スケジュール

回答締切:1/31(金)いっぱい

回答公開:2/1(土)

※締切後に回答を受領したものは随時公開してまいります。

都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート

インターネット利用に関する施策について

  1. インターネットには、多くの有益な側面と共に有害な側面もあると考えられます。都民のインターネットの利用に対してはどういった政策を重視する必要があると思いますか? 最も近いものをお選びください。
    1. 情報リテラシー教育を進めて、利用者の問題対処能力を高める。
    2. 事業者による安全・安心のための自主的取り組みを促進させる。
    3. 行政主導の安全・安心対策を促進する。
    4. 選択理由(              )
  2. 青少年が利用するインターネット端末に対する施策について
    現在携帯電話やスマートフォンだけでなく、携帯ゲーム機やテレビ、音楽プレーヤーなど、様々な機器でインターネットのアクセスが可能になっています。これらの機器を青少年が利用するにあたり、どのような施策が必要と考えますか? 最も近いものをお選びください。
    1. 機器メーカーに対してフィルタリング搭載義務などの規制を加えるべきである。
    2. ネットサービス事業者が行なう自主的な取り組みを推進すべきである。
    3. 未成年者への販売に対して機器販売者に何らかの規制を加えるべきである。
    4. 学校教育の一環として、ネットリテラシーに対する教育を行うべきである。
    5. 各家庭へのネットリテラシー教育支援で対応すべきである。
    6. 選択理由(              )
  3. SNSやメッセージアプリケーションを巡るトラブルについて
    携帯電話やインターネットが普及したことで、TwitterやFacebookなどのSNSやLINEなどのメッセージングアプリケーションによるコミュニケーションサービスが新しいライフスタイルや価値を生み出している一方、青少年を中心にトラブルに巻き込まれる事例も増えています。東京都としてどのような施策が必要と考えますか? 最も近いものをお選びください。
    1. 携帯電話やインターネット接続の利用そのものに、新たな制限が必要である。
    2. 幾つかのウェブサイトの利用には、新たな制限が必要である。
    3. 事業者による、新たな啓発活動が必要である。
    4. 学校による、新たな啓発活動が必要である。
    5. 家庭での取り組みを促進するために、新たな啓発活動が必要である。
    6. 選択理由(              )

ゲーム・漫画・アニメ等の規制について

  1. ゲームの規制について
    ゲームには、教育効果が期待される場面もある一方で、青少年に有害な影響を与えており、規制を強化すべきであるという意見があります。東京都としてどのように取り組むことが望ましいと思いますか。最も近いものをお選びください。
    1. 現状は適切な区分が行われているとは言えず、規制強化する必要がある。
    2. ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要である。
    3. 現在の表現区分・販売規制で適切である。
    4. 選択理由(              )
  2. 青少年育成条例での漫画・アニメへの規制について
    平成23年に、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」が改正・施行され、漫画やアニメに対する表現規制が強化されました。この改正の内容や、議論のプロセスは妥当であったと考えますか。また、今後改正するとすれば、表現の自由と青少年保護のバランスは、どのような方向性であるべきと考えますか。
    1. 妥当であった ・ 妥当ではなかった
    2. 理由(              )
    3. 今後(              )
  3. コンテンツに対する規制の主体について
    ゲームや漫画、アニメ等に対する内容・表現の規制は、青少年へ悪影響があるから、一定の規制が必要だという意見がある一方、販売時のゾーニングや業界団体のレーティングが機能しており、国や自治体が立ち入るべきでないという意見があります。この点についてはどうお考えでしょうか? 最も近いものをお選びください。
    1. 国レベル、法律レベルで議論し、強制力のあるしっかりした規制を導入すべきである。
    2. 自治体レベルで、地域の実情にあわせた販売規制を導入すべきである。
    3. 個々の企業や業界団体と連携し、民間の自主的な取り組みを支援するに留めるべきである。
    4. 本来、個人や家庭の問題であり、行政はあくまでこれらのサポートに徹するべきである。
    5. 選択理由(              )

都政におけるICT利活用について

  1. 都民の声を政策に反映させるために、パブリックコメントや都政モニター、ウェブサイトからの「都民の声」募集などといった取り組みが行われていますが、もし不足があるとしたら、どういった新しい施策が必要と考えますか? 最も近いものをお選びください。
    1. パブリックコメント制度の位置付けを明確化し、さらなる拡充を図るべきである。
    2. 審議会の委員構成を公募とする等、都民の声をこまめに政策決定過程に反映させるべきである。
    3. インターネットを使った政策募集、議論の場の提供といった、新たな制度を導入すべきである。
    4. 現行の制度で十分である。
    5. 選択理由(              )
  2. 国会のネット中継や放送のアーカイブなど、ICTと映像を利用した生の情報発信が盛んに行われるようになってきています。東京都では今後、このような取り組みをどのような形で推進すべきだとお考えですか? 最も近いものをお選びください。
    1. ニコニコ動画やUstreamなど、民間のサービスを活用した方策を取り入れたい。
    2. 衆議院TVのような都独自のサイトを作って、生中継やアーカイブ公開を実施したい。
    3. 地上波やケーブルテレビといった既存メディアでの情報発信をより重視したい。
    4. 現状の情報発信で十分である。
    5. 選択理由(              )
  3. 平成23年の東日本大震災では、政府や地方自治体がTwitterアカウントを作成し、積極的に緊急情報を発信しました。自然災害情報に限らず、現在東京都はTwitterやFacebookを用いた情報発信を進めています。今後どのような形で東京都からの情報発信を推進すべきだとお考えですか? 最も近いものをお選びください。
    1. Twitterやfacebookなど、民間のソーシャルメディアを活用した方策を取り入れたい。
    2. 東京都の公式WEBサイトをさらに充実させることで対応したい。
    3. 現状の情報発信で十分である。
    4. 選択理由(              )
  4. 公共情報サービス等を開発するコンテストを開き、民間のアイディアを募って新たな解決手法を探る例があります。国内では横浜市や千葉市、海外ではニューヨーク市などが先駆的な都市として知られています。このような施策を東京都ではどのように取り入れるべきだと思いますか? 最も近いものをお選びください。
    1. 積極的に行政が持つ情報を公開し、民間とのコラボレーションを推進すべきである。
    2. 公開をする前に、行政が持つ情報を自治体自身でもっと積極的に活用することを推進すべきである。
    3. 東京は民間サービスも充実しているため現状で十分であり、行政によるこれ以上積極的な情報提供は必要ない。
    4. 選択理由(              )

ICT政策全般について

  • 上記以外で、東京都として取り組むべきと考えるICTを活用した新しい施策をお考えでしたら、下記にご記載ください。またインターネットユーザーへのメッセージなどございましたら合わせてご記載ください。
    • (自由回答)
    著作者 : 香月 啓佑
    最終更新日 : 2014-01-25 00:08:15

内閣官房TPP政府対策本部に「日本のTPP交渉参加に関する意見」を提出しました

MIAUは、内閣官房TPP政府対策本部に「日本のTPP交渉参加に関する意見」を提出しました。

内容は以下の通りです。

2013年7月17日

日本のTPP交渉参加に関する意見

一般社団法人 インターネットユーザー協会(MIAU)

・該当する交渉分野

知的財産

・意見

【総論】

TPP協定交渉における知的財産分野の除外あるいは交渉項目の縮減を求める

TPP協定の知的財産分野においては内閣官房TPP政府対策本部作成のテキスト「TPP協定交渉について」で公開されている範囲だけでも、著作権の保護期間、著作権侵害の職権による刑事手続、法定損害賠償、インターネットサービスプロバイダの責任制限といった重大な制度改変につながる規定が多数盛り込まれている。これらはわが国の国情にあわないとして過去に異論が強かったものであり、急速に導入すれば日本の文化ならびに関連する産業の活力を損ないかねない。

特に、あまりに多くの知財条項を条約上の義務として受けいれてしまえば、今後、ビジネス情勢や国民の多数意見が変わっても、国会ですらそのルールは変更できない点で影響は深刻である。それでは変化が早く柔軟性が生命線と言える昨今の文化・情報産業において、かえって日本の競争力を削ぐ危険がある。

知財条項については特に各国の対立も根強く、米国が孤立気味との報道(日本経済新聞3月5日)もあるため、日本の交渉方針として、知財条項をTPP協定交渉の対象外とする、もしくは下記規定を中心に対象条項を大幅に縮減することを検討すべきだ。

またいわゆるISDS条項についても、わが国の知財政策に重大な影響を与える可能性があるため、慎重な検討を要望する。

TPP協定における交渉内容の公開および国民に向けた情報アクセスの確保

TPP協定交渉の最大の問題は、TPP協定の対象である21項目24分野のすべてにおいてわが国の今後の政策に重大な影響を与えるにも関わらず、ルールが国際的な秘密交渉で一部の関係者によって決められ、かつ、条約上の義務として長期固定されることである。つまり膨大な交渉項目について一部の関係者だけが「国益は何か」を判断して取捨選択することとなり、国民には実質的な検討の機会が与えられない。国民に与えられるのは批准に向けた国会審議だけであり、そこでは政府が交渉済みの条文パッケージを提示するだけである。これでは、民主的なかたちで国益をふまえたTPPの交渉を行うことは不可能だ。特に知的財産分野は今や国民が等しく当事者となるものであり、そのためしばしば激しい論争を招く。しかし、そうであればこそ、オープンな徹底した議論からルールを築き上げるほかに道はない。

TPP協定においては知的財産分野に限らず、多くの分野でさまざまな立場の人々が賛否を問わず意見を表明している。しかしTPP協定に対する立場にかかわらず、多くの国民およびステークホルダーが希望していることはTPP協定交渉の透明化である。TPP協定交渉の厳格な秘密協議性には交渉各国においても懸念が強く、米国でも多くの議員が情報アクセスを求める公開書簡をオバマ大統領に送付するなど異論が高まっている。

当協会はTPP協定交渉の全面公開を強く求める。またステークホルダーに限らない、広く国民に向けたTPP協定の説明と意見募集の機会を設け、広い層の利害関係者からの多様な意見聴取を行うべきである。特に知的財産分野については権利者や権利者団体だけではなく、産業界、技術やコンテンツの利用態様に明るいユーザーの代表からの意見聴取を行うべきである。ICT産業やコンテンツ産業の一部においては、ユーザーの利便性への要求が産業を成長させてきた。特に近年では、ユーザー生成メディアが莫大な利益を生み、あらゆるコンシューマビジネスがこれを取り入れつつあることは周知のとおりである。このようにユーザーの利便性を高めることは産業界のイノベーションを産み、コンテンツの利用の拡大をもたらす。もしTPP協定交渉の透明化が不可能な場合は、TPP協定が未来のわが国の知的財産政策および情報通信政策に与えるインパクトの大きさを鑑みて、わが国はTPP協定の交渉から知的財産分野を外すことを求める。


【「TPP協定交渉について」に掲載されている知的財産分野における個別の交渉項目について】

説明会の際に配布された内閣官房TPP政府対策本部作成のテキスト「TPP協定交渉について」で説明されている知的財産分野における交渉項目のうち、以下の四つの項目に対する当協会の意見は以下のとおりである。

■著作権保護期間

現在わが国においては著作権の保護期間は著作者の没後50年間(映画の著作物は公表後70年間)であるが、TPP協定交渉においてはこの保護期間を延長し、著作者の没後70年ないしは発行後95年間などに延長する要求が米国などから出されているようである。しかしわが国は著作権保護期間のこれ以上の延長はすべきでない。理由は以下のとおりである。

1. 著作権保護期間を延長することで生じるポジティブな経済効果はない

著作権保護期間を延長することによる経済効果についてこれまでさまざまな研究が行われてきたが、著作権保護期間を延長することで大きな経済効果が生ずるとした研究結果はない。また大多数の著作物は著作者没後50年を待たずに商業的な価値を失い、死蔵されてしまうという研究結果がある。著作権保護期間が延長された米国においても、延長の結果として著作物の創造や流通が促進されたという実証結果はない。

日本銀行のデータによれば、日本の2012年の国際収支のうち著作権等使用料は6014億円の赤字であり、この赤字額は年々増加傾向にある。特にこの赤字のうち、4分の3は北米に向けて支払っている著作権等使用料である。つまり日本はコンテンツの輸入国であり、そのコンテンツの多くを北米から輸入している。特に北米ではごく一部の古いコンテンツが現在も輸出されており、比較的新しいコンテンツを輸出しているわが国とは対照的である。わが国が輸出しているコンテンツの著作権保護期間が切れるまでには時間的に余裕があり、また先に述べたとおり、大多数の著作物は著作者没後50年を待たずに商業的な価値を失うことから、これらのコンテンツが将来的に現在の赤字額を解消するような利益を生むかは未知数である。このような現状を鑑みると、コンテンツ輸入国であるわが国にとっては、著作権保護期間が延長されたとしても、現在輸入している古いコンテンツの著作権使用料を支払うべき期間がさらに延びるだけであり、国際収支における著作権等使用料の赤字はさらに増大する。つまり拙速な著作権保護期間の延長は、経済的な損失を生むだけである。

TPP協定は国際的な経済連携戦略であるから、わが国が経済的な不利益を被る拙策な著作権保護期間の延長は誤った戦略であり、国益に資さない。

2. 著作物の利用を阻害し、文化の振興を妨げる

著作権保護期間を延長することによって、著作物の著作権者の所在がより不明になりやすくなる。このような著作物は孤児作品(Orphan Works)と呼ばれ、その孤児作品の保存と活用が世界的な問題となっている。これは過去の作品に限った問題ではない。現代の著作物においては非常の多くの人がその制作に関わっており、制作に関わった関係者にも著作隣接権が付与される。その著作物を保存・活用しようとした場合、著作隣接権者を含めたすべての著作者に許諾を取る必要があるが、数年前に制作された著作物であっても著作者が不明という理由で許諾を取ることが不可能なケースも発生しており、保護期間の延長がそれに拍車をかけることになる。

またインターネットが普及したことでインターネット上で著作物を公開する人々が急増しており、その中には著作者不明の著作物も多い。このような著作物は今後急増することが予想される。著作権保護期間を延長することは、このような孤児作品をさらに増やすことにつながり、著作物の死蔵を促す。

一方で著作権の保護期間が早く終われば、その著作物を用いて二次的著作物を制作したり、その作品を上演したりする際の許諾や著作権使用料が不要となるため、二次的著作物の制作や作品の上演が大きく加速される。結果として近代や現代の作品を演奏・上演する楽団や劇団などが増加し、著作物の漫画化やノベライズ、パロディといった新たな創作物の出現が活性化される。

さらに著作権が切れた著作物(パブリックドメイン)を利用することで、新たなビジネスが生まれている。例えば著作権が切れた書籍のデジタル化を進めている「青空文庫」のデータは数多くの電子書籍端末などに収録されており、日本における電子書籍の普及に役立っている。しかし著作権保護期間の延長によって、このような創造のサイクルが大きな打撃を受け、新たなビジネスチャンスを失うことになる。

3. 著作権保護期間の延長は国際的な潮流ではない

ベルヌ条約では著作権保護期間は著作者の没後50年間と定められている。著作権保護期間を没後50年間以上に定めている国がおよそ70カ国であるのに対し、没後50年間に定めているのはおよそ110カ国で、世界的な視点で見ると没後50年間に定めている国々のほうが多い。TPP参加国においても没後50年間を超える国々はメキシコ、米国、ペルー、シンガポール、オーストラリアの5カ国、没後50年の国々はカナダ、チリ、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、ニュージーランド、そして日本の7カ国であり、没後50年の国々のほうが多い。著作権保護期間の差を非関税障壁と見るならば、数の多い没後50年に合わせるべきである。

また米国においても著作権局長が公聴会で「偉大な次世代の著作権法」(The Next Great Copyright Act)として著作権保護期間の短縮を発言するなど、著作権保護期間に関する議論が高まっている現状がある。つまり著作権保護期間の延長は決して国際的な潮流ではない。

■著作権侵害に対する職権による刑事手続

わが国の著作権法においては、著作権侵害における刑事手続は権利者からの申し立てによるもの(親告罪)であるが、TPP交渉においてはこれを職権によって刑事手続を行うことができる(非親告罪)ようにする要求が米国などから提出されているようである。しかしわが国は著作権侵害を非親告罪とすべきではない。

わが国には二次的著作物やパロディに関する法制度が存在せず、司法では二次的著作物やパロディは著作権侵害と判断される。しかし現実には二次的著作物やパロディによる作品が数多く存在しており、今やそれらは日本の文化の一翼を担っている。そしてこのわが国独自の個性豊かな文化は世界に向け発信され、世界の共感を得ている。これは知的財産戦略本部が策定した「知的財産戦略2013」の中にも盛り込まれている「クール・ジャパン」の源泉となっている。このような文化が熟成されたのは二次的著作物やパロディについて、その制作者と原著作者との間に信頼関係があり、著作者が黙認していたことに由来する。しかし著作権侵害が非親告罪となれば、このような信頼関係に関わらずあらゆる二次的著作物やパロディが刑事告訴の対象となり、パロディ法制などのないわが国においては「クール・ジャパン」の源泉となる文化が萎縮する結果となり、国益を害する。

また著作権侵害が非親告罪となることで相対的に捜査機関の権力が増大し、これまで見逃されていたような軽微な著作権侵害について著作権侵害を理由に捜査機関が逮捕することができるようになる。またインターネットでダウンロードされたファイルが違法なものかどうかは技術的・外形的に判断できないという根本的な問題もあり、これは別件逮捕などの違法な捜査を助長するおそれがある。

■民事救済における著作権侵害における法定損害賠償

現在わが国においては著作権侵害における損害賠償額は、実際の被害額に応じて算定されているが、TPP協定交渉においてはこれを法定損害賠償とする要求が米国などから出されているようである。しかしわが国は著作権侵害において法定損害賠償を導入すべきではない。

実損害額によらない法定損害賠償額の算定では賠償額が高額になる傾向にある。高額な賠償額の設定に著作権侵害の抑止的な効果を見込む声もあるが、これによって軽微な著作権侵害においても訴訟が乱発されるようになり、社会的な混乱を引き起こす原因となる。軽微な著作権侵害の乱発が混乱をもたらした実例がドイツである。ドイツでは民事裁判・附帯私訴での賠償金獲得を目的に、著作権侵害者を捜査機関に捜査させるための刑事告訴が急増した。ドイツでは起訴便宜主義ではなく起訴法定主義が採られていることもあって、軽微な事案を含めた著作権訴訟の乱発により捜査機関が混乱し、本来捜査すべき事件の捜査に影響をきたす事態をもたらした。その結果、裁判手続に先立ち当事者同士の示談による解決を図ること、通信データの開示は裁判所が決定し開示請求費用は権利者が負担することなど、著作権裁判の乱発を防ぐ目的の法改正を余儀なくされるに至った。

またインターネット上に無料で公開されている画像の利用のような軽微な著作権侵害であっても、それに対して高額な損害賠償金をちらつかせ、高額な和解金とともに和解を迫るコピーライト・トロールの存在が世界的に問題となっているが、法定損害賠償はこのコピーライト・トロールの温床を作ることにもつながる。特に対象の著作物がポルノ作品などであった場合は、その著作物の特殊性から実際に侵害行為がなかったとしてもユーザーが法外な和解に応じてしまうことが多く、日本の出会い系サイトにおける振り込め詐欺にも似た犯罪に利用されてしまう可能性にもつながる。

■インターネットサービスプロバイダの責任制限

TPP協定交渉においてはインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)による利用者の著作権侵害に対策する措置として、米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に則った「ノーティス・アンド・テイクダウン・システム」の導入、そして利用者が著作権侵害を3度繰り返した場合にその利用者がインターネットへ接続することを禁止する「スリーストライク・ルール」などの導入の要求が米国などから出されているようである。しかしわが国はISPの責任制限として「ノーティス・アンド・テイクダウン・システム」および「スリーストライク・ルール」などの反復侵害者のインターネット接続解除を導入すべきではない。

「ノーティス・アンド・テイクダウン・システム」について

「ノーティス・アンド・テイクダウン・システム」は、実際の侵害の有無を確認することなくISPがコンテンツを削除することを強制するという点で、表現の自由やプライバシーといったユーザーの権利を深刻に損なう可能性が高く、また最近はBOTプログラムによって自動化された著作権侵害通知が実際の侵害が確認されることなくISPに対して大量に送られている現状もあり、目的に比して手段としての適切性を著しく欠くものである。

これに対し、権利者から侵害の可能性について通知された場合、侵害者と目されたユーザーにISPが通知を転送すること、そしてユーザーごとに通知転送の事実と、場合によっては通信の秘密に抵触しない範囲で一定期間の利用者の利用状況を記録しておくことを義務づける「ノーティス・アンド・ノーティス・システム」では、悪質な侵害コンテンツの排除とユーザーの自由の両方を確保することができ、より適切と言える。すでにこのシステムが導入されたカナダでは、通知されたうち71%のユーザーが侵害コンテンツを自主的に削除するなど、大きな成果を挙げている。侵害者の大半が、そもそも自分が侵害していることに気づいていないか軽視している「カジュアルな」侵害者であることを考えれば、この数字は当然のものと言える。日本においても日本レコード協会によるメールでの警告が有効に機能したという事例がある。もちろん、悪意ある常習的な侵害者に対しては、権利者は情報開示請求の後に記録を根拠とした強力な対応が可能である。コストの面でも、侵害通知とその転送は大幅な自動化が可能であり、少なくとも「ノーティス・アンド・テイクダウン・システム」に要するコストを著しく上回るものにはなりえない。

このように「ノーティス・アンド・ノーティス・システム」は、権利者の権利、ユーザーの権利、そして仲介者たるISPの責任制限という点で、最もバランスがとれた優れた措置と考えられる。わが国はISPの責任制限としてこの「ノーティス・アンド・ノーティス・システム」の導入を主張すべきである。

「スリーストライク・ルール」などの反復侵害者のインターネット接続解除について

インターネットはすでに世界中で人々の生活を支えるインフラとなり、民間に限らず公的な情報の発信や手続きにも利用されている。また現代においてはインターネットに接続されているのはコンピュータに限らず、携帯電話や家電などの生活必需品もインターネットに接続され始めている。また新聞やテレビ、ラジオなどの情報インフラもその媒体にIP化が進んでいる。インターネットへ接続することは表現の自由や知る権利といった基本的人権を行使する上での重要な手段となった。このような現代においてインターネットへの接続を規制することは基本的人権が制限される公民権停止に等しい行為であり、著作権侵害は基本的人権が制限される必要がある重大な犯罪にはあてはまらない。


【「TPP協定交渉について」に掲載のない知的財産分野における個別の交渉項目について】

以下の項目は説明会の際に配布された内閣官房TPP政府対策本部作成のテキスト「TPP協定交渉について」には交渉項目として挙がっていない項目ではあるが、1994年から2008年までの間にわが国と米国の間で交換されていた日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書(いわゆる年次改革要望書)や2011年にわが国と米国との間で開催された日米経済調和対話の中で米国がわが国に要求した事項、および米韓FTAに代表される米国が結んだFTAの中で米国が知的財産分野において相手国に要求した事項である。米国が国家間で通商交渉を行う際に提示する知的財産分野の要求事項はフォーマット化されており、TPP交渉においても同様であることが予想される。

■技術的保護手段

わが国ではデジタルコンテンツの技術的保護手段について、コピーコントロールの回避行為は1999年の著作権法の改正で規制された。またアクセスコントロールの回避行為についても2012年の著作権法の改正で規制された。またコピーコントロールおよびアクセスコントロールの回避のための技術の提供行為も不正競争防止法で規制されている。特にアクセスコントロール回避規制については、ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定・模造品海賊版拡散防止条約)批准に向けた法制度の整備として進められた。

しかし無条件のデジタルロック回避規制は、消費者が購入したコンテンツを永続的に保つことを不可能とするなど、消費者の正当なコンテンツの利活用を不当に妨げている。またオープンソースソフトウェアを用いてデジタルロックのかかったコンテンツを利用することは不可能であり、これはICT技術の発展および教育の機会を不当に妨げる原因となっている。さらに視覚障害者が電子書籍を読むためには電子書籍のデータを点字化する必要があるが、そのようなデータの加工はデジタルロックをかけたままの状態では不可能であり、障害者の情報アクセスを妨げる原因となっている。

これまで挙げたようなデジタルロックの回避規制が持つ問題を解決する法制度は未だ未整備であり、今後のわが国の課題であるといえる。また多くの問題点を抱えるデジタルロックの回避規制は、コンテンツ立国、技術立国、教育立国を是とするわが国の政策として誤っており、デジタルロックの回避規制を貿易相手国に要求することは、わが国の国際通商政策として重大な問題がある。

■電磁的な一時的複製の規制

著作物を一時的に電磁的なかたちで記憶装置に複製する行為についても複製権の対象とし、許諾なく電磁的な一時的複製を行った場合も著作権侵害とするような枠組みの策定が議論されている。しかしわが国は電磁的な一時的複製を著作権侵害とする要求を受けいれるべきではない。また国際的な経済連携協定に電磁的な一時的複製を規制する条項が入ること自体に強硬に反対すべきである。

現代のコンピュータはプログラムとそのプログラムが処理するファイルの一時的な複製をメモリーに自動的に作り続けることで動作する。またインターネットの利用においては、ネットワークから受け取ったデータを先読みしてメモリーにバッファしておくことで大容量のストリーミングコンテンツを快適に利用することができる。また一度見たウェブサイトのデータをハードディスクに一時的に保存しておくことで、高速なウェブサイトのブラウズが可能となり、またトラフィックの軽減につながるため、ネットワーク資源を有効に活用することができる。このように電磁的な一時的複製はコンピューティングを支える基幹の技術であり、電磁的な一時的複製を規制することはIT技術の実際と大きくかけ離れており、全く現実的ではない。

■著作権保護の例外

日米経済調和対話の米国側関心事項として「すべての著作物を対象に、日本の著作権法の私的使用に関する例外規定が違法な情報源からのダウンロードには適用されないことを明確にする」ことが要求されている。現在の日本の著作権法では著作権侵害コンテンツのダウンロードのうち、刑事罰の対象になるのはデジタル方式の録音と録画に限定されているが、これはこの刑事罰の対象をすべての著作物に広げることを求められている。しかしわが国は違法ダウンロードのコンテンツの範囲をすべての著作物を対象とすべきではない。

インターネットでダウンロード可能な情報が違法なものかどうかは、技術的・外形的に判断することが出来ない。また、今日インターネットに接続されている機器は、パーソナルコンピュータに限らず、携帯電話やスマートフォン、家電なども多い。その一つ一つがダウンロードしているデータの正当性は、ユーザーが確かめることも機器が確かめることも、物量的・技術的に不可能である。特にテキストファイルや画像ファイルはインターネットで最も多く通信されるファイルであり、ブログをテキストエディタにコピーして印刷したり、気に入った画像をダウンロードしてコンピュータの壁紙にすることすらも刑事罰の対象となりえる状態は、「絶対に執行の出来ない法」を作ることにほかならず、法の下の平等の精神に反する。

また、ウェブ上のコンテンツは、ディスプレイでの表示は明示的に許諾されていると考えられるが、ページの印刷やPDF化、クリップ、プログラムでの取得などといった、作者側が想定していないものの、現在のインターネット上のコンテンツに対して当たり前に行われている行為は、フェアユース規定などがない限り、形式的に違法となり刑事罰の対象となると予想される。

このようにダウンロードによる著作権侵害の対象となるコンテンツの範囲をすべての著作物に広げることは現在のインターネットの利用の実態と大きくかけ離れており、全く現実的ではない。いたずらに著作権侵害の対象となるコンテンツの範囲を拡張するのではなく、違法アップローダーや違法アップロードされたコンテンツへの対処でカバーすべきである。これは現状の法制度で十分可能な対策だ。

■並行輸入の禁止

国内と国外で同一の製品や情報、コンテンツが販売されている場合、その製品や情報、コンテンツについて国外から並行輸入することについて禁止する枠組みの策定が議論されている。しかしわが国は真正品の並行輸入を禁止する要求を受けいれるべきではない。特に音楽コンテンツについては2005年に施行された改正著作権法に音楽レコードの還流防止措置を導入した際に、国内で大きな議論を巻き起こしたことを忘れてはならない。製品や情報、コンテンツの入手方法については、それらが真正品である場合においては消費者には選択の自由が担保されるべきである。

著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2013-07-17 13:15:14

thinkTPPIPシンポジウム「日本はTPPをどう交渉すべきか」を共催します。

MIAUは6月29日に行なわれる、thinkTPPIPのシンポジウムを共催します。

※本イベントに関する情報の変更はTwitterで告知しますので、@miautanのフォローをお願いいたします。

タイトル

「日本はTPPをどう交渉すべきか 〜「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?」

日時

2013年6月29日(土)
19時~21時 (開場:18時30分~)

会場

講談社 セミナールーム
http://www.kodansha.co.jp/about/access.html

司会

津田大介(MIAU代表理事、ジャーナリスト)

登壇者(順不同、敬称略)

赤松健(漫画家、Jコミ代表取締役)
太下義之(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員/芸術・文化政策センター長)
富田倫生(青空文庫呼びかけ人)
野口祐子(弁護士、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン常務理事)
八田真行(駿河台大学経済経営学部専任講師、MIAU幹事会員)
福井健策(弁護士、日本大学芸術学部客員教授)

申込

入場無料。事前予約制。
http://thinktppip.jp/?p=128

インターネット生中継URL

ニコニコ生放送での中継を予定しております。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv143065864

主催

TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム
http://thinktppip.jp/
講談社 現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/

運営

特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
http://creativecommons.jp/
thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム)
http://thinkcopyright.org/
MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会)
http://miau.jp/

著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2013-06-28 08:26:53

「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に関する意見募集に、意見書を提出しました。

MIAUは、「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に関する意見募集に、下記の意見書を提出いたしました。

内容は以下の通りです。

2013年3月22日

「第2次児童ポルノ排除総合対策」(素案)に対する意見

一般社団法人 インターネットユーザー協会(MIAU)

【要旨】

ウェブサイト上で児童ポルノが提供される場合は、まず提供者の摘発と被害児童の直接の救済を優先し、次にウェブサイト等直接の配布元の削除を行わねばならない。インターネット上の通信を強制的に遮断するブロッキングが児童を保護するための手段としては間接的なものであることを踏まえ、全国民のコンセンサスが取れるよう万全の体制で取り組むことを望む。

【各論】

3 インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進における「④ ブロッキングの実効性向上に向けた諸対策の推進」(p.4-5)について

「サーバーの国内外を問わず」とあるが、わが国内のサーバについて削除が可能でない理由が不明である。もし存在するのならばどのようなケースが何件あるのかといった統計情報を国民に開示するべきである。児童の人権の迅速な保護を考えるのならば、アドレスリストの作成とISP各社の作業が必要なブロッキングではなく、司法の命により直ちに削除することが法治国家の姿である。また、海外のサーバについてのブロッキングには妥当性があるが、全世界的に児童ポルノ対策を行なっているにも関わらず、削除に応じない国があることはにわかには信じがたい。そのようなケースがどれくらいあるのかについても、具体的な数値を公開するべきであろう。

3 インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進 ④ ブロッキングの実効性向上に向けた諸対策の推進における「ⅰ ブロッキングの実効性向上に向けた環境整備」(p.5)および、「ⅲ 一般ユーザーに対するブロッキングの趣旨、重要性等についての広報・啓発」(p.5)について

「連携し、必要な環境整備に向けた取組を行う」とあるが、現在のブロッキングはあくまでも民間事業者の自主的な取り組みではなかったか。通信の秘密を侵害するブロッキングを、行政機関が支援するという構図を明快に打ち出すことは、憲法及び電気通信事業法に抵触する可能性があるのではないか。官庁指導の下に行われる規制は「自主的」ではない。官製の検閲を「自主的」と偽装しているのではないかといった不安をしっかり取り除くことこそが、一般ユーザへの広報・啓発活動に求められる根本であろう。

「5 児童ポルノ事犯の取締りの強化」(p.8)について

最も取り締まるべき児童ポルノ事犯は、児童を性的に搾取することであり、それは実際に児童を性的に搾取し暴力を振るっている人間の摘発を最優先することによって行われる以外あり得ない。にも拘らず、ここで取り上げられている児童ポルノ事犯は、インターネット上での公衆送信部分にのみ注力しており、優先順位が転倒しているのではないか。インターネット上での公衆送信は、取り返しの付かない児童への直接的な加害行為が発生した上での二次的な問題である。まず被害児童を直接の暴力から救うという、児童ポルノ法の根本の趣旨を失念しているとしか思えない。行政機関、特に警察機関のこうした現状認識は極めて遺憾である。カウントしやすい「ファイル送信者の数」を唱えて二次的な部分の規制を訴える前に、被害児童数やその程度、主な加害者の属性といった直接的な加害行為についての調査を示し、どうすれば防止できるのかを真摯に検討し、児童を直接の暴力から救うための取締り強化の施策を至急実施するべきである。

以上
著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2013-05-10 23:11:26

知的財産戦略本部「知的財産推進計画2013」及び「知的財産政策ビジョン」策定に当たっての意見募集に、意見書を提出しました。

MIAUは、政府の知的財産戦略本部「知的財産推進計画2013」及び「知的財産政策ビジョン」の策定に向けた意見募集に、下記の意見書を提出いたしました。

内容は以下の通りです。

2013年3月22日

「知的財産推進計画2013」「知的財産政策ビジョン」に対する意見

一般社団法人 インターネットユーザー協会(MIAU)

【要旨】

直接侵害が過度に拡張された著作権法の現状は打開すべき。クリエーターへの対価還元に私的録音録画補償金制度を使うことは誤り。電子書籍の促進のためと称して出版社へ著作隣接権を付与することには反対。ビッグデータの取り扱いの際には個人情報保護に関する取り組みも同時に行うべき。ACTAの推進は時代錯誤である。先の著作権法改正は再検討すべき。知財戦略の議論にはコンテンツの利活用に明るい利用者の代表を加えるべき。

【全文】

1.デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備

(1)基本的な視点

当協会が「知的財産推進計画2011」の策定に向けた意見募集に際して提出した下記の意見を2013年度においても引き続き求める。

著作権について

わが国では、著作権の許諾権としての性格が強く意識されすぎている。著作権者に強力な許諾権があることは、企業がコンテンツを活かした新規事業に乗り出す上で不透明な「著作権リスク」をもたらし、企業活動を萎縮させる一方、ユーザーのコンテンツ利活用における利便性も損ねている。かつ、学界では、強力な許諾権があるからといって必ずしも著作権者に代価がもたらされるわけではないとする研究が有力である。このように、現状の許諾権としての著作権は、ユーザーの利便性と産業の発展を無意味に阻害していると言わざるを得ない。そこで、より高度なコンテンツ活用を目指すべく、著作権を報酬請求権として扱うようにシフトしていくべきであろう。

近年はICT技術やインターネットの普及に伴い、ユーザー=クリエイターという関係が強く見られるようになった。ユーザーのコンテンツ利活用における利便性を高めることは、新たに多様なコンテンツを生み出すこととなり、結果的にコンテンツホルダーにとっても利益になる。ひいては経済活動の活性化をもたらし、日本経済にも貢献することになる。 なお、ハーバード大学では著作権の報酬請求権化についての研究が進んでおり、参考になる。日本でも、例えば著作権法上のレベルでは許諾権のままでも、産業界の自主的な取り組みとして、合理的な範囲で報酬請求権として運用することが可能である。産業界にイノベーションをもたらし、経済を拡大するために、政府は報酬請求権としての可能性の啓発に取り組むべきである。

「プロライツ」から「プロイノベーション」へ

今後の経済政策としてふさわしいのは、権利を囲い込み、墨守するだけの「プロライツ」ではない。権利を活かしてリターンを最大化する「プロイノベーション」の形を目指すべきである。安直なプロライツ(プロパテント・プロコピーライト)は結果としてイノベーションや競争を阻害し、ひいてはユーザーの利便性が向上する機会を損なう。ゆえに、コンテンツ産業戦略全般において、プロイノベーションという方針を明記し、それに従った具体策を策定すべきである。これからの時代のコンテンツの利用や創作は、それを鑑賞するための技術イノベーションと不可分である。ユーザーの利便性を高めてコンテンツを活用していくためには、技術のイノベーションを阻害しないことに最大限留意すべきである。

(2)施策の方向性

①「コンテンツ」産業を巡る生態系変化への対応

「関連制度の見直しの検討」について

クラウド・コンピューティングを用いた各種サービスが世界的に飛躍的に広がっている中、日本では「カラオケ法理」等によって直接侵害の範囲が過度に拡張され、先進的なサービスが生まれにくい状況にある。制度の見直しにあたっては直接侵害の範囲を縮小・整理し、公正な利用をセーフハーバーとして著作権侵害としないような制度の設計が必要である。その際に「間接侵害」を創設するということであれば、間接侵害の範囲を過度に広げないようにし、間接侵害の要件を明確かつ具体的に規定することが求められる。

③コンテンツ産業の市場拡大に向けた環境整備

「クリエーターへの適切な対価還元に向けた制度構築」について

本項においてはその制度構築について、主に私的録音録画補償金制度についての記述で占められている。私的録音録画補償金制度は、あくまでも複製による損失の補償を目的とした制度であり、そもそもクリエイターに対する環境の整備という役割は小さい。強力なDRMやダビング10によってデータの複製が制限されている以上、複製による損失はなく、デジタルチューナーのみを持つレコーダーに対する私的録画補償金については、その根拠がないことが司法によって示された。よって現状のコピーコントロール・アクセスコントロールが続けられる以上、クリエイターに対する環境整備と称して私的録音録画補償金の対象機器を広げることで、制度の拡張を進めることは誤りである。

私的録音録画補償金をクリエイターに向けた環境整備の一環として位置づけるのであれば、現状のコピーコントロール・アクセスコントロールの撤廃や改善、フェアユースの導入など、ユーザーがコンテンツを利用しやすい制度構築も同時に行うべきである。また文化予算の増額や、コンテンツの鑑賞に国が一定額の補助を出す「芸術保険制度」の導入、コンテンツに関わる人や団体に寄付をすることで控除を受けることができるような寄付税制の推進など、ユーザーとクリエイターの両方が利益を得られるような制度の構築も考えるべきである。

「電子書籍の普及促進」について

現在「印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会」において、電子書籍の利用や流通の促進を目的に、出版社に著作隣接権を新たに付与する検討が行われている。しかし当協会は出版社への著作隣接権付与には反対である。

出版社への著作隣接権の付与の検討は、主に海賊版対策を目的に検討されているが、これが効果的な海賊版対策となるとは考えられない。また新たな権利を策定することで、電子書籍化にあたって新たな権利処理が必要となり、むしろ電子書籍の利用や流通の阻害要因ともなり得る。また出版社が著作隣接権を持つことによって、著作者自身の意思で自らの著作物を広げていくことが不可能となり、著作物が塩漬けにされてしまうなど、コンテンツの円滑な流通を阻害し得る。

またこのような新たな権利付与についての議論が、出版社や著作権者の団体でほぼ構成され、電子書籍を利用するユーザーの声が反映されない私的な勉強会で行われていることも問題である。新たな権利付与という重大な問題については文化審議会などの開かれた場で議論されるべきである。

「ビッグデータビジネスの振興」について

論点整理によって示された今後の検討の方向性には賛同する。ただし「動画や音声といったマルチメディアデータ、購入履歴といったウェブサイトデータ等のビッグデータを知財と捉え」「個人を特定されない情報の利用を促進するための環境整備や契約促進を図るなど、ビッグデータの利活用について検討すべきではないか」とあるが、個人情報に関わるビッグデータの活用はプライバシー保護の問題と背中合わせである。購入履歴や閲覧・貸出履歴などの行動履歴は厳重に扱われるべきであり、オプトインによる利用に限定するなど、個人情報保護に関する法制度やガイドラインを消費者保護の視点から再度検討すべきである。特に現状の個人情報保護法における「共同利用」がポイントカードビジネスなどにおいて濫用されている現状を認識し、知財戦略として個人情報の保護を掲げることが必須である。ビッグデータを知財と捉える方針を出すなら、グローバル化に備えてEUのデータ保護指令に準じた個人情報の定義を明確に策定し、情報コミッショナー制度や個人情報の利用全般に関わる第三者機関の設立を知財計画として打ち出すべきである。

また政府や自治体の持っている各種データもビッグデータとして捉え、行政の持つビッグデータの利活用についても知財戦略に盛り込み、知財戦略としてもオープンガバメントを推進していくべきである。特にオープンガバメントの推進に不可欠なオープンデータを進めていくためには、行政の持つビッグデータを国民が利用しやすいライセンスと形式で公開することが重要である。経済産業省や文化庁が進めているような、行政のデータをパブリックドメインないしクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを用いて公開する取り組みを、国全体として進めていくべきである。

2.クールジャパンの戦略的展開

(2)施策の方向性

「ACTAの推進」について

知財戦略としての「模倣品・海賊版の拡散防止」という方向性には賛同する。しかしACTAはその目的から大きく逸脱したものであり、国内外から批難を浴びた。特に「HELLO DEMOCRACY GOODBYE ACTA」のスローガンのもとに、ACTAが欧州議会において大差で否決されたことを政府は厳しく認識すべきである。ユーザーの知へのアクセスを阻害し、また不透明なプロセスで批准が進められたACTAの発効の推進は、日本から見ても、そして交渉参加国から見ても知的財産戦略としては誤りで、知財計画に掲載すべきものではない。

その他論点整理に掲載されていないものについて

改正著作権法関連

違法ダウンロード刑事罰化について

2012年10月の著作権法の改正によって、インターネット上に違法にアップロードされた音楽や映像を、そのファイルが違法であると知りながらダウンロードする行為について刑事罰が科せられる(いわゆる違法ダウンロード刑事罰化)こととなった。本改正の付則として定められた事業者による教育・啓発活動の義務規定や違法ダウンロード防止への努力規定による取り組みが進められているとはいうものの、これは「インターネットでダウンロードされたファイルが違法なものかどうかは技術的・外形的に判断できない」という根本的な問題をクリアできるものではない。

また本法改正は文化審議会での議論を経たものではなく、音楽事業者や映像事業者を中心としたロビイングによって進められた。国会による議論もほぼなく、一方的に議員立法によって進められたこの改正のプロセスは大きな問題を抱えている。このように政府による知財計画や文化審議会での議論を無視し、業界団体のロビイングに唯々諾々と賛同し進めてしまったことは今後の知財戦略を考える上で大きな負の遺産を残した。

違法ダウンロード刑事罰化が本質的に抱える問題、そして政府や審議会の決定を無視したプロセスで利害関係者の一方的な要望が通ってしまった問題から、違法ダウンロードの刑事罰化については白紙撤回し、知財戦略本部や文化審議会における議論を行うべきである。

アクセスコントロール技術回避規制について

2012年10月の著作権法の改正によって、DVDなどにかかっているアクセスコントロール技術を回避することが違法となった。無条件のアクセスコントロール回避規制は、国民の正当なコンテンツ利活用およびわが国のICT技術の発展を不当に妨げ、ひいては日本の家電製品の競争力をも損なうことは明白であり、それに対する手当は一切なされていない。ユーザーが購入したコンテンツを長く、そしてオープンソースソフトウェアによっても利用できるように規制のあり方を再度検討すべきである。特にコンテンツの視聴のためであってもオープンソースソフトウェアの利用を制限する現状の制度は、コンテンツ利用促進の観点からも負の影響が大きく、早急に手当が必要である。またコンテンツの批評や引用など、著作権法で認められた用途においても著作物を利用することができない状況を解決する必要がある。

権利制限の一般規定について

知的財産計画2009においては、権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)を導入するとの方針が決定された。その議論の結果、2013年1月の著作権法の改正によって新たな権利制限規定が導入されたが、これは文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の報告書にまとめられた、いわゆる「3類型」をも網羅できないようなものとなってしまった。これは権利制限の一般規定と呼べるようなものではなく、いくつかの個別規定を増やしただけのものにすぎない。よって知的財産計画2013において、再度権利制限の一般規定の導入の方針を示し、ユーザーのコンテンツの利用の利便性の向上及び国内産業の活性化を目指すべきである。

リーチサイト規制について

文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で議論されているリーチサイト規制については全面的に反対である。リーチサイトと言っても、その有り様は多種多様であり、リーチサイトへのリンク行為はどうなるのか、リーチサイトのURLがSNSを通じて転送され続けた場合はどうなるのか、また適法な内容を示すサイトを掲載したはずが、後日同じURLのままで違法なファイルの掲載などがされた場合はどうなるのか、といった予見できない状況が数多く発生する。

情報と情報を関連付けるハイパーリンクは情報通信の基幹技術であり、インターネットの利便性はハイパーリンクによってもたらされている。またハイパーリンクはいまやウェブサイトにとどまるものではなく、現在普及過程にある電子書籍にもハイパーリンクは用いられている。リンク行為を規制することは、今後の情報通信技術の発展全体に影響を及ぼすだけでなく、社会に大きな混乱をもたらす。いたずらにリンク行為への規制を拡張するのではなく、違法アップローダーや違法アップロードされたコンテンツへの対処でカバーすべきである。

テレビ放送について

テレビのインターネットサイマル放送について

東日本大震災の際に、各テレビ局がニコニコ生放送やUstreamなどの既存のプラットフォームを用いてテレビ放送をインターネットでもサイマル放送した。この取り組みによって在外邦人や海外メディア、そして被災地にもいち早く情報を届けることができた。しかしこのサイマル放送はテレビ局の自発的な取り組みではなく、ユーザーが緊急的に独自に行なった行動をテレビ各局が追認して進められたものである。このような事例を活かすためにも、テレビ局が自発的にインターネットでサイマル放送を行えるような法整備が求められる。特に災害時などの緊急事態には、インターネットサイマル放送を義務化するなど、知財戦略としても災害対策を進めるべきである。

政見放送や国会審議などの公的なコンテンツについて

インターネットを利用した選挙活動が解禁される見通しがたった今、有権者がインターネットを用いて選挙に関する情報を集められるように、政見放送や国会審議などをインターネットで見られるような取り組みを進めるべきである。また政見放送や国会審議などの公的なコンテンツ及び災害に関する報道などの公共性・緊急性の高い番組については、通常放送に掛けられているCASを外して放送することを義務化し、国民が利用しやすい環境の整備を進めるべきである。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について

本意見募集に対して「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」(thinkTPPIP)が提出した意見に当協会は全面的に賛成する。知財戦略が国際条約の中で議論をされるようになった現代においては、日本政府として確固たる戦略を持ち、知財を他の分野のバーターとすることのないように交渉を進めるべきである。

政策立案プロセスへのユーザー代表の参加

知財戦略としての政策目的を促進するためには、公的な議論にユーザー代表が参加する必要がある。業界内やコンテンツホルダーとの間の短期的な利害対立に対する政府の調整能力は、既に限界にきている。

一方、ICT産業やコンテンツ産業の一部においては、ユーザーの利便性への要求が産業を成長させてきた。特に近年では、ユーザー生成メディアが莫大な利益を生み、あらゆるコンシューマビジネスがこれを取り入れつつあることは周知のとおりである。このようにユーザーの利便性を高めることが産業界のイノベーションを産み、コンテンツの利用の拡大をもたらすことに鑑みれば、技術やコンテンツの利用態様に明るいユーザーの代表が知財政策で強く発言していくべきである。

以上
著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2013-05-10 20:08:43

think TPPIPキックオフ・公開シンポジウム「TPPの交渉透明化と、日本の知財・情報政策へのインパクトを問う!」を開催します

MIAUは12月12日に東京大学にて行なわれる、think TPPIPのキックオフ・公開シンポジウムを共催します。

※本イベントに関する情報の変更はTwitterで告知しますので、@miautanのフォローをお願いいたします。

タイトル

緊急シンポ「TPPの交渉透明化と、日本の知財・情報政策へのインパクトを問う!」

日時

2012年12月12日(水)
18時~20時30分 (開場:17時30分~)
※時間は前後する可能性があります。変更があれば追ってお知らせします。

会場

東京大学本郷キャンパス 情報学環・福武ホール
(B2F 福武ラーニングシアター)
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html

登壇者(順不同、敬称略)

赤松健(漫画家、Jコミ代表取締役)
吉見俊哉(東京大学副学長、情報学環教授)
野口祐子(弁護士、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン常務理事)
八田真行(駿河台大学経済学部講師、MIAU幹事会員)
福井健策(弁護士、日本大学芸術学部客員教授、thinkC世話人)
ほか

申込

入場無料。事前予約制。
http://thinktppip.jp/?p=12

インターネット生中継URL

ニコニコ生放送での中継を予定しております。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv117939659

主催

TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム
http://thinktppip.jp/

運営

特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
http://creativecommons.jp/
thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム)
http://thinkcopyright.org/
MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会)
http://miau.jp/

著作者 : 香月 啓佑
最終更新日 : 2012-12-11 18:33:48
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